「面白い」のつくりかた(新潮新書)
佐々木健一(著)
/新潮新書
作品情報
ウケるプレゼンをしたい。斬新な企画を考えたい。人の心をつかみたい。誰もがそう思うけれども、そう簡単にはいかないもの。どうすれば「面白い」と思ってもらえるのか。ポイントはどこにあるのか。「安易な共感を狙うな」「アイデアは蓄積から生まれる」「人と会う前に学習せよ」――長年、ひたすら「面白い」を追求してきた著者がそのノウハウ、発想法を惜しげもなく披露した全く新しいアウトプット論。
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商品情報
- シリーズ
- 「面白い」のつくりかた(新潮新書)
- 著者
- 佐々木健一
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2019.09.14
- Reader Store発売日
- 2019.09.27
- ファイルサイズ
- 3MB
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この作品のレビュー
平均 4.1 (16件のレビュー)
-
テレビ番組(主にドキュメンタリー)の面白さとは、という視点でまとめられた本。
興味深かった点はいくつかあったが、最も納得したのは以下の点。
===
テレビは、googleの逆をいけ。
多くの視聴者が…テレビに求めているのは、いい番組や面白い番組を見せてくれること。dボタンで何ができたり取ってつけたような双方向性(tiwtterのコメントを載せたり)をテレビに求めてはいない。
一方通行の受動メディアであるテレビの最大の強みは、視聴者に「偶然の出会い」を提供できること。「たまたま見た番組が面白かった」これである。続きを読む投稿日:2020.05.05
「面白いとは、差違と共感の両輪である」
アイデアは組み合わせによって出来上がる。組み合わせとは足し算や、掛け算のことだけを言うのではなくて、引き算も含まれる。たとえばツイッターは「従来のブログ機能」に…あえて「文字数の制限」を組み合わせた結果成功した。
「合わせ鏡の法則」取材をする時、自分自身の姿勢が相手にも反映される。テンション高く聞けば相手も高く、抽象的に聞けば抽象的に、論理的り聞けば論理的に答えが得れる。相手の本音を引き出したければまず自分が本音を語ることが大切。
「わかりやすさ」=「面白さ」ではない。しかし、「わかりそうでわからない」というものは吸引力を持っており、興味を持続させる。「モナリザ」のように、わかりそうでわからないものは面白い。
あらゆるコンテンツは「構成」から逃げられない。ほぼ全てのコンテンツは「時間」という概念に縛られている。始まりがあって終わりがあるコンテンツはすべて「構成」が関わってくる。
構成する上で役に立つ手法がペタペタ、壁一面に場面を書いた付箋をはって、それを見て貼り替えて全体を構成する。この方法は全体を俯瞰できるので良い。プレゼン、本の内容など幅広く転用できる。
世の中の名作と言われている創作物に共通する構造として三幕構成がある。「問題提起」「問題の複雑化」「問題の解決」の順番に進む。25.50.25パーセントぐらいの割合である。前の幕が次の幕を押し進める形が理想である。問題提起(問い・謎)が一番大切であり、物語の芯になるのでしっかり考えるべきである。
世の中のコンテンツは「人間とは何か?」というテーマを大なり小なり内包している。
人間の視細胞は中心にあつまり、主観的な視点では中心のものは大きく見える。ジブリなどはその特性に合わせ主観的な世界を描いている。
単純作業では金、クリエイティブな作業では内発的動機がモチベーションになる。
「現場の人間が、前のめりで取り組む状況をいかに作れるか」これが本来あるべきプロデュースやマネジメントの肝であり、そうした中から革新的な作品も生まれる。
リモコンを押すだけで気楽に見られるテレビ番組をきっかけに、時に自分でも予測しなかった「新たな自分」が掘り起こされ、世界が広がる。そうした「偶然の出会い」を演出できるのがテレビの醍醐味である。負荷が少ないのも強み、自分から検索しなくても良い受動メディアのため楽である。
コンテンツが競い合う時代。テレビは大量生産・消費型のスタイル。ネットの動画配信サービスは、会員制で顧客を抱え込む方向。お客さんを逃さないために優れた作品を独占配信しようと動いている。長い間多くの人が好きな時に見ることが出来る。この流れが進むと、これからは個々の作品のクオリティーがより重視される時代が訪れる。その時問われるのは「作品を生み出す人=クリエイター」の存在価値。一つの作品と一つの人格は不可分。一方日本のテレビ業界は、分業制で署名性が乏しい。誰の作品か曖昧で矜持が失われる。
各媒体は今後、他と違う良質なコンテンツをどれだけ抱えているかが勝負になる。客を呼び込める魅力的な作品ラインナップをどれだけ揃えられるかによって視聴者数や契約者数も変動する。
世界ではコンテンツ優位な状況でクリエイターに還元されるようになっている。しかし、日本では「番組の著作権が放送局に帰属している」ためあまり還元されない。すると、手間をかけてクオリティーの高い番組を作っても、次々に新作を作らなければ収益が上がらない。利益を上げるために予算を切り詰めるという発想になり、演出も挑戦的なものを避けるようになる。その結果、現場は疲弊して、面白いコンテンツも生まれなくなる。いい作品を作り、ヒットした場合、制作した当事者に利益が還元されるなら、クリエイターは「より良いもの」を作ろうとするのは当然。良質なコンテンツができるとお互いに得をする。動画配信サービスはそのことについてわかっているのでそっちに流れてしまう。権利の問題は業界全体の問題、業界の活性化のためにも考えなければならない。続きを読む投稿日:2024.03.22
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