【お試し特別版】安楽死を遂げるまで
宮下洋一(著)
/小学館
作品情報
第40回講談社ノンフィクション賞受賞作品!
死の「瞬間」にまで立ち会った衝撃ルポ!
安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。
79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った「過程」を辿りつつ、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。
<医師は、老婦に向かって、「もう大丈夫よ、もう少しで楽になるわ」と呟いた。15、16、17秒、そして20秒が経過した時、老婦の口が半開きになり、枕にのせられていた頭部が右側にコクリと垂れた。まるで、テレビの前でうたた寝を始めたかのようだった。・・・・・・死の直後、犯行現場に居合わせている気分に襲われた。私は老婦の横で、ただ祈りを捧げ、自らへの罪滅ぼしを演じていた>――プロローグより
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商品情報
- シリーズ
- 【お試し特別版】安楽死
- 著者
- 宮下洋一
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 小学館
- Reader Store発売日
- 2019.06.05
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.9 (40件のレビュー)
-
「安楽死」とは本書では
(患者本人の自発的意志に基づく要求で)意図的に生命を絶ったり、短縮したりする行為
を指す。
本書では欧州の事例を中心に、実際に安楽死を遂げた人、その家族や近しい人、そして幇助…した医師に取材し、彼らがどのような経緯で安楽死を選び、実践したのかを追う。
著者は日本人だが、欧州で20年以上、生活している。
安楽死の問題に取り組むきっかけは、スペイン人パートナーのひと言だった。看護師である彼女は、末期癌になったら躊躇わずに安楽死を選ぶだろうと言う。そして「あなたはどうしたいか」と聞いてくる。
その問いに、著者は即答はできなかった。逡巡なく答えられる問題ではなかった。
彼我の違いはなぜ生じるのか。
日本では近年、著名脚本家の安楽死を巡る発言が物議を醸したが、一般的に、安楽死を認める傾向は高いとは言えない。一方、欧米は、安楽死に関する法整備の整っている国もある。そうした国が大半とまでは言えないが、認めるべきではないかと言う主張は増えてきているようだ。
文化の違い、宗教、家族観、そうしたものが安楽死の問題にどのように関わるのかという疑問が出発点である。
本書の特色は、「個」にフォーカスし、視点が地に着いているところだろう。
いくつかの事例に関する当事者の発言、行動が詳細に記載される。著者自身が、他人の死を目の前にして自分がどう感じたか、心情的にどう揺れ動いたかも克明に記される。
「死」というものが個人に対してどういうものなのかに重点が置かれていると言ってもよい。
最初に取り上げられるのは、安楽死が合法であるスイスを拠点とする自殺幇助団体である。
その他、オランダ、ベルギー、アメリカ、スペイン、そして日本の事例が取り上げられる。
欧州ではいくつかの「安楽死」「尊厳死」に関わる協会がある。
その手法やポリシーにはいくつかの細かい、しかし厳然とした違いがある。薬物を飲むのか、医師が注射をするのか、あるいは患者自身が最後のスイッチを入れるのか。そして尊厳死の対象とされる「条件」は何であるのか。
法律との絡みはもちろんあるが、主催者それぞれの考え方によるところが大きい。
人が死を選ぶとして、それは自分だけの問題なのか。
身体的な苦痛が大きく、回復の見込みがないとすればどうか(とはいえ、本当に回復する可能性はまったくないのか)。
身体的な疾患でなく、認知症などの精神的な疾患であったらどうなのか。
自殺と殺人と尊厳死の線引きはどの程度明確にできるのか。
死に向かうそれぞれの人々は、読者にも鋭く問いを突き付けてくる。
自分であればどうするか。家族であったらどうするか。
具体的な事例と著者の内省は、読み手にも当事者の視点を持つよう促す。
個人的にはこれらの事例の多くは、自殺との線引きが困難であるように感じる。人生に絶望したから自殺することと本質的には同じなのではないか。
もちろん、読み手によって感じることは違うだろう。それだけこの問題は、「個」の視点が重要だとも言える。
本書で取り上げられた欧州の事例と日本の事例では、かなりの温度差があるように感じられる。
回復の見込みがないとされた患者が自ら死を選ぶ「権利」について、一歩二歩踏み込んだ欧州に対し、日本での事例はそこまでは至らない。家族が深くかかわっていることも特徴的だ。それが日本人のウェットな気質や社会構造のせいであるのかどうかはともかく、日本で例えばスイスのような形の「尊厳死」が法的に認められるのは、あるとしてもかなり先のことではないかと思う。
現状の欧州での尊厳死はどのようなものであるのか、そして「尊厳死」というものに対して読者がどう考えるのか、さまざまな問いを孕む点で、非常に考えさせられる労作である。続きを読む投稿日:2018.03.14
自分の命は自分の決定だとなんとなく思っていたが、死の重さについてこの本で認識した。
周囲を巻き込んでいく状況に、そうだよね、生きている時も周囲を巻き込んで生きているんだからね。
日本と欧米
個の考…え方がこれほど違うんだ。
生も死も違ってくるなあ。続きを読む投稿日:2022.09.09
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