ヨーロッパ文化と日本文化
ルイス・フロイス(著)
,岡田章雄(訳注)
/岩波文庫
作品情報
イエズス会宣教師ルイス・フロイス(一五三二‐九七)は,三十五年間日本での布教に努め,長崎で没した.その間当時の日本の社会を細かく観察し,ヨーロッパのそれと比較・対照して記録した.筆は,衣食住,宗教生活,武器から演劇,歌謡等多方面におよぶ.貴重な史料であるだけでなく,現代の我々に様々な問題をよびさまさずにはおかない.
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商品情報
- シリーズ
- ヨーロッパ文化と日本文化
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波文庫
- 書籍発売日
- 1991.06.17
- Reader Store発売日
- 2018.02.15
- ファイルサイズ
- 7.7MB
- ページ数
- 199ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (28件のレビュー)
-
安土桃山時代に来日したイエズス会ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスによるヨーロッパと日本の文化比較を記した小冊子の解説書。底本はルイス・フロイスが来日23年目で九州・加津佐で記した『日欧文化比較』で、…本書では訳者がわかりやすいように行ごとに解釈を付け、挿図している。
構成としては、日欧の比較を習俗・文化・宗教・道具などの分類として章立てし、項目毎に「われわれは(ヨーロッパでは)○○○。彼らは(日本では)×××。」といった簡略な比較文になっている。
それぞれの比較はとても面白く現代でもわかるものもあり、とても興味深い。その一方で解釈を読むと日本側の記載は貶める方の誇張も多い気がする。フロイスの趣旨を考えると、ヨーロッパ文化との違いを奇異に、そしてさかさまなものとして伝える側面が多く見受けられ、90%くらいは「何考えているんだ日本人は・・・」的な記載が多いように感じられる。(笑)外見的な比較が多く、内面まで理解した記述ではないのが残念なところで、このままではどこまでいっても「異邦人の視点」を抜け出していない感じだ。
少し前まではフロイスの大著『日本史』をはじめあまり史料として研究に使用されることは少なかったとのことですが(誇張や勘違いがあるためか?)、近年、見直されてきているとのことで、こうした同時代の一次史料は大いに研究の一助になってほしいと思います。
以下は特に興味深い記述です。
「ヨーロッパ人は大きな目を美しいとしている。日本人はそれをおそろしいものと考え、涙の出る部分の閉じているのを美しいとしている。」
「われわれは喪に黒色を用いる。日本人は白色を用いる。」
「われわれはいつでも唾を吐きだす。日本人は概して痰を呑み込む。」
「ヨーロッパの女性は美しい整った眉を重んずる。日本の女性は一本の毛も残さないように、全部毛抜で抜いてしまう。」
「われわれの間では女性が素足で歩いたならば、狂人か恥知らずと考えられるであろう。日本の女性は貴賤を問わず、一年の大半、いつも素足で歩く。」
「ヨーロッパでは夫が前、妻が後になって歩く。日本では夫が後、妻が前を歩く。」
「ヨーロッパの女性は分娩の後、横になって、休息する。日本の女性は分娩の後二十日の間、昼も夜も坐っていなければならない。」
「われわれの間では、人は罪の償いをして、救霊を得るために修道会に入る。坊主らは、逸楽と休養の中で暮らし、労苦から逃れるために教団に入る。」
「われわれの間では修道士が結婚すれば背教者になる。坊主らは信仰に飽きると、結婚をするか、または兵士になる。」
「ヨーロッパでは主人だ死ぬと従僕らは泣きながら墓まで送って行く。日本ではある者は腹を裂き、多数の者が指先を切りとって屍を焼く火の中に投げ込む。」
「われわれはスープが無くとも結構食事をすることができる。日本人は汁が無いと食事ができない。」
「ヨーロッパ人は牝鶏や鶉、パイ、ブラモンジュを好む。日本人は野犬や鶴、大猿、猫、生の海藻などをよろこぶ。」(食事について)
「われわれの馬はきわめて美しい。日本のものはそれに比べてはるかに劣っている。」
「われわれは坐り、彼らはしゃがむ。」(トイレについて)
「われわれの劇は詩である。彼らのは散文である。」
「われわれの間では人に面と向かって嘘付きだということは最大の侮辱である。日本人はそれを笑い、愛嬌としている。」
「われわれの間では礼節はおちついた、厳粛な顔でおこなわれる。日本人はいつも間違いなく偽りの微笑でおこなう。」
「われわれは拇指または食指で鼻孔を綺麗にする。彼らは鼻孔が小さいために小指を用いておこなう。」続きを読む投稿日:2012.05.04
非常に貴重な資料です。
リアリティのある内容で表現も生々しく、安土桃山時代にタイムスリップしたような感覚になります。
投稿日:2024.02.06
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