伝説の名参謀 秋山真之
神川武利(著)
/PHP文庫
作品情報
無敵と謳われたバルチック艦隊がやって来る。東郷平八郎を司令長官とする、日本海軍の連合艦隊は、これをうち破ることができるのか。これが、苦戦この上なかった日露戦争の、勝敗を決する、最も大きな分水嶺であった。国家存亡の危機に立った明治日本が、まさに背水の陣で戦った、「日本海海戦」。未だ伝説の如く語り継がれるその勝利に、日本を導いたのが、参謀・秋山真之である。彼は、ロシアを仮想敵国とした軍事情勢のもと、海外留学で見聞を広め、万巻の古書から、外国の書物までを読破し、壮烈な姿勢で、対露の海軍戦略を考案して行った。「日露戦争における海上作戦を通じて、さまざまに錯綜する状況を、その都度総合して行く才能にいたっては、実に驚くべきものがあった。彼はその頭に湧いて尽きざる天才の泉を持っていた」と、名参謀であった島村速雄も舌を巻いた。この一戦を戦うためにあったような、勇壮な生涯を描く長編歴史小説。
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商品情報
- シリーズ
- 伝説の名参謀 秋山真之
- 著者
- 神川武利
- ジャンル
- 教養 - 戦記(ノンフィクション)
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文庫
- 書籍発売日
- 2000.02.01
- Reader Store発売日
- 2018.04.27
- ファイルサイズ
- 4.2MB
- ページ数
- 480ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (6件のレビュー)
-
「坂の上の雲」を読んだことある人には退屈かもしれない。
死ぬほど忙しくて、坂雲を読む時間が無い!!って方には、
…いいのか…な?投稿日:2009.01.10
このレビューはネタバレを含みます
戦略、戦術、戦務の三位一体になってこそ、戦は成立するということを実践した人。戦略と戦術ばかりが注目され、戦務を抜かした経営が増えてきた。戦略、戦術が注目されたのはかつて日本にそれが弱く、逆に戦務は長け…ていたから。
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以下、メモ
後年のバルチック艦隊が東洋に回航された時、ロシアの艦隊幹部の中には風帆船の操作しかしらない老朽士官が多かったといわれるが、日本海軍はすでに日清戦争の直前にそれらを一掃した。そして新進の若い士官達が、日清戦争で要職を経験し、日露戦争にむかうことができたのである。
『孫子』の"善く戦うものの勝つや、地名もなく勇功もなし"
ハナシとして面白いことの起きるのは、みな戦術上の失態で、完全無欠に実施される戦術は、
無味無臭で戦談の種子もなく、戦況に光彩もなく、また誰に功績があるのかわからず、
しかも全軍一様に最大の戦闘力を発揮するチームワークである。
そして大言壮語する豪傑よりも、まじめに義務を果たすものが信頼できる。
真之は海軍兵術を戦略、戦術、戦務の三大種目に分かち、それをさらに基本と応用に区別した。(中略)
戦務は、「戦略、戦術を実施するための事務の総称」であり、
情報通信、弾薬、兵器、炭水、兵糧などの補給を包含する。
真之は戦務を独立させ、これを重要視した。
「多くの戦史や各種の兵書をよく読んで、考えに考えた上で、これだ、と思うものが諸君の兵理で、
それがたとえ間違っていたとしても、百回の講義で聞いたものを暗記しただけのものに比べれば、
はるかにいいものなのだ。…自分の研究で会得したものでなければ、実戦で役に立たない。」
教官が、自分の考えの通りでなければ高い点数を与えないという採点法をすると、
学生たちは自分で考えようとしなくなる。
次の四つの場合以外には、戦闘はないということだった。
1 対抗両軍の戦闘力が均勢のとき
2 双方もしくは一方が敵の戦闘力を誤算し、その敵に対し優勢又は均勢と誤信したとき
3 一方が優勢で、劣勢の敵を窮迫して、戦闘するのやむなきに追い込んだとき
4 一方が劣勢であっても、その巧妙な戦術により優勢な敵を屈し得ると自信したとき
日本の外交暗号が解読されていたという事実は、次から次へと明らかになっている
もうだめだという危機のとき、乗員は必ず、みな艦長の顔を見るという。
艦長が落ち着いていれば、乗員も安心して冷静になる。
艦長はたとえ恐ろしくても平然としていなかればならない。これはどんな組織でも家庭でもいえる。
長たる者は危機のときみんなから顔色を見られている。動揺すればそれは全員に伝わり、平静さを失ってしまう。
そもそも戦いというのは、敵に倍する戦力をそなえて、勝つべくして勝利すべきものである。これは孫子がいう。
"勝ちやすきに勝つ"である。
勝利は敗因を蔵す
続きを読む投稿日:2019.05.04
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