地球温暖化は解決できるのか-パリ協定から未来へ!
小西雅子(著)
/岩波ジュニア新書
この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
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〇 新書で「学校生活」を読む⑱
小西雅子著『地球温暖化は解決できるのか パリ協定から未来へ!』(岩波ジュニア新書、2021[8刷])
・分 野:「学校生活」×「社会科」
・目 次:
はじめに
… 第1章 グローバルな環境問題である地球温暖化の科学
第2章 地球温暖化対策をめぐる国際交渉
第3章 日本の温暖化対策とエネルギー対策
第4章 私たちに何ができるのか?
あとがき
・総 評
本書は、2016年に発効した「パリ協定」を中心に、地球温暖化問題に対する国際社会の取り組みを解説した本です。著者は自然保護基金(WWF)という国際環境NGOに所属するディレクターで、地球温暖化問題を始めとした環境問題に取り組んできた人物です。
これまで国際社会は地球温暖化問題について議論を重ねてきましたが、有効な対策を取ることができませんでした。そうした中で“画期”となったのが「パリ協定」でした。本書では、パリ協定のどのような点が画期的なのかを説明しています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。
【POINT①】地球温暖化の国際交渉におけるジレンマ
パリ協定以前にも、地球温暖化に関する国際条約は結ばれてきました。ただ、その際にジレンマとなるのが「拘束力の強さと参加国の数の関係」です。即ち、地球温暖化防止に必要な温室効果ガスの削減を義務付けた場合、それを嫌がって条約に参加する国は少なくなります。そのため、参加国を増やすには拘束力を弱める必要がありますが、各国の“自主的”な取り組みに期待するやり方では、実際に必要な温室効果ガスの削減量に達しないというジレンマです。実は「パリ協定」が画期的と言われる背景には、このジレンマを克服した――多くの国が拘束力の強い条約に参加した――という“成果”があったのです。
【POINT②】新たな「グローバル社会の力関係」が生み出したパリ協定
地球温暖化をめぐる議論では先進国と発展途上国の対立が続いていましたが、パリ協定を議論する国際会議では、環境問題に積極的に取り組む欧州連合と一部の途上国グループ(カリブの島国連合やアフリカ諸国)が連携して「高い野心同盟」を結成しました。即ち、同じ途上国でも、経済発展を遂げた中国やインドに対して、地球温暖化の影響が深刻な島国連合やアフリカ諸国が「野心的な温暖化対策をせよ」と圧力をかけたのです。著者は、パリ協定が成立した背景に、新興の途上国が台頭する中で「先進国と途上国」という対立構造が崩れ、新たな「グローバル社会の力関係」が生まれたことがあると指摘しています。
【POINT③】パリ協定に残された課題と日本
パリ協定は、参加国に温室効果ガスの削減目標を掲げることや、その目標を達成するために温暖化政策を実施することを義務付けました。しかし、その目標の妥当性や実施された政策の検証をどのように行うのかというルールは決まっていませんでした。このようにパリ協定では、詳細なルールが決まっていないことが多く、その大半が今後の国際交渉に託されているという“課題”があります。一方で、最近の温暖化対策をめぐる国際的な議論において、日本はあまり存在感を発揮できていません。著者は、日本でも「環境配慮そのものがビジネスになるように社会を変革していくこと」が大事だと指摘しています。
2022年に開催されたCOP27(第27回気候変動枠組条約締結国会議)では、各国の温室効果ガスの排出削減目標が「必要な削減幅から大幅乖離」していることが指摘されるなど、まだまだ予断を許さない状況が続いています。また日本における温暖化対策の議論も進んでおらず、著者が提唱する「炭素排出にお金がかかる」仕組みへの反対も根強いものがあります。
このように明るい展望が見えない地球温暖化問題ですが、だからこそ、国際社会が少しずつ築き上げてきた“成果”を確認することには意義があると思いますし、今後の地球温暖化に関する議論の“基礎知識”を学ぶという意味でも、是非手に取ってほしい一冊です。
(1442字)続きを読む投稿日:2023.01.26
勉強になった
火力発電、炭素を燃やして
蒸気を発生させ、タービンを回し電力を得る
この炭素が比較的安価で輸入先も多いので
火力発電は、中々減らない
そのために政府は、炭素税というものを作り
抑制…をかけ企業努力を促そうと計画
だがまだまだ炭素税たるものは、上手く機能しておらず
難航している
続きを読む投稿日:2019.09.23
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