アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス
シェーン・バウアー(著)
,満園真木(訳)
/東京創元社
作品情報
全米150万人の受刑者のうち、約13万人を収容する民営刑務所。秘密主義に覆い隠されているその実態を明らかにするため、ジャーナリストの著者は、刑務官募集に応募して潜入取材を開始する。簡単に採用された著者が、ウォルマート並みの時給9ドルで勤務したのは、大手の刑務所運営会社が管理するルイジアナ州の刑務所。小型カメラとレコーダーを隠し持っての勤務中、彼が目撃したのは、慢性的に人手不足で(刑務官1人あたり176人の囚人を担当)、トラブルには誰も手を出さず、経費節減のため医療費などの経費が切り詰められている衝撃的な現場だった――。利益第一主義がもたらす歪みや非人間性。これらを暴露するのと並行して、著者は、奴隷制度を補完する形で民営刑務所制度が生まれた経緯や企業への囚人貸し出し制度など、アメリカの知られざる暗部を明らかにしていく。奴隷や囚人などの囚われた人々を利用して権力者が富を得ていく仕組みが、アメリカで脈々と受け継がれていたのだ――。本書のもとになった潜入取材の記事が民営刑務所の闇を暴いたことで全米に衝撃を与え、実際に政治を動かすまでに至った、傑作ノンフィクション!
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
2年以上、イランの独房に閉じ込められた経験を持つルポライターが、民間企業によって運営される刑務所の悲惨な状況を暴くルポルタージュ。身分を隠して刑務官として潜入した4か月もの経験に基づくものだけに、その…実態は極めて生々しい。受刑者同士の暴力闘争、刑務所内で流通する刃物やドラッグ、そして精神を病んだ受刑者の自殺。
その要因は、受刑者からの威圧や暴力に晒されながらもウォルマートの店員よりも安い時給9ドルという薄給と、一人で176人の受刑者を管理しなければならないという職員の人手不足にある。その根本的な原因はただ一つ、刑務所運営ビジネスでは、コスト削減しか利益を生み出すことができないからである。
アメリカでは80年代のレーガノミクスの柱であった民営化の一環で、様々な公共施設が民間企業へとアウトソースされることになった。本書で描かれるルイジアナ州のウィン矯正センターを運営しているのが、アメリカの2大刑務所ビジネスの1社、CCA(Corrections Corporation of America、現在はCoreCivicに社名変更)である。CCAのような刑務所オペレーターが利益を追求するために、いかにコスト削減に腐心し、その結果として公営施設であれば考えられないような悲惨な実態が起きるのか、本書を読めばよく理解することができる。
本書は結果として、オバマ政権に刑務所民営受託ビジネスの見直しを迫り、CCAは舞台となったウィン矯正センターでの契約を打ち切られるなど、一時は株価も50%も下落する(前述の社名変更はまさに悪評を打ち消すための手段であった)。しかしながら、トランプ政権になったことによってこの動きは逆転し、民間刑務所ビジネスは従前以上の魅力的なものとして、株価も上昇を続けている。
日本でも2000年代に入り、いわゆるPPP/PFIという名目における広義の民営化がさらに加速している。2007年、山口県にPFI方式で開設された美弥市社会復帰センターを筆頭に、幾つかの民営化事例が出てきている。その意味で、アメリカを半面教師とすべき意味合いは日本でも大きい。続きを読む投稿日:2020.05.03
ジャーナリズムの真骨頂ーと、宣伝されそうな1冊。
民営刑務所に潜入取材した筆者。そこで待っていたのは、刑務官の慢性的な人数不足、過酷な労働環境、人を人として見ない囚人管理の実態。にもかかわらず、株主総…会では美辞麗句を並べ、筆者の質問には回答をしない企業。
まさに、現代版の奴隷制である。実際に、アメリカの歴史においては、奴隷制に代わる安価な労働力供給源として、囚人の貸し出しが実施されていたとのことでもある。
最初、筆者の淡々とした筆致が、書かれていることの苛烈さとなじまず、読み進めるのに苦労した。しかし読み進めるうち、それは不条理に対する筆者の抵抗方法ではないかと考えるようになった。あえて淡々と描くことにより、読み手である私が、現状をよりリアルに理解できるようになるということだ。続きを読む投稿日:2021.01.15
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。