特捜部Q―自撮りする女たち―
ユッシ・エーズラ・オールスン(著)
,吉田奈保子(訳)
/ハヤカワ・ミステリ
作品情報
特捜部Qに閉鎖の危機が訪れる! 検挙率の上がらないQには周囲から厳しい目が注がれていた。そんな中、王立公園で老女が殺害される事件が発生。さらには若い女性ばかりを襲うひき逃げ事件が――。次々と起こる事件に関連は? 一方、ローセは苦悩の淵に・・・・・・。
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商品情報
- シリーズ
- 特捜部Q―自撮りする女たち―
- 著者
- ユッシ・エーズラ・オールスン, 吉田奈保子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ・ミステリ
- 書籍発売日
- 2018.01.15
- Reader Store発売日
- 2018.01.15
- ファイルサイズ
- 1.1MB
- ページ数
- 576ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (27件のレビュー)
-
未解決事件を扱う<特捜部Q>シリーズ第七作。
前作「吊るされた少女」事件から二年が経った2016年の設定。
一番気になっていたアサドの親指の状態だが、やはり無事というわけにはいかなかったようだ。だが…アサドも特捜部Qリーダーのカールも、内面の混乱はともかくとして表面上は日常を取り戻しているようだ。
一方で前作の終盤から様子のおかしかったローセが、二年経った現在も仕事ができないほどの酷い精神状態に陥っている。そしてついには精神科に入院という事態で一時的に特捜部Qから離脱という状況だ。
今回の作品は今までと構成を変え、現在進行形の事件と特捜部Q側とで並行していくスタイルを採っている。
現在進行形の事件は後に特捜部Qが追っている過去の事件と繋がることが分かるのだが、それは更にローセとも繋がり、出来過ぎと取るのか奇妙な因縁と取るのかは別として、いずれにしても先が気になるサスペンスタッチである。
副題は「自撮りする女たち」(原題「SELFIES」)だが、「自撮り」がテーマというよりは、身勝手な女たちといった感じ。
社会福祉政策が充実しているデンマークゆえのもう一つの顔、つまり権利は主張するがそれに伴うやるべきことはやらない人間たちがここにもいるということだ。
そうした人たちを相手にする福祉課の職員も日々不満を抱えている。最近よく聞く言葉で言えば『モヤモヤ』だ。
自分はこんなに頑張っているのに、なぜ自分より楽をしている人間がなぜ自分より良い目に遭っているのか。
こういう感覚は誰もが持つことだろう。よく聞くハラスメント問題もこういう『モヤモヤ』が発端になっていることが多い。
自分と周囲を比べても仕方のないことと分かっていても、仕事でそうした人間に接しなければならない人にとってはかなりのストレスだろう。
だが面白いことに、そういう身勝手な女たちの中でも互いに『モヤモヤ』を感じている。つまり、自分はこんなに頑張って補助金を引き出すためのアイデアを出したり体を張って頑張ってるのに、彼女は何もしないで楽をしている、みたいな。
読んでいるこちらからすれば五十歩百歩、どっちもどっちだろ、と言いたいところだが、身勝手な女たちや福祉課職員のそういう『モヤモヤ』はついに暴走を始め、殺意まで芽生えさせるのだ。
正直言って、身勝手な女たちサイドの人間は女に限らず出てくる人物たち皆共感出来ないので、完全な傍観者としてどんな破滅的結末を迎えるのかという単純な興味で読んでいた。
一方でローセがこれまで特捜部Qでパワフルに仕事に向かっていた姿と裏腹に、これほどの深く重い傷を背負っていたとは想像もつかなかった。彼女の猛烈な仕事への取組の裏で時折見せるエキセントリックな行動も説明がつく。唯一の救いはローセの妹たちがローセを心配し愛していること、そして何より特捜部Qの面々がローセのためにこんなに頑張っていること。
何とかローセには復活してもらい、再びあの猛烈な仕事ぶりを見せてもらいたい。
冒頭に書いたようにこの作品の設定は2016年、この作品が日本で出版されたのは2018年1月。それからもう2年近くが経とうとしているが、続編が出るとの話は聞かない。
今作ではカールのトラウマの元凶である「釘打ち事件」については何も出てこない。だがその「釘打ち事件」で大変な重傷を負ったハーディは少しずつ回復の兆しを見せている。これは吉兆なのか、それともカールにとってなにか不都合な真実が明かされる凶兆なのか、ドキドキする。
またアサドの、カールの知らない一面が少しずつ見えてくるのも興味深い。彼は一体何者なのか、なぜデンマークに来て、何をしようとしているのか。
早く続編を読みたいような、怖い結末なら見たくないような。続きを読む投稿日:2019.11.27
【消えたローセに一体なにが起きたのか?】
北欧ミステリーの人気シリーズ【特捜部Q】第7弾。
今回のテーマはデンマークの社会福祉政策の闇だ。
デンマークは社会福祉政策が充実しており、教育・医療・介護…が無料であるほか、失業者への支援も手厚い。
しかし、今作にでも出てくるような、狡猾に生活保護の不正受給をしたりする輩が存在する。
そんな輩を対応しなければならない職員。
そしてある日芽生えた殺意。
また時を同じくして、特捜部Qの仲間であるローセの失踪を追うカール達。
今作では、精神を病んでしまったローセの壮絶な過去が明かされるので、ローセ推しの方は必読だ。
ローセ編は時に読むのが辛くなるほどで、よく今までカール達と事件を解決してきたなと思う。
過去と決別した新しいローセに期待したい。
今回は題名にもある自撮りする女たちのような、自分にしか興味のない者たちが事件を引き起こすので、無計画な所や行き当たりばったりな所が多々あるのだが、逆にそこがリアルで良かった。
実際に起きている事件も、練られた計画性のあるものよりは突発的な犯行が多いので、犯行の心情はこんな感じなのかなと想像しながら読めた。
しっかり社会問題を提議しつつ、サスペンス要素もあり、ハラハラしながら楽しめる1冊だ。
こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・北欧ミステリーが好きな人
・社会派ミステリーが好きな人
・サスペンスが好きな人
続きを読む投稿日:2023.02.18
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