農業崩壊 誰が日本の食を救うのか
吉田 忠則(著)
/日経BP
作品情報
砂上の飽食ニッポン、「三人に一人が餓死」の明日三つのキーワードから読み解く「異端の農業再興論」【小泉進次郎】「負けて勝つ」農政改革の真相【植物工場3.0】「赤字六割の悪夢」越え、大躍進へ【異企業参入】「お試し」の苦い教訓と成功の要件本書は、これまでの農業関係の本では真正面から取り上げられることの少なかった三つにテーマを絞り込んだ。「小泉進次郎」「植物工場」「企業の農業参入」。これらをめぐり、意見は分かれている。ある人びとからすれば、小泉は農業改革の旗手であり、植物工場は未来の食料生産を支える希望の技術で、企業は遅れた日本の農業を再建する立役者となる。一方、別の人たちに言わせれば、小泉は農業のことをよく知らず、植物工場と企業参入は失敗だらけ。収益性の低さにさらされながらも、これまで黙々と農業を続けてきた農家の努力にこそ未来を託すべきだ、となる。前者の意見は農業を専門としない人たちに多く、後者は農業のことを長年、地道に観察してきた人たちに多い。そのどちらにも正解はないというのが本書の立場だ。どっちつかずの議論にするのが目的ではない。まずは先入観を排除し、問題を浮かびあがらせる。植物工場と企業参入は失敗例を詳しく伝え、小泉の農政改革に関しては残された課題を詳述した。そのうえで、過小評価されがちな三者の可能性に光を当てた。農業に関する本としては、本書は「異端」に類するのかもしれない。だが、将来の食料問題を見据え、農業の課題を点検するためには、農業ジャーナリズムもこれまでの境界を越えてテーマを広げるべきだと思っている。(本書「はじめに」より)
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商品情報
- シリーズ
- 農業崩壊 誰が日本の食を救うのか
- 著者
- 吉田 忠則
- 出版社
- 日経BP
- 書籍発売日
- 2018.09.22
- Reader Store発売日
- 2018.09.25
- ファイルサイズ
- 1.3MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (7件のレビュー)
-
日本の農業は、補助金依存であり耕作放棄。そして飽食の時代を迎え、廃棄食品が多い。ある意味では、足らないで飢餓になるよりは、ハッピイかもしれないと著者はいう。しかし、コメ離れが起こり、団塊世代の集団離農…が始まっている。日本の農業は崩壊するというのだ。
2018年に発行されているが、2016年頃の日本の農業に対して、小泉進次郎の農政への挑戦、植物工場の悪夢、農業の企業参入の「三つの挑戦」を描く。日本経済新聞の記者らしいアプローチで、切り口が鮮やかだが、やはり現実の農業と遊離して、大地に根づいていないのがジャーナリストらしい。
自民党農林部長小泉進次郎を「未来の総理」と称して、その取り組みをヨイショする。
農水省、自民党農林族、官僚、そして農協の「べったり感」が明らかにされる。この関係が日本の農業を堕落させてきた元凶だとも言える。日本農業の競争力強化、体質強化、大規模化とコスト削減という話をしながら、小泉進次郎は、農協の中心的役割を果たす全農の解体を試みる。
日本の農業のコスト高の原因の一つに、全農があると考えていた。そのために生産資材の価格の低減を迫る。実際韓国の農業生産資材と比べて、肥料は4倍ほどの銘柄があり、価格は2倍。農薬は3倍。農業機械は5倍にもなる。それじゃコスト高になるわけだ。農林族議員を前にして、菅義偉官房長官の後押しで、小泉進次郎は切り込むのだが、結局は中途半端で、全農とは「負けて勝つ」と言って、幕を降ろす。まさに、小泉子ども劇場を演じるのである。
2009年から始まった戸別所得補償制度という補助金づけ農政を進め、さらに農水省の奇策 飼料米補助金制度の実態を暴く。飼料を海外に頼っているので、コメを飼料に使うことで、自給率を高めるという表看板があった。減反での他の転作作物よりも、高額な補助金10アール8万円という、稲作しなくてもお金が入る、まさに麻薬中毒のような補助金を実行する。そのことで減反は成功し、結果として、圃場は管理されず、雑草が生えたままの怠け稲作りを奨励する。真面目に美味しいコメを作る農家を鼻で笑うかのような政策をとる。しかし、そのことで米価が上がる。アメリカでトウモロコシをバイオアルコールにするという政策で、穀物相場が値あがったが、それと似たような現象が起こることになる。農水省は国民の税金を注ぎ込んで、米価をあげるという効果を作り出す。その悪政には小泉進次郎は全くの無策のようだ。農業者の減少により自民党議員も農業者の票が少ないので関心を持たなくなっている。集票機関の農協を自民党の手で潰すのだから仕方がない。まぁ。農水省の悪政が日本の農業を滅ぼすと言っていい。
一方でもてはやされる植物工場は、採算が取れず倒産していく。わずかに、スプラウトや葉レタスで生き延びる。結局は過剰設備投資で、補助金で建てても、運営費が高くなって倒産する。
植物工場研究の権威の古在豊樹千葉大学名誉教授は、植物工場は「無駄なことをいっぱいやっている。未熟な技術だ」という言葉を紹介する。日本の気候は農作物にとって有利でありながら、あえて植物工場にする意味が問われる。まして、安い野菜を過剰な設備で作るという本質的矛盾の中にある。過剰の化学肥料を使えば、硝酸態窒素の多い健康を害する野菜しかできないわけで、矛盾の悪循環を進めている。
最後に、企業の農業参加を取り上げる。オムロン、ニチレイ、吉野家ファームなどの失敗を取り上げて、なぜ企業が失敗するのかを解き明かす。わずかに成功した例を書いているが、鼻クソのような事例だ。真っ当な大地に根を下ろした農業しか生き延びるしかないことをこの本では行間で語る。いやー。面白かった。IT企業が農業に入ってくることで、今は農業は騒がしい。コロナ禍で農業の開放感があって組織に縛られたくないという新規参入者も増えている。そんな甘い新規農家はあっという間に、借金を抱えて逃げ出すことだろう。さて、日本の農業、どうなるのか?面白くなりそうだ。はっきりしていることは、日本の農業を崩壊させているのは、農水省だとということだ。続きを読む投稿日:2021.04.19
まず、タイトルが気に入らないね。誰かをあてにしている時点で終わっている気がするのだけど。
それは置いといて、内容だが、
企業が参入すれば良くなるわけではない、ニーズにお応えるものでなければならないと…、いたって当たり前のことが書いてありました。
その当たり前が出来ていないのでしょう。
ずぶの素人が農業事業新規参画するに際して、農家に教えを乞おうとしたが、農家の教え方がまるでなっていないってことが書いてあった。
見て盗めみたいな感じでしかやってこなかったから、教える技術が身についていないらしい。
代替わりの際、毎回ゼロからのスタートって、そりゃ効率悪いわ。
経験が必要なものはあるだろうが、マニュアル作って70点ぐらいは出せるようにしようよ。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/473591595.html続きを読む投稿日:2020.12.13
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