本当はダメなアメリカ農業(新潮新書)
菅正治(著)
/新潮新書
作品情報
自由化したら日本農業が壊滅? とんでもない。アメリカ農業はハリボテだ! 消費者が求めるオーガニック作物は輸入だのみなのに、遺伝子組み換えがやめられない。除草剤に負けない「スーパー雑草」にはさらに強力な除草剤で対抗。人手不足なのに移民を追い詰め、農民には自殺とドラッグが蔓延。輸出はトランプの保護主義で一人負け・・・・・・。現地を徹底取材したジャーナリストが描き出す等身大のアメリカ農業の姿。
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商品情報
- シリーズ
- 本当はダメなアメリカ農業(新潮新書)
- 著者
- 菅正治
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2018.06.15
- Reader Store発売日
- 2018.06.22
- ファイルサイズ
- 2.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (1件のレビュー)
-
大学受験時に地理Bを選択したこともあり貿易統計を見るのが好きでした。若いころの記憶は鮮明で、いまだに覚えています。ところが、この本を読んでその認識を変えなければならないと思い知らされました。
それが…本書のテーマである米国の農業生産・輸出の実績についてです。農業の問題については興味を持っていたので、何冊か読んできましたが、この本はそれらの問題点が上手に整理されている本です。
アメリカでは当たり前、日本でも徐々に入り込んでいると思われる、遺伝子操作された種子からつくられた穀物が気になりますね。この本で初めて知りましたが、米国でさえ、小麦の導入はまだ無いそうです、人間が直接に食べるからということらしいのですが、儲からないのでコスト削減のために導入も検討されているそうです。
自分の身体を構成することになる食物、単に安いからというのではなく、何のために食べるのかを理解して選びたいものです。
以下は気になったポイントです。
・米国での3作物(トウモロコシ、大豆、小麦)と言われるが、小麦の作付け面積減少が続いていて、大豆・トウモロコシの半分以下である。コメの作付面積は、それらの36分の1であり脇役に過ぎない、さらに日本の短粒種は全体の1%(p29、30)
・2017年米国のGM作物の作付面積は、綿花96%、大豆94%、トウモロコシ92%、この20年間での変化、合計で9作物へ導入、小麦はゼロ(p34、37、184)
・バーモント州では、2016年7月から、GM作物を含む食品の表示義務化する(p46)
・オーガニック作物不足は大豆で深刻で、2016年には8割を輸入に頼った、トウモロコシは5割。簡単にGM作物の栽培を変更することは難しい(p75)
・GM策乙導入によって、単収(単位当たりの収穫量)は増えていないことが明らかになった(p81)
・アーモンド、リンゴ、オレンジ、ブルーベリー、サクランボ、グレープフルーツ、キュウリ、カボチャと言った作物は、ミツバチによる受粉の媒介が必要、全食品の3分の1がミツバチの受粉媒介がある(p108)
・ファーストフード業界で、抗生物質の使用撤廃・削減をしているのは、ほとんどは鶏についてである。牛、豚、七面鳥まで対象にしているのは、バネラブレッド、チボトレ・メキシカン・グリル、サブウエイである(p152
・2012年まで米国は世界最大の小麦輸出国であったが、13-14年度にはEUに抜かれ、カナダ、ロシアにも抜かれている(p182)
2019年3月3日作成続きを読む投稿日:2019.03.03
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