アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る
藤井 保文(著)
,尾原 和啓(著)
/日経BP
作品情報
デジタル化する世界の本質を解説!経済産業大臣の世耕弘成氏など、多くのリーダーたちが絶賛! ★★★★★★★★★★★ デジタル化の真の意味とは何か? リアル世界がデジタル世界に包含されることで、世界で何が起こっているのか? デジタルで企業が常に顧客とつながり現実世界の行動を リアルタイムでデータ化できるという明日の世界の常識を鮮やかに描き出した一冊。 日本が進めるべきデジタル化の「道しるべ」を知りたい方に読んでいただきたい。 ―――経済産業大臣 世耕弘成氏 推薦! ★★★★★★★★★★★★ 現在、多くの日本企業は「デジタルテクノロジー」に取り組んでいますが、そのアプローチは「オフラインを軸にしてオンラインを活用する」ではないでしょうか。 世界的なトップランナーは、そのようなアプローチを採っていません。 まず、来るべき未来を考えたとき、「すべてがオンラインになる」と捉えています。考えて見れば、モバイル決済などが主流となれば、すべての購買行動はオンライン化され、個人を特定するIDにひも付きます。IoTやカメラをはじめとする様々なセンサーが実世界に置かれると、人のあらゆる行動がオンラインデータ化します。つまり、オフラインはもう存在しなくなるとさえ言えるのです。 そう考えると、「オフラインを軸にオンラインをアドオンするというアプローチは間違っている」とさえ言えるでしょう。筆者らはオフラインがなくなる世界を「アフターデジタル」と呼んでいます。その世界を理解し、その世界で生き残る術を本書で解説しています。 デジタル担当者はもちろんのこと、未来を拓く、すべてのビジネスパーソンに読んでほしい1冊です。
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商品情報
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - IT・Eビジネス・資格・読み物
- 出版社
- 日経BP
- 書籍発売日
- 2019.03.25
- Reader Store発売日
- 2019.03.25
- ファイルサイズ
- 5MB
- ページ数
- 200ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (276件のレビュー)
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著者の藤井さんはビービット東アジア営業責任者/エクスペリエンスデザイナーという肩書で中国に在住していて、彼の国のデジタル化の速度と広さを目の当たりにし、その知識と経験をもって日本企業にコンサルティング…をしている。そういった理由から2019年春に書かれたこの本には中国の事例、特にアリババ、テンセント(WeChat)、平安保険の紹介がメインとなっている。本書は、それらについて表層的な紹介ではなく、現地企業との議論を通して得られた情報も含めて「アフターデジタルという社会システムのアップデート」として伝えるというものである。アフターデジタルとは『オフラインがなくなる世界の到来』であり、その意味を日本の多くの人は理解をしていないという一種の焦りがある。
さて、自分が中国上海に行ったのは2018年5月のこと。すでにそのときここに書かれていたようなことはほとんどすべての中国在住の人は当たり前のように体験をしていた。いわく、財布を使うことはめったにない、昼食はほとんどデリバリー、物乞いもQRコードを持っている、信用スコアを気にして人々が親切になった。
中でももっとも感心したのは、ほとんどのレストランでテーブルにQRコードが貼ってあり、店員が案内することなく空いている席に座り、おもむろにWeChatを立ち上げてQRコードを読み取るとスマホにメニューが出てきて、そのメニューからオーダーする。店ではどの席からのオーダーが分かるので、店員は出来上がった料理をその席に運ぶだけ。食べ終わったら精算はすでに済んでいるので、何も言わずさっさと出ていくだけ。超効率的だと思ったけれども、さらに上があって、何をどれだけ頼んでどれだけの頻度で食べにきているのかが正確にわかるため、ピンポイントでクーポンを流して来店を促したり接点強化にも即つながるというのだ。それは明かに新しいUXの体験であったし、そこからメニューの改善にもつながっているはずだし、今までもつことが顧客接点を持つことにつながっている。すべて、この本にアフターデジタルの世界で重要になるというエッセンスが詰まっているように思えた。
この体験のフレームは、新幹線の中でもコピーされていた。つまり、席の肘掛に付いているQRコードを同じように読み取ると、車内販売メニューが出てきて、そこからオーダーするとオーダーした食事や飲み物を席まで持ってきてくれるという仕組みになっていたのだ。日本の新幹線のようにワゴンを待つ必要もなく、小銭のやりとりも必要ない。これを体感することで、QRコード決済はここまで行って初めて便利だと思ってもらえるのだろうなと感じたし、ある程度の閾値を越えると自然に利便性が向上するものだと確信することができた。これが、将来の辿り着くひとつの形だろうと。
そういう感覚からすると、日本ではそこから一歩も進んでいないし、アフターデジタルについてやはり理解されていないことが多いのだと感じるのだ。
また同じく上海に行ったときには、本書で大きく取り上げられているフーマーにも実際に足を運んだ。そこでは、生きた魚・貝・エビ・ザリガニなどの新鮮な魚介類は目を楽しませてくれた。基本はセルフレジ。頭上を動くコンベアも配達に勤しむバイク乗りの人も、ある種のエンターテイメントにもなっていた。フードコートも立派(当然すべてQRコード決済)で家族連れでも楽しめそうな場所になっていた。著者は、「チャネルの自由な行き来」をアフターデジタルのOMOの特長と位置付けているが、正しくそれが体現されている場であると感じることができる。そこで得られたデータをUXに反映して、その改善を高速に実行していくというのがアフターデジタルの世界ということなので、実際に利用をしているとどんどんと改善されているのだろうと想像する。それだけのユーザとの深い接点ができあがっているように思うのだ。
巷間よく言われる「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は企業のためにあるのではなく、まずは社会インフラの基盤が変容するということを指すという。フーマーで注文可能な3km圏内は住宅価値が上がるということなので、まさしく社会インフラである。ホリスティックなユーザ体験に対する捉え方を変えていかないといけないということだ。
アリババの担当者が「データは資源であり、水や電気と同じ大切なインフラです」と考えているのは非常に示唆に富むところである。中国という国家体制だからこそ、それが可能となっているところはあるが、都市の効率化とそこに住む人の社会行動の最適化を実現するにあたって、法や道徳、市場ではなく、データドリブンな解決法を模索することはおそらくはより最適化された解決を産むことにつながるかもしれず、それが新しい社会となる可能性もあると考えるべきなのだ。
もちろん、そこには個人情報収集の問題などが横たわるのであるが、日本においてはそれ以前の問題としてデータやデジタル化に対する理解が根本的に不足している状態にある。本書はその不足を補うべく書かれたものでもあるのだが、この本は届いてほしい人には届かず、すでに十分にその意義を知っている人の手から届いていくのだろう。この本に限らず、それはデジタル格差を拡げる方向に進むということであるし、また社会のアフターデジタルに向けての準備が遅れたままであるということに他ならないのである。
本書の最後には、日本企業がいかに行動すると変わることができるのかが語られている。企業においては、まずはトップ主導での改革の必要性が強調される。そして、中国企業も認める日本ならではの強みは個別の「体験」を提供する上でプラスになると語りかけるのである。多くの企業トップにメッセージが届くことを期待する。
事例が中国に寄っており、それは著者も意識の上書かれているのだけれど、気をつけないと誤解するところもあるかもしれない。それでも、先行する中国のデジタル化とその背景を知る上で読みやすく優れた本。
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なお、この後続編の『アフターデジタル2』も上梓されている。
『アフターデジタル2 UXと自由』(藤井保文)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4296106317続きを読む投稿日:2020.09.07
2024年2月27日読了。DXは「リアルの取引を徐々にデジタルに移していく」発想・時間軸では到底間に合わない、「デジタル世界の中の一チャネルとしてリアルがある」=アフターデジタルと言える、すでに中国で…実施されている取り組みを多く紹介する本。中国が日本が目指すべき理想のDX国家とは思わないが、デジタル・DXと中国社会の相性の良さ、「合理的なことなら何でもやる」という彼らの発想には学ぶべきものがめちゃめちゃあるのだと思う。「高速のPDCA」がすでにリアルの店舗でも起きているし、高速PDCAをやるためだけの無人店舗とか、この発想の切り替えは頭で考えても、何度言われても、あるいは中国のビジネスを視察したとしても、理解できない人には理解できないものなのかもしれない…。続きを読む
投稿日:2024.03.03
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