三島由紀夫 ふたつの謎
大澤真幸(著)
/集英社新書
作品情報
近代日本が生み出した最高の知性が、なぜこれ以上ないほど「愚か」な最期を選んだのか? そして、「究極の小説」を目指して執筆した最後の長編『豊饒の海』のラストは、なぜ支離滅裂ともいうべきものになったのか? 1970年11月25日、三島は市ヶ谷駐屯地に向かう前に、編集者へ『豊饒の海』の最後の原稿を渡すよう準備を整えている。つまりこのふたつの謎には何らかの繋がりがあると考えるべきなのだ。だが、これまで誰もそれを「合理的」に説明できていない。あの日、作家の内部でいったい何が起きていたのか? 日本を代表する社会学者が、三島の全作品を徹底的に読み解き、文学史上最大の謎に挑む! 【目次】まえがき/第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎/第二章 仮面の無意識/第三章 時代錯誤の決起/第四章 鉄の肉体/第五章 「吃り」の告白/第六章 猫を斬ってもなお残るもの/第七章 美の現れ/第八章 ニヒリズム研究/第九章 白鳥に化す天皇/第十章 不毛の海/終章 真の<豊饒の海>へ
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商品情報
- シリーズ
- 三島由紀夫 ふたつの謎
- 著者
- 大澤真幸
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2018.11.21
- Reader Store発売日
- 2018.12.14
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (10件のレビュー)
-
48年前の今日(11/25)だった。三島は割腹自殺をした。自殺の仕方がどうこうと書かれているが、確か「豊饒の海」第2巻「奔馬」で驚くほどリアルに腹を切る様子が書かれていた。自衛隊市谷駐屯地バルコニーで…の演説を聞いた。だれも聞いてやしない。やじ・怒号ばかりが聞こえる。あれを聴く人間が一人でもいれば結果は違っていたのか。いや、結局はなすべき行動は決まっていたのだろう。だからこそ、11/25に「天人五衰」の筆を置いたことになるのだろう。本書のこと、序盤ワクワクしながら読んだ。知らない事実が次々と現れるからだ。中盤少しついていけなくなった。回りくどく感じた。そんなこねくり回す必要があるのだろうかと思えた。そして終盤、一気に読み通した。今日が日曜日でよかった。「覗き」についての記述が最後の最後に残されていた。これは意図的であるのだろう。が、結局のところ謎ははっきりしない。三島はなぜ死ななければならなかったのか。「豊饒の海」の最後はなぜああなったのか。しかし私は思う。もっと単純に。聡子は自分の中で清顕との記憶を抹殺したのだと。きっと無意識のうちに。それではだめなんだろうか。「夏子の冒険」を読まないと。「羊をめぐる冒険」も、また読み返さないと。続きを読む
投稿日:2018.11.22
社会学者の大澤真幸さんによる三島由紀夫論。
ふたつのなぞは、1970年11月25日の割腹自殺と同日に書かれた「豊穣の海」の最後のシーンのこと。
あれほど頭の良い人がどうしてあんな愚かな死に方をした…のだろう?そもそもどうして天皇陛下万歳になってしまったのだろうというのはわたしにとっても大きな謎なので、読んでみた。
大澤さんは、割腹自殺の愚かさという視点から三島作品を読むのではなく、高いレベルの三島作品の内在的な論理から割腹自殺を説明しようとする。
構造主義、記号論的な概念を使いながら、多くの三島作品を丁寧に読み解いていくことを通じて、三島がなぜボディビルディングをして体を鍛え始めて、天皇崇拝的に言動を行い、最後に自衛隊に押し入り、クーデターを呼びかけ、不発に終わると割腹自殺を行うにいたるかを説明してくれる。
この説明は、納得度が高いものだと思った。
一方、「豊穣の海」のエンディングについては、わたしは実は、それほど違和感を感じてなくて、この壮大な物語を終わらせるには、こうとしかならなかったんじゃないかと思ったので、そもそも謎とは思っていなかったので、面白さはまあまあのところかな?
著者は、「豊穣の海」のエンディングは、4作を通じて語られた輪廻転生の物語が最後に唐突に全否定されて、後味のわるいものになっているという。
たしかにそこまでの物語が否定されるのだけど、全ては心次第という唯識論がでてきて、「無」というか、一種の解脱に向かう道が生じているように思えたので、わたしはそんなに後味がわるい感じはしなかったわけです。
まあ、最後のエンディングが虚無なのか、唯識論的な解脱なのかは、わからないけど、小説としては、最後に輪廻転生を証明するイデアがでてきて大団円になるより、いいエンディングじゃないかと思ったわけです。
あと、「天人五衰」の最後のシーンは、「春の雪」の最後で主人公の恋人が出家して、会えなくなるシーンの反復でもあって、そこは、多分、源氏物語が「夢浮橋」のエンディングで薫が出家した浮舟にあえないことを踏まえているはず。
そして、「源氏物語」の最後も突如終わってしまうわけだから、「天人五衰」と「豊饒の海」全体がなんだかよくわからないまま終わってしまうのも、「源氏物語」へのオマージュではないかと思っている。
と著者の問題設定にはあまり乗れないわけだけど、著者の丁寧なテクスト分析は素晴らしい。とくに、「豊穣の海」と最初の作品「花ざかりの森」の類似性は面白かった。続きを読む投稿日:2023.04.14
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