図解入門ビジネス 最新 アセットマネジメントの基本と仕組みがよ~くわかる本
勝盛政治(著)
/秀和システム
作品情報
アセットマネジメントは、運用会社などの専門家が成長性の高い企業などへ顧客に成り代わって投資し、運用・管理を行う業務です。アナリスト、ファンドマネージャー、ミドルオフィスなどかかわる人も多く、専門性も高いため全体像を示した入門書はほぼありません。本書は、アセットマネジメントの基礎知識から、求められる行動規範、現代ポートフォリオ理論、さらに関わるプレイヤーの役割まで解説した資産運用ビジネスの入門書です。
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この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
-
資産運用・投資について幅広く解説している。
分かりやすく書かれてはいるが、内容自体がそもそも取っつきにくいため何度も読み返す必要がある。
実務で運用を扱ってから再度読み返すと、真に理解でき、うわべだけ…の知識ではなくなった。続きを読む投稿日:2020.04.27
このレビューはネタバレを含みます
アセットマネジメントの仕組みと基本がよーくわかる本
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【1】アセットマネジメントの世界
■アセットマネジメントとは
・様々な資産を効率よく運用・管理する業務
・投資家に代わり、高度な知見をもってより適…切な運用をする。
■資産運用(オーダーメイド型/レディメイド型)
・オーダーメイド:特定の投資家の意向や目的に合わせる
・レディメイド:予め用意した商品から、意向に沿った商品を購入してもらう。
■AMの使命
・資産運用して資産を増やし、運用の報酬を得る
・顧客へのリターンの最大化
・成長性の高い企業/社会的に適切なお金の配分
■ストック型ビジネス
・資産の残高に応じて、その期間収入を得る。
⇔フロービジネス:仲介手数料など一時的
■フィーのとらえ方
・リターンが多く資産が増えれば増加。
・より良いリターンを提供すると、長期的に良好な信頼関係。
・顧客と目ざるところが同じであるWIN-WINなビジネス
■変遷
□年金
・1990年:信託銀行と生命保険が運用
→投資一任契約などの規制が緩和→運用会社が年金の運用
□投資信託
・1951年から存在
・1988年証券会社でしか買えなかった投資信託を銀行窓口で販売解禁
・2005年郵便局窓口での販売解禁
・上場型投資信託としてETFが商品化
・1985年20兆円の攻防販売の投資信託が、現在は100兆円
■アセットビジネスの現状
□成長産業
・確定給付型の年金→今後給付が増えるので伸びは期待できない。
・確定拠出型の年金→加入者数1千万人が視野に。
・家計の預金1千兆円→今後の資産形成に向けた潜在的な投資余力。
・現役世代/シニア世代も自助努力による資産形成・資産防衛の意識は高まっている。
・企業の余裕資金の増加、学校法人などの資産運用ニーズの高まり。
・今までの国債の低金利運用から、専門的な運用を行うAMにお金が入ってくる。
□コスト競争
・世界の低成長による機体リターンの低下
・運用のパッシブ化→パッシブ運用にお金の流れが続く。コストを抑える事にしのぎを削る。
・コスト引き下げの圧力。
□世界的な競争
・運用会社は世界との競争
・世界の多くの運用会社の商品が日本に提供。
□競争力の源泉
・長年築き上げてきた投資哲学と運用プロセス
・顧客に良質なリターンを提供するための源泉
・必ずしも規模/多くの人材が必要とは限らず、専門性の高い集団が重要
【2】AMに求められる行動規範
■受託者責任
・受託者とは、年金、投資信託の運営や運用に関わる立場にある人
・信じてお金を託されているため、責任が生じる。
・善管注意義務:善良な管理者の注意義務
・忠実義務:年金加入者・受益者の利益のためだけに忠実に業務を遂行する。
■成長戦略のインベストメント・チェーン
・投資家の投資対象となる企業が、中長期的な価値向上によって利益を拡大し、
それに伴う配当や賃金の上昇が、最終的に家計にまで還元されるという流れ。
・スチュワードシップ、コーポレートガバナンス→法的拘束力はない
・今プライ・オア・エクスプレイン→原則を実施、実施しない場合はその理由を説明。
・プリンシパル:自らが定める考えにより、目標を掲げる。
■スチュワードシップ・コード
・預かった資産をより良い状態で長期的に責任をもって運営する。
・2010年に機関投資家の行動規範として英国で制定、日本では2014年に策定。
・運用を託された機関投資家・運用会社は、「「エンゲージメント(目的を持った対話)」を通じて、
企業価値向上や持続的成長を促すよう積極的に働きかける事を求めている。
■スチュワードシップ・コードに基づく具体的な活動
・自社の方針を策定
・企業との対話や議決権の行使
・活動を報告・開示し、企業の中長期的な価値を向上させ、投資家や顧客の利益に結び付ける。
■信頼を醸成するコーポレートガバナンス
・目的は、企業を適正に経営し、健全な発展を図る。
・2015年にコーポレートガバナンスコードを公表。70か国で策定されている。
・国際標準に近づける。
■2014年フィデュ―シャリーデューティ
2015年顧客本位の業務運営
・受託者責任合
・専ら顧客のために。顧客至上主義に基づいて優れた金融商品やサービスを提供する。
・7つの原則
【3】投資の基本~リスクとリターンの考え方~
■投資とは
・株式や債券など金融資産への投資をし、金融市場を通じて取引をする。
□投機
・ギャンブル
・ゼロサムの世界:儲かる人と損する人がいる。パイが増えない世界
・短期的に為替を売買するフォレックス取引、株式の短期売買は投機色が強い
・価格の動きや歪みから利益を上げる。
□投資
・経済活動からのリターンの獲得を目指す。
・経済・企業の成長に伴って、株式を保有している人はみんな収益を得られる。
・年金基金など、長期的に投資することによって経済活動の拡大に伴い配当や収益でリターン
・プラスサムの世界:みんなで収益を分かち合う
■投資のリターンは長期で考える
・長期で見れば見る程、短期的な価格変動の影響を排して、その投資対象が持つ本源的なリターンを得る確率が高くなる。
□期待リターン
・どのくらいのリターンを得られるか、期待収益率を前提にする。
・期待リターンは、短期であるほど市場に影響される。
・投資方針やポートフォリオの策定は、出来るだけ長期の期待リターンを用いて行う。
□日常のリスクと投資リスク
・投資リスクとは、「価格のブレ幅=不確実性」のこと
・リスクとは悪役ではなく、大きなリスクを取ると大きな収益の機会でもある
□本質的リスクと固有リスク
・市場の動きに影響を受ける本質的なリスク
(株式:経済動向・金利・インフレ/債権:金利・インフレ)
・固有の影響を受ける固有リスク
(株式:個々の企業業績/債権:国や企業の発行体の信用力)
□リスクの把握
〇平均分散法
・リターンのバラつきの平均値を平均リターンとし、その値を中心にどの程度リターンがばらつくか「平均」と「分散」の2つの尺度で行う
・リターンが平均値から外れる度合いを標準偏差という。
〇正規分布
・平均分散アプローチは正規分布の考え方をベースにしている。
・統計学の確率分布の考え方。
・一定数の母集団を用いる事で、正規分布を想定できる。
〇標準偏差とリスク
・平均分散法による正規分布により、リターンが平均値から外れいる度合いである標準偏差を用いてリスクの大きさを把握する。
・ボラティリティ=リスクと同義
□見えるリスクと見えないリスク
・落ち着いている顕在リスクと、見えない潜在リスク
・予測できず発生確率は低いが、発生した場合は大きな損失可能性があるリスクをテールリスクと呼ぶ
□テールリスクの管理
・VaRと呼ばれるアプローチ
・ストレス・テストを用いて補完する。
〇VaRによる管理
・まれにしか発生しない事象の発生確率においてどれくらいの影響があるのか、を想定する。
①過去の一定期間の変動データに基づき
②将来のある一定期間のうちに
③ある一定の確率で生じる可能性のある最大損失月を指す
〇ストレス・テストによる管理
・将来起こりえると考えられるストレスシナリオを策定し、その際に資産の価値がどれだけ既存するか測定する続きを読む投稿日:2022.03.27
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