皇后考
原武史(著)
/講談社学術文庫
作品情報
時代と社会の変容とともに「ありうべき皇后」像はあった――。血脈による正統性が保証された天皇とは異なり、人生の途中で皇室に嫁ぎ、さまざまな葛藤を克服するなかでその存在となる「皇后」。神功皇后や光明皇后ら、過去の偉大な皇后と感応しつつ、近代日本に時空を超えた皇后像を現出させ、さらにはアマテラスに自らを重ね合わせようとする貞明皇后。斬新な視点で天皇制の本質を明らかにし、秘められた扉を開いた記念碑的著作!
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この作品のレビュー
平均 4.3 (3件のレビュー)
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本書は、折口信夫の「女帝考」を本歌取りして書かれた本と言える。「女帝考」考察されるナカツスメラミコトを体現した女帝として貞明皇后を、皇后の事跡を中心に論を進める。貞明皇后が皇后でありながら実質的に天皇…として振る舞われた神功皇后を意識して起ち居振る舞われたというのである。体質性格上種々取り沙汰される大正天皇の皇后として摂政皇太子と対峙し振る舞う姿は、神意を仲哀天皇に仲立ちした神功皇后見習ったものではないかとする。皇后歌集『貞明皇后御集』『大正の皇后宮御歌謹釈』などを読み解き貞明皇后の心情を再現するのである。
敗戦により、天皇の人間宣言は皇后の立ち姿も変えていた。さらに”平民”出身の皇太子妃が誕生し「視覚的にも皇太子でなく皇太子妃、天皇ではなく皇后が中心となる天皇制の幕開け」となる。著者は美智子皇太子妃に皇族以外からの皇后であった光明皇后の姿を重ね合わせる。「象徴天皇制の正当性は、天皇ではなく、光明皇后をモデルとする皇后によって担われていると言っても過言ではあるまい」とする。さらに「もし皇后が皇后として十分な役割を果たせなければ、皇后に匹敵する有力な皇族妃が出てこない限り、象徴天皇制の正当性そのものが揺らぐことをもいみする」と言い切る。「この仮定が決して荒唐無稽ではないことは、近い将来に証明されるであろう」とも言うのであるが、如何であろうか。続きを読む投稿日:2020.01.15
明治以降の皇后について、その役割の変遷を分析した一冊。これまで自分は皇室にまったく関心がなかったので、知らないことだらけ。
本書によると、皇后は皇室外から嫁いでくるので、皇后としてのアイデンティティ…を新たに確立していくプレッシャーに晒される。そのときに参照されるのが過去の皇后、特に古代の神功皇后と奈良時代の光明皇后である。
天皇と皇后の役割として重要なのが「祭祀」。これは、明治に入って延喜式などを参考に再構成されたもので、国家の安寧や臣民について、アマテラスなどの皇祖に祈る。祭祀や行啓によって、皇后は過去の皇后と自分を同一化していく。一方、祭祀は、参加者の心身への負荷が大きい。また「血の穢れ」という概念があり、女性は生理中は参加できない。(つまり、生理かどうかのチェックもあるのだろう)
全体のなかで、もっともページ数を割かれているのは貞明皇后。一夫一妻制が浸透していなかった時代で、大正天皇に浮気癖があった。夫は行啓などに1人で行くうえ、当時、天皇家は子どもを自分では育てないことになっていたので子どもとも引きはがされる。その上、大正天皇は原因不明の病気になってしまう。精神の安定を保つのが難しくなり、「神ながらの道」という神懸かり的な信仰にのめり込んでいく。
個人的に興味深かったのは、いまと同じような後継者問題が昭和天皇のときにも起きていたということ。制度がかわらないから当然だが、男の子が生まれたので議論が収まった点もふくめ、反復しているだけの感がある。これ、そもそも祭祀のあり方などが変わらないかぎり、解決しないんじゃなかろうか。一方、今上天皇と皇后が、近代の天皇の中でもっとも祭祀に熱心だそうだ。そうすると、祭祀を変えることも難しい気がする。
少なくとも自分には、皇室の見え方が大幅に変わった。今上の生前退位前に読んでよかったな。続きを読む投稿日:2018.07.19
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