寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか(大和出版)
チェコ好き(和田真里奈)(著)
/大和出版
作品情報
「めっちゃ刺さる」「腑に落ち過ぎる」と人気のコラムニスト初書籍! 女のしんどい毎日がラクになるメッセージと本をお届けします。 【登場書籍リスト(一部抜粋)】『ここは退屈迎えに来て』山内マリコ/『生きがいについて』神谷美恵子/『ピンヒールははかない』佐久間裕美子/『生きて行く私』宇野千代/『サンクチュアリ』著:ウィリアム・フォークナー、訳:加島祥造/『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』梯久美子/『待つ力』春日武彦 など 【著者紹介】チェコ好き(ちぇこずき) 本名:和田真里奈(わだまりな)コラムニスト、ブロガー。1987年生まれ。ブログ「チェコ好きの日記」で旅・読書・アートについて書く。恋愛サイト「AM」での連載「女の人生をナナメ上から考えるブックガイド」など、様々なメディアで執筆しつつ、都内のIT企業に勤務している。いちばん好きな作家は村上春樹、人生で最も影響を受けた本は『グレート・ギャツビー』。
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商品情報
- 著者
- チェコ好き(和田真里奈)
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- 大和出版
- 書籍発売日
- 2019.09.30
- Reader Store発売日
- 2019.11.01
- ファイルサイズ
- 4MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (7件のレビュー)
-
最近は専ら女性作家さんの作品ばかりを読んでいる。特に同世代が主人公の作品を。
ある日、他にも同世代の女性が主人公の作品はないかな~と、Google先生に相談していたところ、出てきた答えがこの作品だ。
…
32歳、独身、非正規雇用の彼女が、「自分自身」と「社会」の間でもがき、モヤモヤしがちな女の人生を、35冊の本を紹介しながら向き合っていく、サブカルクソアラサー/アラフォー向けの自分探し指南本。
何かにつけ「そもそも論」を考えてしまう、常に「普通」を疑う人生ハスり野郎のわたしには納得しかない言葉の数々。
そんな「モヤモヤ」するテーマの中で紹介される本はさらに興味深く、読書欲をくすぐられる。
しかもこの作品のタイトル「寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか」というサブカル感溢れる感じもたまらない。
好きな人ができる→結婚を考えようになる→結婚する→子どもを産む
ここには、そもそも論として、結婚や出産以前に、誰かと生活をするということ、つまり、「誰かと生きる=幸せ」であるという前提がある。
産まれた時、わたしには家族がいた。それを当たり前のように享受してきた。でも、じゃあ自分が家族をほしいと思うかどうか。子どもをほしいと思うかどうか。そこを疑うって、たぶん「家族」という当たり前の存在に違和感を持っていたからだ。子ども時代が楽しかったというより苦しかったからだ。
優しい同僚は言う。「naonaonao16gには幸せになってほしい」。ありがたい話だ。けれど、同僚が言う「幸せ」はおそらく、そもそも論の「幸せ」のように感じている。では、わたしが思う「幸せ」とは。それをここで一言で言えるのなら、この作品を手に取ってはいないだろう。
誰かといて「幸せ」と感じることもあるし、誰かといることに閉塞感を感じて、一人の時間を「幸せ」と感じることもある。いつもわたしの中で、この「誰か」と「一人」のシーソーがぎったんばっこんしているのだ。けれど、ここでもやもやしているということは、結局「誰か」といる選択肢を捨てられないからで、だからそれを見抜いた同僚が、そもそも論の「幸せ」をわたしに願うのかもしれない。
このとてもシンプルな「幸せと呼ばれるもの」を疑いだしてしまうと、様々なことに対して当たり前を疑い出す。そして、そういう奴は基本的に「めんどくさい奴」として距離を置かれがちなのに、距離を置かずに関わってくれる多くの人たちがいることには、まじで感謝しかない。みんなありがとう。
さて、独り言つきでこの作品の印象的な部分を抜粋すると、
P46「空腹は一度満たしても、数時間したらまた訪れる。同じように、どんな夢も理想も、叶っては現れ、叶っては現れで、生きているうちに完全に満たされることはない」
→ええええ!この満たされない感じ、ずっと続くの!?という気持ちと、うーん、悲しいけどそうなのかもな、という気持ち、その両方が、同じくらいの割合で存在している。そして、こう続く。
P47「彼氏がいない女性は彼氏がほしいと悩み、彼氏がいる女性は結婚したいと悩み、結婚した女性はセックスレスや育児に悩み、子どもから手が離れた女性は『寂しい、孤独だ』と嘆き…と、まあそんなもんである」
→確かに、わたしはいつも彼氏ができたらできたでその関係性に頭を悩ませている(笑)仕方ない、これを80歳まで続けていこう。
P57「ライフイベント高発生系ゲームは、結婚したら夫婦の共同生活、子どもが生まれたら育児と、課題が向こうからやって来てくれる。でもライフイベント低発生系ゲームは、ボーッとしていると目にみえるような課題は降ってこない。課題自体を自ら創造する必要がある」
→そうなんよ!!!孫の成長は早いから年に何度も実家に顔を見せる価値があるけれど、アラサー/アラフォーは年1回の帰省でも、ちょっと白髪とシワが増えたくらいしか変化がないのよ!!
P97「自分に自信を持っている人間は、『待つ』ことへの耐性が高い。メンヘラ気味の人ほど次々にLINEを送ってしまうのは、その人が自分に自信を持てていないからと言えるかもしれない」
→ぐぬうぅぅぅぅ。最近はどちらかというとわたしが誰かを待たせているような気がしている。そして、待たせていることに時折苦しくなっている自分がいる。これも自信のなさなんだろうか?
P113「ひとり相手に自分のアイデンティティのすべてを託そうとするからこそ、私たちは不倫や浮気を人類史上でもっとも恐れる時代を生きている」
P117「おそらくいいカップルとは、ずっと変わらない愛を誓い合う2人ではなく、揺らぐ心も気持ちの変化も、妥協して受け入れ続けられる2人なのかもしれない」
→この章では、「なぜ不倫が起こるのか」に対して、それは「あまりにも多くのことを結婚に求めがちだからなのではないか」という筆者の答えを、村田紗耶香さんの「消滅世界」を取り上げながら説いている。そして、村田さんの作品を読んでいれば当然ぶち当たる「普通とは何か」に対して、さらに上野千鶴子さんの「女ぎらい ニッポンのミソジニー」も取り上げ、「あたりまえ」を疑ってみることの重要性を説いている。「あたりまえ」の背景には、表面化されてこなかった差別や不都合なルールが潜んでいることが多いのだ。
P164「セクハラや#MeToo、男女の問題も、『抑圧する男性』『抑圧される女性』なんて、きれいに分かれた単純な構造で考えることはできない。考えられるのは、『何か特定の態度を他人に強制しないほうがいいんじゃないかな』ということである。(中略)同じ女性とはいえ、男の人をいなすのがうまい人もいれば、下手な人もいる。特技を活かしてうまくやっていけばいいのだけど、それが苦手な人に『それくらいできなくてどうすんのさ』などと言ってはだめなのだ」
→そうだよね…今日書いた社会派エッセイ(下記にリンク有)はまさにこのことを書いていて、わたしは「男性」「女性」といっしょくたにしてしまったなと反省…だけどね、人の金メダルを噛んじゃいけないよ!
わたしももう少し受け流せるようになりたいし、受け流せる子と仲良くなりたいし、もっといろんな人を責めずにフェアに捉えてみたい。
P193「大切な人だから言えないんじゃない。大切な人だからこそ、言うべきことは言わなきゃいけないんじゃないか」
→これ今まさに読んでいる角田光代さんの「太陽と毒ぐも」でも思ったし、仕事でもプライベートでもぶちあたりまくりのことで。嫌なことを嫌っていうことの大切さ。最近ほんとにこの大切さが身に染みて感じることが立て続いているのだけれど、いざ実践しようとすると、これって本当に難しい。
そんなことを悶々と考えている時に起こった事件が、名古屋市長金メダル事件だ。わたしはこの事件に最近見たホラー映画以上の恐怖を覚え、文章にしたためることにしたのだ。もしよろしければ、お盆休みにでもお読みください。
https://note.com/tattychannel/n/n0f1cec9efbcc続きを読む投稿日:2021.08.08
今ひとつでした…
色んな本が紹介されていて、1冊は買ったけど他はあまり興味わかなかった…
独りで生きていくことに寂しさや疑問を抱えてる方には力になるかもしれない投稿日:2023.07.09
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