モンテーニュ 人生を旅するための7章
宮下志朗(著)
/岩波新書
作品情報
「人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちを備えている」──不寛容と狂気に覆われた一六世紀のフランスを、しなやかに生きたモンテーニュ。本を愛し、旅を愛した彼が、ふつうのことばで生涯綴りつづけた書物こそが、「エッセイ」の始まりだ。困難な時代を生きる私たちの心深くに沁み入る、『エセー』の人生哲学。
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商品情報
- シリーズ
- モンテーニュ 人生を旅するための7章
- 著者
- 宮下志朗
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2019.07.19
- Reader Store発売日
- 2019.12.26
- ファイルサイズ
- 13.5MB
- ページ数
- 250ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (7件のレビュー)
-
「モンテーニュ」宮下志朗著、岩波新書、2019.07.19
240p¥907C0210(2020.06.27読了)(2020.06.10借入)
副題「人生を旅するための7章」
モンテーニュの代表的著作…は、『エセー』で日本では『随想録』と訳されたりしています。
僕も、モンテーニュと『随想録』をセットで覚えてきましたが、読んだことはありません。
堀田善衛さんの『ゴヤ』を読んだ縁で、同じ著者の『ミシェル城館の人』を購入してしまいました。しばらく積読していたのですが、第一部を2020年3月から読み始めて、第三部を5月に読み終わりました。モンテーニュの評伝とでもいうような本です。随所に『エセー』が引用してあります。
『ミシェル城館の人』を読んだついでに『エセー』も読んでしまおうと目論んでいますが、400頁ほどの本が6巻もあるので、大変そうです。
ということで、助走として、この本を読むことにしました。
序章で、モンテーニュを紹介し、第1章から第7章で、『エセー』のさわりを紹介してくれています。さわりで満足できれば、『エセー』に取り掛からずに済むでしょう。
モンテーニュのフルネームはミシェル・エーケム・ド・モンテーニュです。(2頁)
1533年2月28日、モンテーニュ村の城館で生まれた。(2頁)
モンテーニュ村は、ワインで有名なボルドーの50キロほど東にある小さな村。(2頁)
ボルドーは、スペインの画家ゴヤが晩年を過ごしたところだったと思います。その関連で、堀田さんは、モンテーニュに興味をもったのかもしれません。
1580年、『エセー』初版(第1巻・第2巻)を自費出版。(15頁)
1581年9月~1585年7月までボルドー市長を務める。
1582年、『エセー』第二版刊行。(17頁)
1588年6月、『エセー』第1巻・第2巻の改訂版と第3巻を刊行。
1592年9月13日、モンテーニュ死去。享年59。(23頁)
1595年、モンテーニュ生前の加筆訂正を反映させた『エセー』死後版刊行。
「人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちを備えている」(27頁)
「私が書物に対して、最初に興味を覚えたのは、オウィディウスの『変身物語』の神話を読んで、面白かったのがきっかけです。」(52頁)
「セネカは、プルタルコスと並んで、モンテーニュにとってもっとも大切な古典なのであった。」(65頁) (セネカの『倫理書簡集』、プルタルコスの『モラリア』)
「ソクラテスは、どこの出身かと聞かれて、「アテナイだ」とは答えずに、「世界だ」と答えたのです」(83頁)
「野蛮人たちが、われわれにとって不思議だとしても、それはわれわれが、彼らにとって不思議なのと同様のことにすぎないのであって、たくさん理由があるわけではない。」(107頁)
「拷問というのは、危険な発明であって、真実を試すというより、むしろ、忍耐を試すものであるかに思われる。」(123頁)
「モンテーニュは、人間が個人としてかけがえのない存在、還元不可能な存在であることを実感して、そのことを書きつけた、最初の人物ではないのか。」(197頁)
「さまざまな対象と接する機会をみずからに与えて、そこで「判断力」を実践するという「試み」が『エセー』という作品の企てなのです」(207頁)
「『エセー』を最初から、つまりは第一巻第一章から律儀に読んでいくと、まずほとんどの読者が頓挫してしまう。」(218頁)
(『エセー』は)「「哲学」としてしかつめらしく考えて読むのではなくて、「経験」「体験」の書物として読めば、親しみを持って読み進められます」(222頁)
☆誤植と思われるところ
203頁上段
未刊の遺作『孤独な散歩者の夢想』の⇒未完の遺作の『孤独な散歩者の夢想』の
【目次】
まえがき
序 章 モンテーニュ、その生涯と作品
第1章 わたしはわたし
――「人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちを備えている」
1-1 人間はだれでも
1-2 「わたし」を抵当に入れてはならぬ
1-3 おしろいは顔だけで十分
1-4 「店の奥の部屋」を確保しよう
第2章 古典との対話
――「わが人生という旅路で見出した、最高の備え」
2-1 ローマ人とともに育てられたミシェル
2-2 書物、人生という旅路の最高の備え
2-3 昼型の読書人、夜型の読書人
2-4 セネカ vs.プルタルコス
2-5 ソクラテスに徳の輝きを見る
2-6 ソクラテス的な知のありようとは
第3章 旅と経験
――「確かな線はいっさい引かないのが、わたしの流儀」
3-1 どこか遠くへ行きたい
3-2 旅することの快楽
3-3 死の隠喩としての旅
3-4 旅は人間を知るための最高の学校
第4章 裁き、寛容、秩序
――「わたしは、人間すべてを同胞だと考えている」
4-1 真実と虚偽は、顔も似ている
4-2 拷問とは危険な発明
4-3 寛容の精神、世界市民として
4-4 「変革」をきらうモンテーニュ
第5章 文明と野蛮
――「彼らは、自然の必要性に命じられた分しか、望まないという,あの幸福な地点にいるのだ」
5-1 野蛮と野生
5-2 自然と人為
5-3 はたしてどちらが野蛮なのか
5-4 野蛮人から文明人への眼差し
5-5 文明化と相互理解
第6章 人生を愛し、人生を耕す
――「われわれはやはり、自分のお尻の上に座るしかない」
6-1 なにごとにも季節がある
6-2 「愚鈍学派」でいこう
6-3 病気には道を開けてやれ
6-4 老いること、死ぬこと
第7章 「エッセイ」というスタイル
――「風に吹かれるままに」
7-1 探りを入れる、彷徨する
7-2 引用する、借用する、書き換える
7-3 「ぴったりとは合わない寄せ木細工」とソクラテス
7-4 「エッセイ」の誕生
コラム
1 ラ・ボエシーとの友情、喪の儀式
2 『エセー』の陰に女性あり――グルネー嬢とノートン嬢
3 温泉評論家モンテーニュ
4 二つの『エセー』――「一五九五年版」vs.「ボルドー本」
5 モンテーニュの塔を訪ねる
6 モンテーニュというライバル――パスカル、ルソーなど
あとがき
主要参考文献
モンテーニュ略年譜
『エセー』総目次
☆関連図書(既読)
「ミシェル城館の人 第一部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.10.25
「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25
「ミシェル城館の人 第三部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.12.20
「モンテーニュ」原二郎著、岩波新書、1980.05.20
「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20
「王妃マルゴ(1)」萩尾望都著、集英社、2013.01.30
(2020年7月8日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
「人間はだれでも、人間としての存在の完全なかたちを備えている」―不寛容と狂気に覆われた一六世紀のフランスを、しなやかに生きたモンテーニュ。本を愛し、旅を愛した彼が、ふつうのことばで生涯綴りつづけた書物こそが、「エッセイ」の始まりだ。困難な時代を生きる私たちの心深くに沁み入る、『エセー』の人生哲学。続きを読む投稿日:2020.07.08
エッセイという言葉の語源となった「エセー」という本を書いた、モンテーニュについて語った本ですね。「エセー」には興味がありましたが、超大作でもあり、かつ翻訳も値段が高いので、なかなか読むにはハードルが高…い本ではあります。その中で、作者のモンテーニュ自身について書いた新書があると知って読んでみました。
「エセー」がどのように書かれたのかという事が、時代背景も含めてよく理解できますし、随所に「エセー」に書かれた金言もたくさん載っており、手軽に「エセー」のエッセンスに触れることができるので、とても良い本だと感じました。
「エセー」本編も、いずれきちんと向き合いたいなと思います。続きを読む投稿日:2022.04.06
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