保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
西部邁(著)
/講談社現代新書
作品情報
世界恐慌や世界戦争の危機が見込まれる現在、政治や文化に関する能力を国民は身につける必要がある!そして、良き保守思想の発達した国家でなければ良き軍隊をもつことはできない、と老師・ニシベは我々日本人に警告をする。アリストテレス、マキャベッリ、ガンディ、チェスタトン、福沢諭吉、中江兆民など古今東西の巨人の叡智から戦後日本の政治・経済政策まで、保守思想の真実を語り尽くす大思想家・ニシベ最期の書。
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商品情報
- シリーズ
- 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
- 著者
- 西部邁
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 2017.12.12
- Reader Store発売日
- 2017.12.22
- ファイルサイズ
- 3.1MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (11件のレビュー)
-
モダンの訳語は近代的ではなく、「模流」である。明治維新後、日本は西欧を模倣し、社会を築いてきた。それが特に戦後さらに社会に表面化し、ここ30年に至ってはマスメンたちが流されるままに社会を変革してきた。…理想を求めれば格差や軋轢が生じ、現実主義ばかりでは自由や権理が埋没する。その間には平衡が必要であり、活力、公正、節度、良識の観念をその国家の伝統から導き、その具体化について状況の中で試行錯誤しながら吟味することが要求される。
私はここ30年程度の状況しか見ていない世代であり、戦後の時代の流れを一部しか実感できてはいない。しかし、リーマンショック後、日本以外では行き過ぎたグローバリズムを抑制する動きがある中で、この国ではその中でも構造改革を推進し、国民が結果的にそれを支持している。少数の意見は排除され、無関心が慣習となり、多数者の専制が行われている。オルテガが言うように「絶望するものの数が増えることだけが希望である」のかもしれないが、国家や政治について議論をするのがタブー化している状況では先は明るくない。
さて、相変わらず著者の記述にはカタカナ語も多く読むのに苦労するが、著者が生きていれば、このコロナ禍やウクライナの状況をどう評論していただろうか。世の中の状況を的確に厳しく評論する人が少なくなっている中で惜しい人を亡くしたものである。
本書の中で、著者と私の意見が異なるものの1つで、核武装論を著者は唱えているが、勿論その議論はあって然るべきだが、核保有が周辺国への抑止力に果たして繋がるのだろうか。核があろうがなかろうが、国家として侵略や武器の使用は起こりえるし、核を含めて国家の防衛、安全保障全体、そして現憲法を議論し、考える。その環境をまずを整えなければならないと感じる。続きを読む投稿日:2022.06.25
西部氏の最後の本である。まるで遺書のようでもある。筆者ではなく述者と自らをよんでいる口述による本である。とは言え、かつては『朝まで生テレビ』や佐高信氏との番組(番組名は忘れた)など、話すことが達者な方…で、昔見たテレビでの語り口を思い出す。
言葉の豊富な方なのだが、やたらカタカナが多い方で、テレビでもテロップが出ていた記憶がある。本書も()だらけで、文章としては最悪。
安倍晋三氏を評して「陋習とそうでないものを峻別しながら伝統を守るのが保守。故に保守ではない」といったそうだが、カタカナで話す西部氏に陋習な知識人を感じる。でも、米国大好きの安倍晋三氏が日本国憲法をGHQ憲法だというのは、岸・鳩山の陋習であると思うので、西部氏の指摘もあながち間違えではない。
〇〇イムズで語ることが好きな人だったのだな。と思うのが読後感である。だけど何が言いたいのかさっぱりわからない。要はエドマンド・バークのように悪し平等は嫌いだといいたいのか。現代人が馬鹿だとののしりたいのか。知識の豊富さには頭が下がるが、西部氏の言う「矛盾に切り込む文学のセンス」も「矛盾に振り回されない歴史のコモセンス」もまるで感じませんでした。
今、西部氏を偲ぶのは、むかしテレビで見た一瞬のひらめきのような言葉と、ふてぶてしいお顔です。
ご冥福をお祈りいたします。続きを読む投稿日:2021.01.22
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