信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変
安部龍太郎(著)
/幻冬舎新書
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戦国時代は世界の大航海時代だった。スペインやポルトガルは世界中で植民地獲得に乗り出し、その波が鉄砲やキリスト教伝来という形で日本にも押し寄せていた。織田信長はこれにどう対処するかという問題に直面した、わが国初の為政者だったのだ――安土城跡に発見された「清涼殿」の意味、スペインからの使者・イエズス会ヴァリニャーノとの熾烈な交渉、そして決裂。その直後に本能寺の変は起きた・・・・・・。江戸の鎖国史観から見ていてはわからない、世界史における本能寺の変の真実。信長が背負っていた真の孤独とは。
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この作品のレビュー
平均 3.5 (22件のレビュー)
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ちょうどNHK大河ドラマ「麒麟が来る」では、これから信長が朝倉義景を討つための出陣前夜である。信長は帝から、天下を平定し平和な世を構築することを目的とした戦を認められ、戦の大義名分ができた。
信長は…朝倉を討つ戦いに、幕府の後ろ盾を求めたが、将軍足利義昭は朝倉を討つことに難色を示し、幕府の後ろ盾を得られないままの出陣というところで、前回の放映が終わっている。
本書は、本能寺の変での信長暗殺に関する、著者の説が述べられたものである。本能寺の変まで、まだまだ幾つもの山場を控えた大河ドラマの倍楽しく観るための予習ということになる。ドラマは、安部氏の推理を採用しているのか否か、そういう楽しみ方もできる。
著者の説は、いわゆる「朝廷黒幕説」である。当時、信長は朝廷を支配下に置こうという姿勢が露骨で、朝廷はそれに強い危機感を感じ、明智光秀を動かしたというもの。その朝廷黒幕の張本人を時の太政大臣・近衛前久と推理している。
大河ドラマでは、本郷奏多が演じているが、なかなか上手く策士キャラを表現しているように思う。本書を読み出してから、ドラマの過去5回分くらいを思わず見直してしまった。
これから、浅井長政の裏切りによる信長敗走、姉川の戦いでの再起、石山本願寺との抗争、焼き討ち、など信長も様々な紆余曲折を経て、最終的に天下統一に手が届くところまで行く。
その時の「天下布武」のストーリーが、著者によれば鮮明に浮かび上がってくる。信長がどういう天下統一を考えていたのか。信長は、幕府のトップ将軍職に就くことや、朝廷の要職となって帝の権威で天下を動かすことに収まらず、その両方を成し遂げるストーリを描いていたという。しかもその布石を着々と打っていたというのだ。
その裏付けを、例えば安土城の造りから分析していく。
著者の分析や推理は、そういう古文書などの史料の解読などを積み上げていき、しかも辻褄のあう説を述べるので説得力がある。面白さと納得の両方が伴うのである。
そうした信長の天下統一についての思想(=朝廷をもコントロールする)は、朝廷黒幕説へと結びついていく。
果たして、明智光秀はドラマの中で、この朝廷による信長暗殺計画に巻き込まれていくのだろうか。果たしてまた、光秀は、その朝廷に利用されたのち、責任を押し付けられて一人死んでいくのだろうか。
安部氏の推論が非常に現実的であるだけに、ドラマの展開との比較がとても楽しみである。
もう一点、著者の視点で独創的なのは、信長暗殺にキリシタンの影響があったという点。信長のキリスト教禁止令に伴い、キリシタンの黒田官兵衛や細川藤孝らが反信長勢力に加わったという。
本能寺後も、黒田官兵衛の関ヶ原の合戦における戦略、すなわち九州をまず平定し、中国地方を攻め、その上で関ヶ原の勝者と決着をつけて、最終的な勝利を獲得しようというストーリーは、キリスト教布教が前提となっていたという。
あるいは関ヶ原での吉川広家(毛利方)の沈黙もキリシタンの連携(吉川は勘兵衛の指示がなかったから動かなかった)によるものだったという推理など、とても興味深かった。
著者の他の著書に興味がわき、大河ドラマの今後に対する関心も増した。続きを読む投稿日:2020.11.06
戦国時代の作品を多数書いている著者の歴史ものエッセイ。信長がなぜ本能寺の変で殺されたのか、背後にどのような真相が隠されているのか、という点を様々な資料を基に論じていく。キリシタン大名が暗躍していた等既…存の歴史観では語られていなかった話が多く紹介され、非常に興味深かった。続きを読む
投稿日:2023.10.09
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