ラオスにいったい何があるというんですか?
村上春樹(著)
/文春文庫
作品情報
そこには特別な光があり、特別な風が吹いている――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの雄大な自然、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島々、フィンランドの不思議なバー、ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、そして熊本の町と人びと――旅の魅力を書き尽くす、村上春樹の紀行文集、待望の文庫化!カラー写真を多数収録。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- ラオスにいったい何があるというんですか?
- 著者
- 村上春樹
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2018.04.10
- Reader Store発売日
- 2018.04.10
- ファイルサイズ
- 5.2MB
- ページ数
- 288ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.9 (92件のレビュー)
-
村上さんが、仕事やプライベートの「旅」で感じたことを紡ぎ、その独特の感性をとおして旅の楽しみ方を教えてくれる一冊。
本書で村上さんが訪れている場所、例えばボストンとかトスカナとかフィンランドとかそう…いう場所を訪れたことがある方は、その地を知っているからこそ「共感」できる部分と、村上さんのフィルターを通した新しい視点でその場所を見ることによる「発見」が詰まっていて、昔わざわざお金と時間をかけて行った場所にまた行きたくなってしまうのでキケンです。
村上さんがおっしゃるように、ラオスに一体何があるのか?は行ってみなければわからないし、その何かを見つけるのが旅の醍醐味であるという点、そしてその例えにラオスを使っている点(さらにタイトルにまでしてしまうところ)にとても共感しました。
実はラオスのルアンプラバンには2年ほど前に旅行で訪れたことがあります。
おそらく実際には、「日本にあってラオスにないもの」の方が、その逆よりも圧倒的に多かったのだと思います。でも旅から2年経った今覚えていることの大半は、「日本にはないけどラオスにあったもの」、つまり托鉢が練り歩く朝の静謐な空気とか、メコン川の魚を使った(と思しき)初めて食べる美味しい料理とか、日々の喧騒を忘れられるゆったりした時間とか。そういうものに触れられただけでラオスに行った意味があると思うし、心が疲れたときには脳内旅行で今でもたまに訪れたりして。
実際に訪れる前は、ラオスなんて(という言い方は失礼ですね、ごめんなさい)、死ぬまでに一度でも行けば十分だと思ってたのに、この本を読んでまた行きたくなっちゃったんですよね。他にもまだ行きたいところはたくさんあるのに、困った困った。続きを読む投稿日:2020.05.31
本書は、村上春樹(1949年~)氏が、1995~2015年にいくつかの雑誌のために書いた紀行文をまとめたもの。大半の初出は、JALのファーストクラス向け機内誌「アゴラ」(但し、雑誌に掲載されたものより…長いバージョンだそう)で、その他は、雑誌「太陽 臨時増刊」、雑誌「タイトル」、雑誌「クレア」である。2015年に出版、2018年に文庫化された。
訪れた場所は、米ボストン、アイスランド、米のオレゴン州ポートランドとメイン州ポートランド、ギリシャのミコノス島とスペッツェス島、ニューヨークのジャズクラブ、フィンランド、ラオスのルアンプラバン、イタリアのトスカーナ地方、熊本で、村上氏が過去に数ヶ月~数年間滞在した場所(ボストンやギリシャ)への再訪もあれば、初めて訪問した場所もある。
私は、本はよく読むものの、多くがノンフィクションで、村上氏の作品についても、読んだ記憶があるのは、初期の『風の歌を聴け』、『羊をめぐる冒険』、『ノルウェイの森』あたりまでで、その後の小説は全く読んでいないのだが(私は天邪鬼的なところがあり、村上氏が注目されるようになるほど、読む気がしなくなったのだ)、紀行文集である本書は出版当時から気にはなっており、今般(出版から随分経ってしまったが)読んでみた。
そして、読後感は予想以上に良いものであった。私は旅も好きなので、ノンフィクションの中でも、紀行文や世界各地を取材したルポルタージュをよく読むし、それらの大抵のものを面白いと感じるのだが、紀行文やルポは、書き手の感性や文章表現の特徴がよく出るジャンルなので、その面白さの差(更に言えば、好き・嫌い)が意外にはっきりするものである。そうした点で、村上氏の紀行文は、関心の対象やそれらの表現の仕方が自分に合っていて(例えば、村上氏の紀行文では、( )書きの細かい補足や、一つの段落が「・・・だけれど。」という逆説で終わっていることが比較的多いが、これは書き手の思考・表現のくせだと私は思っており、私もそういう文章を書くタイプである)、心地よく読むことができた。
また、私の最も好きな書き手は(紀行文に限らず)沢木耕太郎で、本書を読んでいる途中で、しばしば、沢木氏の作品を読んでいるような錯覚に陥ったのだが、それは、両者の感性と表現の仕方が似ている(また、全体にスマートさを感じさせる点も似ている)からなのだと思われる。
村上氏が90年代に数年間住んだというボストンについて書かれた文章の中に次のようなくだりがある。「かつて住民の一人として日々の生活を送った場所を、しばしの歳月を経たあとに旅行者として訪れるのは、なかなか悪くないものだ。そこにはあなたの何年かぶんの人生が、切り取られて保存されている。潮の引いた砂浜についたひとつながりの足跡のように、くっきりと。そこで起こったこと、見聞きしたこと、そのときに流行っていた音楽、吸い込んだ空気、出会った人々、交わされた会話。もちろんいくつかの面白くないこと、悲しいこともあったかもしれない。しかし良きことも、それほど好ましいとはいえないことも、すべては時間というソフトな包装紙にくるまれ、あなたの意識の引き出しの中に、香り袋とともにしまい込まれている。」
私も村上氏と同じように、数ヶ月から数年の期間住んだ外国の街がいくつかあるのだが、是非改めてゆっくり訪れてみたいと強く感じた。(国内の街でも同様のことは感じるのであろうが、外国の街の方が、それは一層強いに違いない)
(2024年4月了)続きを読む投稿日:2024.04.04
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。