21世紀の啓蒙 上:理性、科学、ヒューマニズム、進歩
スティーブン・ピンカー(著)
,橘明美(訳)
,坂田雪子(訳)
/草思社
作品情報
世界は決して、暗黒に向かってなどいない。
食糧事情から平和、人々の知能まで、多くの領域が啓蒙の理念と実践により改善されてきたことをデータで提示。
ポピュリズムと二極化の時代の今こそ、この事実を評価すべきと説く。
“世界は良くなり続けている。たとえ、いつもはそんなふうに思えないとしても。
スティーブン・ピンカーのように、大局的な視点から世界の姿を我々に見せてくれる
聡明な思想家がいてくれることを、私は嬉しく思う。
『21世紀の啓蒙』は、ピンカーの最高傑作であるのはもちろんのこと、
私の生涯の愛読書となる、新しい一冊だ。“
――ビル・ゲイツ
啓蒙主義の理念――理性、科学、ヒューマニズム、進歩――は、
今、かつてない大きな成功を収め、人類に繁栄をもたらしている。
多くの人は認識していないが、世界中から貧困も、飢餓も、戦争も、暴力も減り、
人々は健康・長寿になり、知能さえも向上して、安全な社会に生きている。
どれも人類が啓蒙主義の理念を実践してきた成果だ。
にもかかわらず、啓蒙主義の理念は、今、かつてないほど援護を必要としている。
右派も左派も悲観主義に陥って進歩を否定、科学の軽視が横行し、
理性的な意見より党派性を帯びた主張が声高に叫ばれている。
ポピュリズムと二極化、反知性主義の時代の今こそ、啓蒙主義の理念は、
新しく、現代の言葉で語り直される必要がある。
つまり、現代ならではの説得力を持った新しい言葉、「データ」「エビデンス」によって――。
知の巨人ピンカーが驚くべき明晰さで綴る、希望の書。
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商品情報
- シリーズ
- 21世紀の啓蒙
- 著者
- スティーブン・ピンカー, 橘明美, 坂田雪子
- 出版社
- 草思社
- 書籍発売日
- 2019.12.01
- Reader Store発売日
- 2019.12.18
- ファイルサイズ
- 10.7MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.2 (27件のレビュー)
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誤って悲観主義に陥るほど無学な人たちへ
本書は、世界が良くなっていることを認めない人々に向けて書かれている。
改善を否定し、進歩などしていないと思いこむ人々、誤って悲観主義に陥るほど無学な人たち、世間の熱を煽るため、常に「危機」を叫ばねば…ならないと信じる人々に対して、世界は過去より良くなっていて、今後もさらに良くなりうると説く。
我々は、私たちがどんな状態から今に至ったのかをすぐに忘れてしまうし、他人をどれだけ多く時間とお金を犠牲にして利他的に行動したかで評価し、達成した福利の大きさや量をあまり重視しない。
数字に弱く、規模で考えることも苦手である。
例えば、「どの行動がどれだけの二酸化炭素の排出量を削減するのか、それは何千トン規模なのか、それとも何百万トン規模なのか、何十億トン規模なのかを区別していない。また濃度や割合、その変動ペース[速度]、ペースの変化率[加速度]、さらに高次の導関数[加速度の変化率など]の違いについても無頓着だ」。
そのくせ我々は、人類が地球の資源を、それこそストローで吸うミルクシェイクのように、ズーズーと音を立てるまで吸い上げるのではないかと怯えている。
格差の拡大が常に悪とは限らない。
そもそも分配すべき富がすでに存在することを前提にして、その分配ばかりを論じるのもおかしな話だ。
過去に貧困が蔓延していたことを忘れるべきではないし、そこからどう富が創造されたかを思い出すべきだ。
格差の縮小が常に善とも限らず、所得格差を最も効率よく縮めるのは、戦争、革命、そしてパンデミックなのだから。
「経済的平等は、常に悲しみとともにもたらされてきた」という言葉が、これほど身にしみる時代を生きるとは思わなかった。
「科学の進歩のすばらしいところは、人類を一つの技術に閉じ込めたりしないことだ。私たちは常に新しい技術を、以前より問題の少ない技術を開発することができる」。
「世界への理解は知性の光によってますます深まり、人の命はいっそう貴重になった」。
グローバル化は、所得の格差は生んだかもしれないが、消費の格差は縮小させた。
ある程度の環境汚染は避けられないし、原子力発電ももっと積極的に推進すべきだという立場には、異論もあるかもしれない。
「工業化によって、数十億人の食糧がまかなわれ、寿命は二倍になり、極度の貧困も減少した。機械が人力に代わったことで、奴隷制度が終わり、女性は解放され、子どもは教育を受けやすくなった。夜に本を読めるのも、好きなところに住めるのも、冬に暖かく過ごせるのも、世界の動向を見ることができるのも、人の交流が増えたのも、工業化のおかげである。環境汚染や動植物の生息地消失による損失は、これらの恩恵と合わせて考えなくてはならない」。
もちろん環境保護は大切だが、暮らしの他のもの全部を犠牲にしてまでする必要はない、という考え。
我々は思いや考えが、物質界に作用しうると素朴に感じてしまう。
「偶然の一致がこんなに多いはずはないと考える。自分の経験というごく限られたものを一般化し、固定観念で推論し、ある集団の代表的な特徴を、そこに属する個々人に例外なく当てはめる。相関関係から因果関係を推論する。白か黒かを決めてそれを全体に当てはめる。抽象的なつながりを実体のあるものと考える。直観的科学者というより直観的法律家・政治家であり、自分の確信を裏づける証拠は集めるが、矛盾する証拠は無視する。自分の知識、理解、正当性、能力、運を過大評価する」。
「意見の合わない相手を悪者にし、意見が食い違うのは相手が愚かで不誠実だからだと考える。またあらゆる不運に生贄を求める。ライバルを糾弾し、人々の怒りをそのライバルに向けさせるために道徳を利用する。そうした非難の根拠は、誰かに危害を加えたといった理由にとどまらず、慣習を守らない、権威を疑問視する、部族の結束を乱す、食や性のタブーに触れるなど、何でも根拠にしてしまう。そして人間は暴力を不道徳ではなく道徳とみなしている」。
アフター・コロナで、「正義の鉄槌」の名のもとに行われる暴力を予感させる言葉だと感じた。続きを読む投稿日:2020.05.31
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分母の大きなタイトルに違わず分母の大きな内容。
内容をまとめると世の中は悪い方向に向かっているように見えて実はだんだん良くなってるというもの。飢餓、貧困、犯罪、暴力、経済などデータを示して論じている。…↓引用
「進歩というのはその足跡が見えにくい。〜基準が高まるにつれ、過去には見過ごしていたはずの行為にも敏感になったからである。」
本書の現状で十分良い方向に向かっているという認識や、原子力発電の推進などは、政治的な指示基盤でいうと「保守」の容認に繋がりリベラル指示層、宗教家などは居心地が悪くなってしまいそうな気がする。日本国内に於いても政権与党が環境問題やマイノリティへ配慮した政策を始めたせいで、野党は、より過激な主張をせざるを得なくなり広い支持を受けづらくなっているように見える。
本文中で紹介されているフランス・フクヤマの「歴史の終わり」も気になったので今度読んでみることにする。続きを読む投稿日:2024.02.18
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