イスラエルとユダヤ人 考察ノート
佐藤優(著者)
/角川新書
作品情報
なぜ、強国なのか!? 情報(インテリジェンス)大国なのか!?世界の鍵となる国を第一人者が徹底解説する。「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」これがイスラエルの国是だ。世界の政治・経済エリートへ大きな影響力を有す情報(インテリジェンス)大国。中東と世界情勢を分析するには避けては通れない国だが、その実態はあまりにも知られていない。「イスラエルは通常の国民国家ではない」と喝破する第一人者が、イスラエル人の愛国心、さらにそれを支える神理解を読み解く!「本書で私(佐藤)は、イスラエルとユダヤ人から学んだ事柄を記した。イスラエル人の愛国心、さらにそれを支える神理解から、日本国家と日本人が生き残るための知恵を学ぶことが、私が本書を著した目的である」※本書は2015年2月にミルトスより刊行された『イスラエルとユダヤ人に関するノート』を改題の上、加筆修正したものです。
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商品情報
- シリーズ
- イスラエルとユダヤ人 考察ノート
- 著者
- 佐藤優
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川新書
- 書籍発売日
- 2020.02.08
- Reader Store発売日
- 2020.02.08
- ファイルサイズ
- 2.2MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (9件のレビュー)
-
危機を認識し、警鐘を鳴らす思想家は預言者に連なる
イスラエルとユダヤ人から学んだ事柄について書いた論文とエッセイをまとめたもの。
中東に浮かぶ、自由主義、民主主義、市場経済の国、イスラエルと日本の物…語
著者は、こういう。「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」という気概をもつイスラエル人の愛国心、さらにそれを支える神理解から、日本国家と日本人が生き残るための知恵を学ぶことが、私が本書を著した目的である。
イスラエルを地上から抹殺せんともくろむイランと、イランに核開発技術を供与する北朝鮮。それなのに、日本は親イランとしてイランを援助していた。
佐藤優を政治的に抹殺したのは、イギリスアメリカではなく、アラブイスラムなのかもしれない。
気になったことばは以下です。
・AIとバイオテクノロジー、生体認証などの融合により、独裁政府が国民すべてを常に追跡できるようになります。20世紀のスターリンや、ヒットラーなどの全体主義体制よりもずっとひどい独裁政府が誕生する恐れがあります。危険なのは、計画経済や、独裁的な政府が、民主主義国家に対して技術的優位に立ってしまうことです。
・巨大コンピューターにより、ビッグデータをアルゴリズムで処理する時代が到達しつつあるという予測をハラリ氏は改めて強調している。その時代が到来する結果、雇用環境は劇的に変化すると考えている。テクノロジーの発展によって仕事を失う人は多数出てくるが、転職するには高度の技能を身に着けなくてはならない。特にAI技術の発展によって雇用を失うのは、事務職のホワイトカラーと呼ばれる人々だ。この人たちが、荷馬車の馬と同じ運命をたどることになるかもしれない。
・イスラエルは、通常の国民国家ではない。全世界のユダヤ人を擁護するという特別の使命を持っている。それだから、イスラエル人はつまらない常識の枠組みにとらわれない自由な発想をすることができる。
・イスラエル人は、人間的関係を大切にする。一旦信頼関係を構築すると、どんな情報でも出し惜しみをせずに教えてくれる。
・イスラエルは、潜在敵国イランから、奇襲攻撃を受ける可能性を常に意識している。
・国交を断絶すると、利益代表国を指定する。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダになった。あるとき、モスクワのオランダ大使館領事部に勤務していたのが、オランダ人でなく、イスラエル人であったということを知るのである。
・ロシアの国境感、要するに国境線の外側にロシア領ではないが、ロシア軍が自由に移動できる領域、すなわち、緩衝地帯を求めるのである。状況が緊張すれば、そこに軍隊を常駐させる。ソ連体制が、1945年に第二次世界大戦が終結してから46年も存続したのは、東欧人民民主主義国という緩衝地帯があり、ソ連本土が直接戦争に巻き込まれた事例がないからである。
・ロシアがイランとシリアをたいせつにするのは、第一に経済利権で、第二に米国と対抗する上で、これら諸国と良好な関係をもっていることが外交カードとして有益だからである。裏返して言えば、極端なリスクをとってまでロシアは、イランヤシリアを守るつもりはない。
・イスラエルにとって米国は最大の軍事同盟国である。
・外国語には、突破しなくてはならないいくつかの層があり、ロシア語の場合、これ以上後退することはないという層を突き抜けたので、日常的にロシア語を用いる環境から離れても、いつでも、感覚を取り戻すことができる。だが、ドイツ語はそうはいかない。
・ロシア人は、国家のために命を捧げる気構えを持つ人ならば、外国人でも尊敬します。
・ロシアとユダヤ人、ロシア人の支配から脱してイスラエルに移住してきたユダヤ人は、政治的には、ロシアを好きになれないのだが、文化的には親しみを持ち続ける新移民が多い。そうした人脈がロシアとイスラエルとを緊密に結び付けている。
・北朝鮮がシリアやイランに核技術を援助している。イランがイスラエルを地上から消し去ろうとしている以上、日本がイランを支援してはいけない。
・ギリシア語でクロノスという流れる時間と、その時間を切断するカイロスという時間がある。アメリカにとってのカイロスは、2001.09.11、であり、日本にとってのカイロスは、2011.03.11 である。
・国際基準での無限責任とは、生命と職務遂行を天秤にかけるような状況が生じた場合、職務の方が重たくなるのが、無限責任である。
・日本版NSCの本質とは、「日本が戦争を行うか否かについての国家意思を決定する機関」である
・IT産業と軍事を切り離すことはできない。イスラエルと日本がIT産業で協力するということは、同時に防衛協力を進めるということです
・ヨハンセン工作:第二次世界大戦下、日本のスイス公使館では、イギリスのスパイである吉田茂元駐英大使に工作をおこなっていた。しかもその摘発をおこなったのは、陸軍中野学校出身者であった。
・中国とイランは同じ外交哲学をもっている。つまり、既存の国際秩序を一方的に変更しようとしている。
・日本の有識者には、親パレスチナが多い、ハマスや、イランの危険性を過小評価することにつながっている。
・米国のシリア攻撃について、日本では水面下で別の動きをしていた。それは、2020年の東京オリンピックを誘致するために、アラブ諸国、イスラム諸国に融和策を展開していた。
・1970.11.25 三島事件が起きる。左翼には、第二、第三の三島を左翼にいわせ、右翼は、本気だったのかと、三島が以来右翼の神となった。
目次は以下です。
新書版まえがき
まえがき
Ⅰ 私とイスラエルについての省察ノート
Ⅱ ロシアとイスラエルの考察ノート
Ⅲ 日本とイスラエルの考察ノート
Ⅳ イラン、シリア、北朝鮮の考察ノート
Ⅴ キリスト教神学生への手紙
あとがき続きを読む投稿日:2022.10.05
トランプ大統領の大使館をエルサレムに移転するニュースから、戦争が始まるのでは?と危機感を抱いた後、その後大きなニュースはなく、良かったとは思いつつ、どうなってるんだろう、と気になっていた。
そんな…イスラエルの最近の情勢と、欧米とイスラエルの経済交流について書かれている。
読んだ内容を非常に感覚的に総括すると、結局イスラエルは経済的に成功し、欧米と経済的な関係を深め密接になったから欧米としてはなあなあになり、そして土地を奪われた形となったアラブ人的には自国政府(やハマス)が信用できない状態で、諦めムードということだろうか。
著者の立場はわりと中立的。だが、タイトルの通り、イスラエルとユダヤ人の内容なので、アラブ側の意見は少なかった。タイトル通りなのでそれで問題ないのだが、本書を読んでもっとアラブ側の意見の本も読みたいと思った。続きを読む投稿日:2023.07.31
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