長いお別れ
中島京子(著)
/文春文庫
作品情報
認知症を患い、正常な記憶が失われていく父。日々発生する不測の事態のなかでも、ときには笑いが、ときにはあたたかな感動が訪れる。
「十年か。長いね。長いお別れ(ロング・グッドバイ)だね」
「なに?」
「ロング・グッドバイと呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」
東家の大黒柱、父・昇平はかつて区立中学校長や公立図書館の館長をつとめ、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし。
娘が三人、長女の茉莉は夫の転勤で米国西海岸暮らし。次女の奈菜は菓子メーカー勤務の夫と小さな子供を抱える主婦、三女の芙美は独身でフードコーディネーター。
ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう。
迷子になって遊園地へまぎれこむ。
入れ歯の頻繁な紛失と出現。
記憶の混濁により日々起こる不測の事態――しかし、そこには日常のユーモアが見出され、昇平自身の記憶がうしなわれても、自分たちに向けられる信頼と愛情を発見する家族がいつもそばにいる。
認知症の実父を介護した経験を踏まえて書かれた短編連作。
暗くなりがちなテーマをユーモラスに、あたたかなまなざしで描いた作品は、単行本発表時から大きな話題になり、中央公論文芸賞や日本医療小説大賞にも選ばれた。
映画化決定!
解説・川本三郎
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 長いお別れ
- 著者
- 中島京子
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2018.03.09
- Reader Store発売日
- 2018.03.09
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 288ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.9 (117件のレビュー)
-
意味深で、切なくも、素敵なタイトル
認知症を題材にした小説の先駆けは、恍惚の人でしょうか。これにより、我々は認知症をまさに認知したように思います。様々なノンフィクション等もありますが、この小説はそれらを継承しつつも、ユーモアに溢れ、ど…こか温かい感じがするものでありました。
ある雑誌で作者の対談を読んだことがありますが、お父さんが10年間アルツハイマーだったそうで,エピソードはかなりそのまま書かれているけれど、家族がそのままモデルとなっているわけではないとのことでした。
子供達は成長すれば、当然それぞれの自分達の生活があります。でも、捨て置けないのが家族なのですね。とは言え、そのような関係というのは、一朝一夕で出来上がったモノではないはずです。結局、どのようにその人が生きてきたかにかかっているのかもしれません。
興味深い記述もありました。とくに私が目をひいたのは、認知症になった方々が、「やだ!」と何でも拒否するのは何故かということでした。曰く、自分の意志で何かをすることが出来なくなってくると、拒否こそがはっきりとした自己表現なのかもしれない、と言うことです。歳をとると、また童に戻っていくと言いますが、何でも拒否するのは、思春期の子供と同じなのかもしれませんね。
私も米寿の母を抱える身です。まだ大丈夫なようですが、私自身も還暦となりましたから、とても人ごととは思えません。しかし、長い時間をかけて、別れを告げているんだと考えれば、ちょっと感じ方が変わるかもしれません。
この小説は映画化もされるようですね。小説の冒頭、あのメリーゴーランドのシーンは絵になるだろうな。おそらく映像化されているでしょうね。映画を見た後は、ヤフーのレビューに書きたいと思います。
追記として、解説を書かれている河本三郎氏の一文も、なかなか含蓄がありましたよ。続きを読む投稿日:2019.06.10
-
アルツハイマー型認知症、老老介護、
なかなか重めのテーマだけど、たまにクスッと笑いながら軽く読めた。
私、親元離れて上京して就職して、自分のこれからの人生プランだって白紙に近くて、どうなるのやら、ど…うするのやら。続きを読む投稿日:2024.04.07
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。