ひねもすのたり日記(2)
ちばてつや(著)
/ビッグコミック
作品情報
国民的作家ちばてつやがマンガと出会った頃
中国大陸での苦難の引き揚げの旅を終え、千葉一家はやっと全員無事に日本へ帰ってきた。引き揚げ先の千葉県・飯岡で、てつや少年はすくすくと育ってゆく。ある日てつやは、田んぼのあぜ道で初めて「マンガ」と出会った! 運命に引き寄せられるようにひと筋の道を歩み始めた少年の心の中と、現在の作家としての日常をユーモアたっぷりに描くオールカラーショートコミック。夭逝した実弟ちばあきお氏の想い出など、切実な思いが胸にしみる。
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商品情報
- シリーズ
- ひねもすのたり日記
- 著者
- ちばてつや
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- ビッグコミック
- 書籍発売日
- 2019.04.26
- Reader Store発売日
- 2019.04.26
- ファイルサイズ
- 37.1MB
- シリーズ情報
- 既刊6巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (5件のレビュー)
-
毎回4Pのたり連載だから、ゆっくりと読んでゆくと決心してからいつのまにか2年半近く経ってしまった。図書館にもネットカフェにも置いていないので、これは買うことにしている。
おそらく、ちばてつやの代表作…のひとつになると思う。老齢の漫画家が、何処まで描けるのか、その一つの典型を、ちばてつやは、史上初めて我々に見せてくれつつある(杉浦茂は例外)。老齢だからこそ描ける世界があることを、本書で我々は初めて知るのである。葛飾北斎は88歳まで現役だった。ちばてつやは、あと7年は頑張ってもらいたい。
とは言いながら、1話目は高井研一郎の生前葬の葬儀委員長をやった時の思い出で、2回目の委員長をやろうとしたら本葬になったというエピソードだった。そうだった。山口六平太の新しい話はもう読めないんだ、と突然寂しくなった。ちばてつやも、いつ亡くなってもおかしくはない。
実弟のちばあきおの話も、全て器用になんでもこなす弟が、漫画を描いてみると四苦八苦して半年もかけて一作描いたというエピソードだった。兄からすると、漫画家になったことが弟の命を縮めたのではないか?という想いは(書いて無いけど)あったのかもしれない。「あの時引き止めなかったことに、少々悔いが残ります」と呟いている。でも、ちばあきおの描いた「キャプテン」「プレイボール」「チャンプ」などは、全て一つのテーマを「不器用に」追ったもので、作者の方はスポーツも勉強もそんなにも優秀だったとは、私は思いもしなかった。兄は書いている。「でも(略)多くの人々に長く愛される作品をたくさん描きあげたよ。‥‥ごくろうさま。」
その他、心にじんわりと響くエピソードがいっぱい。
前作は満洲からの引き揚げ体験がメインで、あれ以上のとっておきの話はないかも、と心配していたのだが、そうではなかった。今回の主な話は、漫画に初めて出会って、描き出して、初めて貸本屋から原稿料を貰ったところまで。ひとつひとつを丁寧に描くことで、此処まで読ませる漫画になるのか、と感心する。もしかしたら、ショートコミック形態で、テーマはなんでもあり、時々思いついたようにストーリーが流れるという形式が、ちばてつやには1番合っている形式なのかもしれない。全面カラーなので、アシも使っているはずだけど、色使いも目配りが届いている。アマゾン川で観た満天の星空の描写は、肉筆を展覧会に出したならば、必ず人々の足を止めることだろう。そして何よりも殆どの登場人物に生命が宿っている。特に父親、母親、兄弟、全部の登場シーンをその歳ごとに描き分けて、しかも何を考えているのか想像できるように描いているのは凄いと思う。
それから、小学3年で木内くんに勧められて初めて描いた漫画や、小学6年の時の漫画を見せてくれている(←物持ちが良い)。私は私の小学5年の時の漫画を持っているが、それとのレベルの違いをまざまざと見せつけられて、改めて漫画家にならなくて良かったと思った。続きを読む投稿日:2020.09.28
命がけの引き揚げの道中、学校入った時困らないようにってちばてつやに九九教えてたっていうお母さんのエピソードが強すぎて、なんてかもう見習える域を超えている……人間って簡単に死んじゃうんだというてつや少年…の学びと、人間ってこんなに強靭なんだという事実が同時にやってきて、に、人間……と頭ぐるぐるしちゃいました。
漫画家さんたちとの交流エピソードも相変わらずほっこり〜アマゾン川の泥水に指浸してミルクコーヒーみたいね‼︎って仰る望都先生かわゆすぎかな。続きを読む投稿日:2020.12.15
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