フテンマ戦記 基地返還が迷走し続ける本当の理由
作品情報
いったいどこに、誰に責任はあるのか?
返還合意から24年、普天間基地問題はなぜ迷走し続けるのか?
歴代政権の間近で混迷を見続けた軍事アナリストがその原因を指摘。
【目次】
はじめに なぜ普天間返還は進まないのか?
序章 チャンスは4回あった
第1章 迷走への序曲 自民党本部1996
第2章 小渕官邸1998~2000
第3章 小泉・安倍・福田・麻生官邸2001~2009
第4章 鳩山官邸2009~2010「トラスト・ミー」の陰で
第5章 沖縄クエスチョン1999~2011
第6章 鳩山だけが普天間を迷走させたのか? 2010~2019
あとがき 信頼を回復する道
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商品情報
- 著者
- 小川和久
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2020.03.13
- Reader Store発売日
- 2020.03.13
- ファイルサイズ
- 8.5MB
- ページ数
- 368ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (4件のレビュー)
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軍事知識もない日米有識者同士の空理空論の結果
民間人である著者が当事者としてこれほど深くこの問題に取り組んでいたとは知らなかった。
と同時に、TV・ラジオでの穏やかな印象と異なり、これほど喧嘩っ早いとも思わなかった。
あの強面の野中広務が氏の…前では俯き苦笑いを浮かべ、鳩山由紀夫に至ってはほとんど反射的に体をのけぞらせている。
多くの政治家や官僚が眠狂四郎と評された著者によって切られているが、お馴染みの専門家も血祭りにされている。
先日亡くなったばかりの岡本行夫は、利益誘導の張本人とばかり告発に近い書きぶりだし、出所後の佐藤優は不義理な男として描かれている。
題名は、一民間人の立場から「蟷螂の斧」とばかり強者に挑んだ記録の意味から付けられたようだが、水俣病患者の苦闘を赤裸々に描いた『下下戦記』(吉田司)を連想した。
「外務省広しと言えどあれほどの嘘つきは」という岡本行夫の悪評や、「私が鈴木を利用しているんですよ」という佐藤優の証言などもそうだが、出張費の名目で渡される内閣官房の機密費についても克明に書かれていて生々しい。
読んでるとイージス・アショアの配備計画を断念するというニュースが入ってきたが、辺野古埋立地の想定を上回る軟弱さも撤回理由としてはほぼ同じだろう。
「普天間問題は本質的には日本の国内問題だ」ということが再三強調されているが、私にはどう考えても沖縄を除く日米の問題だと感じた。
米国は"日本側で地元の了解を得て進めて下さい"というスタンスだが、最新の海兵隊の装備や運用など古参でもわからないというのに、運用可能な候補地に当事者が入っていないというのがまずおかしい。
著者が指摘するようにいまの辺野古基地では手狭すぎるというが、本国と遜色ないのような満額回答の基地を提供するのも、そもそも縮小・撤退を願っている地元の思いは無視されたままだ。
そもそも1995年の米海兵隊による少女暴行事件に端を発して、それが普天間基地の返還へと結実するのだが、橋本龍太郎も合意ができたことに満足したのか、移転先などの詳細を詰めていなかったために、その後のボタンの掛け違いが止まらなくなる。
住宅地に隣接してあまりにも危険という認識なら、日米双方で速やかに合意し、仮移設先への移転準備、それまでは基地閉鎖などの対応もとらず、移転先が決まらなければ動かないし使い続けるというのだから、国内で右往左往するのも当たり前だ。
切迫した危険性の除去のためにはいまの辺野古埋立地がベストと言うが、20年以上も同じことを繰り返し、軟弱地盤の改良だけでさらに数年余計にかかるというのだから、本当に切迫していると心配しているのか疑わしくなる。
一度、普天間基地移転合意自体を白紙に戻し、仕切り直しをした方がいいとつくづく思う。
著者も本書の最後に指摘しているが、沖縄県民の税を免除するだけでなく、本島のそれ以外の国民の税率を重くして、日本全体の問題として認識を共有しないと、空理空論と梯子外しのドタバタがさらに続くだろう。
著者のこれまでの労を多としたいが、鳩山政権時に首相補佐官にならなかった言い訳は見苦しいと感じた。
これまでの雑多な「移設案」を整理するまでは、民間人の身分で行動したいからと、表舞台に立つことを徹底して避け続け、私も本書を読むまでこれほど氏がコミットしているとは思わなかった。
ただ、梶山静六がいみじくも言ったように「泥をかぶる」覚悟ができないまま、特定の政権の色が付くことを恐れて、軍事アナリストの立場から踏み出すことが最後までできなかったのだろうと残念に感じた。続きを読む投稿日:2020.06.16
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迷走を続ける普天間基地の移設問題。1996年の返還合意からこの問題に関わり続ける軍事アナリストによる日米の交渉の裏側。
鳩山政権を中心に普天間基地の移設の問題を赤裸々に記録した一冊。筆者は一貫して辺…野古の海上基地でなくキャンプ・ハンセンの陸上基地への移設を主張し続けている。
佐藤優、鳩山由紀夫、ケビン・メア、孫崎享などに関する人物評が面白い。
陸上案がいつの間に海上埋め立てにすり変わったり、辺野古基地では海兵隊の運用に支障が生じるなと、まだまだ問題は解決できなそうである。
沖縄の建設業などの利権から軍事に関しては全く素人の防衛省の官僚、同様に米国にも専門知識をもったキーパーソンがいなかったり、政治と行政の関係について研究する際の素材として面白い。
他の人の言い分もあることだろうが、当事者の一人から見た普天間基地の問題、なかなか面白い内容でした。何千億もの税金が投入されているので笑ってはいられないことですが。続きを読む投稿日:2020.07.04
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