- 最新巻
マリー・アントワネットの日記 Bleu(新潮文庫nex)
吉川トリコ(著)
/新潮文庫nex
作品情報
え、あたしがフランス王妃とかwww ウケるってかんじなんですけどー。1774年5月10日、ルイ15世が崩御し、夫・ルイ16世が国王に。だが、アントワネットへの世間の風当たりは強まる一方だった。取り巻きたちとの夜遊び、膨大な服飾費、授からない子ども、根も葉もない噂。そして、本当の恋。だが革命が起こり、すべては終わる――。王妃の最期の言葉に、涙があふれるクライマックス!
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商品情報
- シリーズ
- マリー・アントワネットの日記
- 著者
- 吉川トリコ
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫nex
- 書籍発売日
- 2018.08.01
- Reader Store発売日
- 2018.08.10
- ファイルサイズ
- 4.4MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.1 (37件のレビュー)
-
この本は凄い。
アイディアが凄まじく良い!!!お腹を抱えて笑えるくらい面白い!!!
そして最後は、泣けます・・・。
マリー・アントワネットと言えば、誰でも一度は名前くらい聞いたことのある歴史上で最も…有名な王妃の一人。
そう、1789年のフランス革命後、ルイ16世と共に断頭台(ギロチン)によって処刑されたあの王妃様です。
マリー・アントワネットが極貧にあえぐフランスの民衆に対して
『パンがないならお菓子を食べればいいじゃない』
と言い放ったというエピソードは有名過ぎますよね。
そのマリー・アントワネットがもし日記を書いていたら?
そしてその文体が
『ちょ、マジ?www超うけるんですけどwww っていうか、ktkr!!(キタコレ!!)』
的な、現代のJKが書いたような文体で書いていたとしたらという壮大な(そんなの誰も考えつかねぇだろ!!的な)想定のもとに作られた小説なのです!!!
というか、そんな文体で書いた日記なら、作者が適当に想像して書いているんじゃないの?そんなの読む価値ないっしょ・・・・・・と思っているあなた、それが違うんですよ。
僕も最初はそんなふうに思っていました。表紙だけを見たときはね。
現代のJKがフランス革命前のマリー・アントワネットに転生して、そこで活躍するみたいな転生系のラノベチックな展開の本かなと・・・・・・そしたら、全然違いました(笑)。
もう、歴史的ファクトチェック有りまくり。巻末の参考文献の数に愕然としましたよ。その数、約30冊。マリー・アントワネットに関する本ってこんなにあるんだ~的な驚きです。
そう、この本はJKチックなふざけた文体で書かれた日記風の小説ですが、ほぼ事実はしっかりと描かれているし、フランス革命の歴史をマリー・アントワネットの視点から見たという意味での価値は非常に高いものがあるのではないでしょうか。
そして、なによりも読んでいて面白い!マリー・アントワネットの独白が的を射ている!もう、他人とは思えない!
もちろん、実際に本人が書いた日記じゃないから、真偽のほどは分かりませんが、当時のマリー・アントワネットはたぶんこう思っていたんだろうな~と納得できる内容ばかりなのです。
14歳で敵国同士であったオーストリアからフランスに嫁いできた不安。
変わり者として有名な夫であるルイ16世との生活。
そして、ヴェルサイユ宮殿でのフランス式の格式張ったしきたりに辟易とするマリー・アントワネットの心情。
『そうだよね~、大変だよね~、やってられないよね~』とうなずけるところばかりです。
そして、そのマリー・アントワネットが、女の子から妻となり、王女となり、母となり、そして真の恋愛をし、夫との真の愛に気付き、子供達を慈しみ、そして毅然として死に挑む。その生き様が本書には、あまりにも分かりやすく、生き生きと描かれます。
ここまでマリー・アントワネットの心情に没入できるのは、この本の独特の書きぶりからきているのは間違いないでしょう。
僕のマリー・アントワネットやフランス革命関係の知識と言えば、中高生の時の歴史の授業以外では、そう、言わずと知れた池田理代子先生の漫画とアニメ『ベルサイユのばら』です(笑)。あ、ちなみに本書では当然、オスカルもアンドレも出てきませんよw。
でもマリー・アントワネットとルイ15世の公妾であるデュ・バリー夫人との確執やポリニャック伯爵夫人との友情、そしてスーパーダーリン最終形態であるフェルセン様(スウェーデンの貴族で在仏軍人ハンス・アクセル・フォン・フェルセン)との恋愛などの場面が出てくるたび
おお!!『ベルばら』と一緒じゃん!!
と訳の分からない感動を覚えてしまいました(笑)。はっきりいってフェルセンがフランス革命後もこんなに活躍していたことなど全く知りませんでした。すげえ、良いヤツじゃん(笑)。
本書は『ⅠRose』と『ⅡBleu 』という2部作になっていますが、内容的には上下巻です。
『ⅠRose』では、1770年オーストリアの名門中の名門の家柄ハプスブルグ家の末娘のマリー・アントワネットが政略結婚のために14歳でオーストリアからフランスに輿入れする場面から始まり、ルイ15世が崩御し、ルイ16世が即位するまでが描かれます。
『ⅡBleu』では、1774年18歳でフランス王女となったところから、1793年に38歳で処刑されるまでが描かれます。『首飾り事件』やフェルセンとの恋愛、そして夫、ルイ16世との夫婦愛の深さ、そしてパリからの脱出劇、幽閉されて処刑されるまでの様子が事細かに描写され、いままで知らなかったことばかりで驚かされました。
特に『ベルばら』で描かれていなかったフランス革命後のマリー・アントワネットの様子など全く知りませんでした。フランス革命から4年も生きのびていたのですね。僕はフランス革命直後に処刑されてしまったのだと思っていましたよ。
本書を読みすすめるにつれ、結末が分かっているからか、日記を読んでいるこちらが辛くなってきます。1787年(フランス革命の2年前)頃からのマリー・アントワネットの日記を読むのはマジで泣けます。でも笑えるところもあってそのバランスが絶妙です。
本書を読むと、マリー・アントワネットが、わがままで浪費家であったというイメージは民衆によって作られたものであるということが分かってきます。
マリー・アントワネットは、逆に民衆を愛し、貧しい人々のことをよく考えていたというエピソードが挿入されています。
例えば、貧しい人々の為に宮廷内で募金を募ったり、高価な食器を売るということもありました。また、自分の子供たちに高価なおもちゃを我慢させたことなどもしばしばあったということです。
また、フランス宮廷古来のしきたりを『無駄を省く』という意味でどんどん簡素化していったのも彼女の功績なのです。
そして例の『パンがないならお菓子を食べればいいじゃない』という言葉も彼女の言葉であったという証拠はありません。
『民衆が飢えているのは宮廷の王や王妃が贅沢をしているせいだからだ』
という論理で例の言葉がマリー・アントワネットのものだったとされてしまったのです。
実際に、フランスの財政が破綻するきっかけになったのはフランス政府がイギリスから独立しようとするアメリカに金銭的援助をしすぎた為であり、その原因を王室、特に元敵国であるオーストリアから来たマリー・アントワネットのせいにしたかったからというのが本当のところなのでしょう。
歴史の事実は完全には分かりませんが、このあたりが事実だったのかもしれません。
話はちょっと変わりますが、この本を読んでいてふと思ったのが、現皇后陛下雅子様のことです。
もちろんマリー・アントワネットと雅子様を同じように見るのはナンセンスなのは分かっていますが、ちょうどこの本の佳境部分を読んでいるタイミングで令和元年11月10日の即位祝賀パレードがあったんですよ。
その際皇后雅子様が、パレードを見に来ている大勢の観衆から『雅子様~!!』と歓声を受けて雅子様がちょっと涙ぐんでいるように見えた時に、
ああ、マリー・アントワネットも雅子様も苦労したのだろうな
と思ってしまったのです。
雅子様も華々しい外交官というキャリアを捨て、古来からのしきたりにそりゃあもう厳しい皇室に嫁ぎ、子供が出来なければ、やいのやいのと言われ(マリー・アントワネットも結婚して7年間、子供が出来なかった)、男の子が生まれなければ、そりゃまたやいのやいのと騒がれ(マリー・アントワネットも男子を授かったのは2人目の時)、気の休まることは全く無かったと思います。
そのような状況で、マリー・アントワネットもパリの民衆から非常に愛されていた時期もあり、マリー・アントワネットがパリの民衆の姿を見て思わず涙ぐんだという場面と今回の即位祝賀パレードの雅子様の涙ぐんだ場面が僕の中では完全に一致してしまい、ちょっと、涙をこらえるのが辛かったです(笑)。
と言う訳で、だらだらとレビューを書いてしまいましたが、この本を読んでマリー・アントワネットのことをかなり身近に感じることが出来るようになり、いままで持っていたマリー・アントワネットに対するイメージがガラリと変わりました。
そして「日本の皇室のことももっと勉強しなきゃな」なんてことも改めて思いましたよ(笑)。
もし僕がブクログやっていなければ、この本は絶対に手に取ることはなかったと思います。
そういう意味でも非常に得がたい経験を得られた体験でした。
本当にありがとうございました。続きを読む投稿日:2019.11.15
IのRoseと比べると爆発力はないけれど、怒涛の歴史的展開にハラハラドキドキ。改めて今の平和な時代に生きていることに感謝。
投稿日:2024.03.10
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