謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)
鴻巣友季子(著)
/新潮選書
この作品のレビュー
平均 4.0 (16件のレビュー)
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新潮文庫で既に『風と共に去りぬ』の訳を手がけられた、鴻巣友季子さんの『風と共に去りぬ』論。100分de名著の名講義をオンデマンドで見て、すごく面白かったので、これまたようやく退院が見え始めた頃に病室で…読み始め…本日読了した。
初めて中学生で『風と共に…』読んでからずっとの、私の疑問は3つ。
『アシュリ・ウィルクスとは、本当はどんな男の人なのだろう?(カッコいいって言われる割に、どんな男の人か、性格とか今ひとつよく判らないのよね)』
『スカーレットって賢いのに、こんなにおばかさんに書かれているのはどうしてだろう?』
『逆に、メラニーが、ばかだの意気地なしだの(ボロカスに書かれているのに)ひ弱には見えなくて、案外スカーレットと二人、いいコンビに見えたり…。そのくせアシュリを巡っての恋敵なら、私がスカーレットだったら、ウィルクス夫妻、まとめて手を離してしまうのに。なんだ?この関係?』
ぼんやりと疑問に思い、そして形にはしないで、こうかな、ああかな、と考えてきたことが、疑問氷解!すっきりした。実はこうだったんだよ、ということを詳らかに書いてしまうと、この本の面白いところがネタバラシになってしまうので、自粛しておくけれど。難しいと思って『風と共に…』に???が一杯ついてる方や、映画や小説の、定着したイメージから一度離れて、じっくり小説を読んでみたい方には、面白い本だと思う。
アレクサンドラ・リブリーの公認続編や、ヴィヴィアン・リーの評伝は読んだし、十分自分は詳しいわ、という方も、ざっと小説を読んだんだけど、という方も。笑ったり膝を打ったりしながら、きっと夢中で読んでしまわれるのではないだろうか。
ところで。本書に引用されていたミッチェル自身の書簡の訳がとても興味深くて、もし評伝や書簡集も出ているなら、ぜひ読んでみたい。ミッチェル自身は、周到に作品の大ヒットの名声から、一枚ヴェールを上手に身に着け、作品とはまた別の、自分の人生を生きた人のように思えたからだ。
面白い本に当たると、こうやって深堀りして行きたくなるから、読書ってやつはたまらない。続きを読む投稿日:2020.07.14
2015年に新潮文庫からマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind→GWTW)全5巻の新訳を行った鴻巣友紀子氏が、翻訳を通して見えてきたGWTWと、作者マーガレ…ット・ミッチェルがこの大ベストセラー小説に込めた想いを分析した評論。
GWTWはマーガレット・ミッチェルが10年をかけて書き上げ、発売と同時にベストセラーとなりピュリッツアー賞を受賞した。しかしながら、それだけの功績を挙げながらもこの作品はベストセラーになった→大衆小説という扱いを受けてアメリカの文学史においてもあまり顧みられなかったばかりか、作者であるマーガレット・ミッチェル自身の生い立ちや、作品の時代背景(南北戦争前後)から生まれる人種差別等に対する記述などにばかり注目がいき、その複雑かつ精緻な文体の構成といったテクスト批評がほとんど行われなかったと筆者は言う。
鴻巣友紀子氏は別のエッセイの中でも翻訳という作業は訳を書くのは全体の作業のごくごく一部でしかなく、翻訳作業のほとんどは繰り返し繰り返し深く原文を読み込み、深く理解する事であるという。
だから、翻訳するにあたって作品を何度も読み込むことによって、自分自身のGWTW感も大きく変わり、実はこの作品の真のヒロインは強気で強引なスカーレット・オハラではなく、無垢でか弱いと思われがちなメリー、メアリー・ウィルクスではないかと思うに至ったという。
原文も引きながらの解析は是非新潮文庫版全五巻を横に置きながら読んでもらいたい。
一度読み終えた「風と共に去りぬ」をもう一度楽しむための一冊。続きを読む投稿日:2021.07.20
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