大日本史
山内昌之(著)
,佐藤優(著)
/文春新書
作品情報
博学無双の黄金タッグが幕末から太平洋戦争までの「日本の最も熱い時代」を縦横無尽に徹底討論。「日本とは何か」「日本人とは何か」が見える! この『大日本史』は、日本史を軸に世界史を考え、日本史との関連で世界史を理解する人びとの参考になることを願っている書物である。(「まえがき」より)
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 大日本史
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2017.12.20
- Reader Store発売日
- 2017.12.20
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- ページ数
- 256ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (11件のレビュー)
-
黒船来航から、太平洋戦争、天皇人間宣言まで6章、山内昌之氏と佐藤優氏が対談で博覧強記、分析詳細しかも的確な語りを披露している。私には、目から鱗のことが多かった。
例えば、ペリーの後にやってきたロシアの…プチャーチン提督が徹底した対話による外交を展開したこと。明治政府のシステムが初めから薩長を中心とした合議制で、2年近くにも及ぶそれが旧幕府も含めた超藩的な岩倉使節を可能にしたこと。サラエボで暗殺されたオーストリア=ハンガリー帝国のフランツ・フェルナント皇太子が、スラブに対して宥和的な考えを持っていたこと。日露戦争の後、日米戦争に向かわせてしまった政治家、外交官、論客、軍人などをたくさん挙げ、詳細に分析していることなどである。最後の昭和天皇の話もうーんとうなってしまった。
1921年、昭和天皇は皇太子として、イギリス、フランス、ベルギー、オランダを外遊し、時のイギリス国王ジョージ5世と親しく語ったり、第1次世界大戦の激戦地を巡るなどする。この経験が、立憲君主主義、平和主義、親英米の国際協調主義を目指した昭和天皇の原体験になったであろうという。二・二六事件で露呈された陸軍の天皇軽視は、日米開戦の方針を決める御前会議でも顕著であった。前日、「南方作戦は、約5か月で終了の見込みである」という杉山参謀総長の言葉に昭和天皇は激しく叱責するが、御前会議の当日は平然とだんまりを決め込んでしまう。そこで昭和天皇は、明治天皇の「よもの海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらむ」という歌を詠みあげ、避戦への思いを明らかにする。天皇の悲痛な思いと焦燥が感じられる。ここには、明治天皇の思いと重ねて表現する歴史的思考が現れている。終戦を決めた御前会議でも、徹底抗戦を主張する軍部に、昭和天皇は、戦争終結の決意に変わりがないこと、戦争を継続すれば国体も国家の将来もなくなること、これに反し即時停戦すれば将来の根基は残ること、武装解除・戦争犯罪人の差し出しは耐え難きも、国家と国民の幸福のためには、三国干渉時の明治天皇のご決断に倣い、決心したことを語る。ここで山内氏は、「これを天皇に言わせた軍部に対する怒りが改めてむらむらとこみあげる。自分たちの不始末で戦争を始めておきながら、その収束は天皇に任せる。卑怯である」と語る。「対米英戦を決意の場合、ドイツの単独講和を封じ、日米戦に協力せしめるよう外交交渉の必要があること、さらに戦争終結の手段を最初から十分に考究し置く必要があり、そのためにはローマ法王との使臣の交換など、親善関係を樹立する必要がある」と昭和天皇は木戸幸一内大臣に述べているが、軍人、政治家、外交官こそが知恵を振り絞るべき問題を、天皇が悩み、考え、訴えている状況は悲劇的ともいう。
ドイツのナチス政権は最後まで止まらず、イタリアはクーデターに至ったが、日本はいったん終戦と決まったら、それまでの徹底抗戦を切り替えて実に合理的に撤退を行った。その切り替えの要に天皇の聖断があった。
1946年の天皇の「人間宣言」は、5箇条の御誓文の全文引用から始まっている。日本の再建にあたって、この5箇条の御誓文の精神が基となる、そこには平和主義、教養主義の重視、民生の向上、すべてが込められているというのである。ここに表れているのは、戦後の日本で進められるはずの民主化は決して占領国アメリカに押し付けられるものでなく、日本には自前の民主主義の理念があったという天皇の自負と信念だったろうという。
この本を読んで、昭和天皇に対する認識を改めた。眞に立派な方であったと。続きを読む投稿日:2019.09.13
幕末から太平洋戦争まで、日本の近代史について語り合う対談本。
特に外交面や当時の政治状況、旧日本軍をはじめとした組織のあり方について、教科書だけでは学べないことが書かれています。投稿日:2024.02.09
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。