ITナビゲーター2018年版
野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部(著)
/東洋経済新報社
作品情報
2023年に向けてICT・メディア市場で何が起こるのか。
本格化するシェアリングエコノミーからxTech、宇宙ビジネスまでを徹底予測。
ソフトウェアがすべてを飲み込むデジタル時代は何が変わるのか?
本書では、デバイス、ネットワーク、メディア、プラットフォーム、xTechの各市場に分けて、30以上のテーマを網羅している。
IT市場の構造変化を見通し、事業戦略や新たなビジネスモデルの可能性を考える際の指針となる一冊。
昨今、ビジネスの世界では「デジタル変革」という言葉を見ない日はない。
いよいよ、あらゆる活動がネットに接続している前提、そして、ソフトウェアで書かれている前提になっていることの証左である。
本書でも紹介しているIoTやAIなどのキーワードは、まったく新しく出てきた変革のようにとられることもあるが、これらはすべて数十年に及ぶ大きなサイクルで世の中にITが浸透していく一過程にすぎない。そして、これまでの20年はあくまでもITの黎明期であり、これからの20年はITの本質的な浸透の時代に入っていく。
2018年版の本書では、ITがビジネスの前提として利用され、それぞれのビジネスをデジタル変革していく様をより明らかにするために、金融、小売、広告、教育、人事など各業種ごとに説明する「xTech」の章を新設した。
また本書では、それぞれの市場が独立した章として論じられており、各章の冒頭に要約を、またそれぞれの節にも論旨をまとめたキーメッセージを配して、必要な部分に焦点をあてて読むことができる。
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商品情報
- シリーズ
- ITナビゲーター2018年版
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - IT・Eビジネス・資格・読み物
- 出版社
- 東洋経済新報社
- 書籍発売日
- 2017.12.01
- Reader Store発売日
- 2017.12.01
- ファイルサイズ
- 42.1MB
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この作品のレビュー
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10年以上継続して情報通信産業の動向予測を行っている野村総研の『ITナビゲーター』。5年先を数字も含めて予測しているので、今年も2017年度を予測した『ITナビゲーター2012年度版』の内容と合わせて…見ていくこととする。
2018年度版から章立てなどのテイストが変わっていたので、気になって執筆陣を確認すると桑津浩太郎さんからはじめにの担当が石昌平さんという方に代わっていた。政府関連の委員会などにもよく呼ばれている北俊一さんも今回からクレジットが外れている。桑津さん、北さんは手元にある2006年度版でも筆頭にクレジットされているので、今回は大きな変化と言っていいと思う。AI、IoT、ビッグデータ、が情報通信の枠組みを超えて広がり、そこをカバーするには体裁含めて変更することが必要であったということも言えるのかもしれない。
序章において、「Software is eating the world」が長期的なITのトレンドをもっともよく表している言葉だとして挙げている。自分にとっては初めて聞く言葉であるが、2011年のマーク・アンドリーセンの言葉だという。その影響として、具体的には「アンバンドル化」と「サブスクリプションモデル」であり、その流れに合わせたビジネスモデルの変革である。「飛んでいる飛行機のエンジンを、飛行機を飛ばしたまま取り替える」ような変革が必要となるだろうというのがメッセージである。
2018年度版での構成上の大きな変化は「xTech市場」として、FinTech、RetailTech、AdTech、FoodTech、EdTech、SportsTech、HR Tech、AgTech、HealthTechという9つの分野について最新動向がまとめられた点である。
また、2012年度版にも2017年度版にあるタブレット端末、車載情報端末、デジタルカメラ、ウェアラブル端末、B2Bロボット、電子書籍に関する市場考察は2018年度版にはなくなっている。野村総研内部でも議論があったはずだが、車載情報端末やデジタルカメラに関してはスマートフォンが代替品として普及する中その重要性が低下していることは明らかであり、判断としては正しい判断であると思われる。
■ 5年後予測 - 巻頭特集
2018年度版の巻頭特集に取り上げられたテーマは、「宇宙ビジネス」「国内シェアリングエコノミー」「中国シェアリングエコノミー」「APIエコノミー」「パーソナルデータ流通ビジネス」となっている。昨年のテーマが「携帯電話業界の構造改革」、「巨大SNSプラットフォーム」、「AI」、「VR」、「ブロックチェーン」、「C2Cシェアリングエコノミー」、「スポーツICT」、「インバウンド」、「個人情報の越境規制対応」となっているので、あまり共通するところが少ないかなという印象。宇宙のビジネス化というのはいまいちビンと来ないのだけれども、リモートセンシングによるデータ取得の観点からビジネス機会はあるのだろう。シェアリングエコノミーの観点では中国の先進性がここ数年際立っている。BAT (Baidu、Alibaba、Tencent)という言葉もGAFA (Google、Apple、Facebook、Amazon)と同じように人口に膾炙することになるのだろうか。特にAlipayとWeChatのモバイル決済は便利だというレベルを超えて生活に浸透している。ライフスタイルへの変革があるとするとそこからではないかとも思う。「過去、新興国の人々が憧れを持って日本を見たのと同じように、次の世代は、先進的な中国的消費文化が、新興国における憧れの対象、あるいは欠かすことができない生活インフラとなることも十分に予測される」と書かれているのは控えめな表現であったと振り返るときがくるのかもしれない。また、「パーソナルデータ」については今後の大きな議論になるポイントだと考えている。VRM (Vendor Relationship Management)やPDS/情報銀行といった考え方はこれから議論されていくことと思う。
過去に戻って、2012年度版では巻頭トピックは「ビッグデータ」「医療情報」「スマートグリッド」となっている。「ビッグデータ」は2018年においても重要かつお金の動く領域になっている。データサイエンティストが最もセクシーな職業という言葉が出たのが2009年だったんだなと思い返す。「医療情報」もヘルスケアという観点では進んでいるが、医療現場においてはなかなかIT化が進まない領域と言えるのではないか。ライフログやEHR/PHRといったワードが出ているが、2018年度版ではHealthTechのパートで言及されているが、まだ具体的課題があるはずなのに、5年先での踏み込みとしては浅いという印象。電力については、最近のITナビゲーターからは外れているのかもしれない。
■ デバイス市場/携帯電話端末市場
2012年度版での2016年度の携帯電話の世界での販売台数の予測は17億台強。実際の2016年度の販売総数は約20億台、マクロの予測としてはまずまずなのではないだろうか。日本市場については、2016年度予測3,166万台に対して3,871万台とこちらも上振れ。ただ、2011年度版では2015年度予測を4,580万台としており、また広義のスマートフォン・狭義のスマートフォンという用語を使ってスマートフォンの定義から行っていたことを考えると予測台数のぶれと合わせて2011年度版から2012年度版にかけてスマートフォンに関する世間での認知が大きく変わったことがわかる。しかし、それでもまだ2016年末のスマートフォン比率を5割としている。実際には2014年度に5割を超えて、2017年度末には7割を超える状況である。やはり現状維持バイアスを完全に取り除くのは難しいということなのかもしれない。2018年度版の予測でも、5年後の2023年度ではまだ2割はフィーチャーフォンを使っているとしている。もちろんこの予測には通信事業者の料金施策に大きく依存する。果たしてこの予測が当たるのかどうか。また、2023年度の携帯電話販売予測を3,600万台までさらに落ち込むと予測している。中古市場や格安市場をどう見るかによるが、ここまで成熟した市場では大きく外すことはないのかもしれない。
一方、世界市場ではAppleとSamsungがハイエンド端末では競い合っているが、5年後にどうなっているのかは気になるところである。
デバイス市場の分析対象に新しく「ドローン」「音声エージェント端末」「VR」という新しいカテゴリーが加わった。これらは5年前にはまだ形になっていなかったもので、今でも新しいことが世界で起きているということである。大きくシェアが動く可能性もあるのではないかと思う。
スマホ市場において日本メーカーの存在感は薄いが、電子部品業界にとっては大きなビジネスとなっている、としているが、そうであればもう少し細かい分析を追加してもよいのではないかと思う。次期以降にも期待するところである。
■ デバイス市場/4Kテレビ、インターネット接続可能テレビ、ストリーミングプレイヤー市場
2017年度版では「次世代テレビ市場」とされていたが、より細かい定義をタイトルから規定するようになっている。
2012年度版では「スマートテレビ」と定義されている。「スマートテレビ」の中にはSTBも含まれている。2012年度版における2016年度のスマートテレビの普及世帯は770万世帯、インターネット接続可能テレビの普及世帯は1,532万世帯。一方、実際の2016年度末のインターネット接続可能テレビは約2,000万世帯、ストリーミングプレイヤーで492万世帯である。やや実際の方が先に進んだと言えるだろう。この間にYouTubeやそのためのChromecast端末、Netflix(すでに米国では人気になっていた)やhulu、Amazon Prime VideoなどOTTプレイヤーの拡がりなど順調に発展してきたという事実がある。また、8Kどころか4Kに関しても2012年度版には言及がないことは驚きである。
4Kテレビは、量販店での販売で構成比の29%、販売金額比で59%になって、ようやく普及期になってきた感がある。ただし、2018年度版で指摘されているように国内のメディアが民放中心であり、民放地上波は4Kでの放送ができないため、なかなか4Kのコンテンツへのインセンティブ働かず、海外で先に立ち上がってしまうことに懸念が示されている。ただ、ローカルであることの心配をするのであれば、4K放送を国内独自方式にしたり、8Kを強制することの弊害も大きいと言える。そこに関する批判的・懐疑的言及はない。また、ハイブリッドキャストについても同様である。
テレビに関してさらに驚きなのは2012年度版でまだマルチメディア放送(mmbi)に関する期待が大きく記載されており、2012年度から本格的に立ち上がって、2016年度には1,200万加入を数え、460億円の市場になっていると予測していることである。何か余計なバイアスでもかかっていたのではないかと思うくらい懐疑的な記載もない。実際には2012年4月にサービスを開始したものの、2016年6月には累積赤字1,000億円を計上してサービスを終了している。ここまで外したものはないのではないだろうか。
■ デバイス市場/VR、音声エージェント端末、ドローン市場、3Dプリンター市場
2018年度版からVRに関する市場予測が掲載されている。2023年には64万台に達するというが、その大半をPSVRの後継機が占めるという予測である。ただ、人口からするとまだまだ小さな割合である。体験機会がないため、浸透していないとされているので、何かのきっかけで変わることがあるのかもしれない。それがPSVR後継機だけであるとゲーム市場に限定されるため、より多くのコンテンツが出てくることが期待される。
音声エージェント端末も2018年度からの新規市場項目となる。2017年度版ではほとんど言及がなかったが、すでに米国ではかなり勢いを持っていた。2017年秋口に日本でも本格展開された。2023年には世帯普及率50%弱と見ているのでかなりアグレッシブである。2017年に283万世帯(5%程度)に達するとみており、そのまま順調に伸びるという想定である。今後の技術進化の課題として、①複数コマンド入力、②Voice ID機能、③状況認識機能、④画面搭載、となっている。確かにGoogle HomeもAmazon Echoも購入したが、まだまだ使える場面が増えてこないと普及は難しいと感じる一方、やれることは順調に増えてどこかでブレイクポイントがあるのだろうとも考えている。
ドローンに関しては、2017年度末の市場規模は235億円で農業散布が全体の半分以上を占める。空撮と測量でそれぞれ80億円程度の市場と言われている。2023年度にはこれが1,700億円に届くと想定をしている。今後、安全確保に関する技術開発が重要となると指摘されている。特に老朽化が進むインフラ点検は2023年度には400億円の市場になっているとされている。一方で配送に関しては2020年頃までは実証実験にとどまるとの想定である。ドローン市場としては2018年度版から個別市場として記載されているが、2017年度版でもB2Bロボット市場の中で比較的詳しく記載されており、応用分野の記載に関しては2018年度版よりも詳しいところも多い。いずれにせよ期待できる分野である。
3Dプリンター市場は2017年度からの継続である。ただし2017年度版がグローバル市場に着目しているのに対して、2018年度版では国内市場を軸に記載されている。2017年の市場規模は111億円、2023年には280億円になるという。いろいろと知らないところでも技術革新が進んでいるという印象。
■ ネットワーク市場/固定ブロードバンド
「光コラボレーション」の浸透により、大手携帯三社のFTTHとのセット割がある程度一巡したのかもしれない。
予測としては2016年度末の約3,550万件から2023年度末には約3,900万件に達すると予測している。2012年度版では2016年度末には3,445万件と予測されていた。内訳はFTTH/CATV/ADSLで2,441万件/683万件/322万件の予測に対して、実際の2016年度末の予測は2,672万件/685万件/188万件であり、ADSLからFTTHへの移行が想定以上に進んだということが言える。実はCATVインターネットの予測が2011年度版では2015年度末予測が467万件とされていたので、2011年版→2012年版で上振れしたのはKDDIの2010年2月のJ:COMへの出資が影響したのだろうか。
また、2012年度版では無線インターネットが拡がって、固定回線を使わない層が増えると予測していたが、2018年度版では、スマホとFTTHは補完されるとされており、重視されていないことが印象的である。
■ ネットワーク市場/モバイルキャリア・ワイヤレスブロードバンド
MVNOおよびMNOサブブランドで2023年度末には4,000万加入に達すると予測する。1年前の2017年度版での2022年度末の予測が2,600万回線であり、そもそも2017年度末の予測が1,535万回線となっているものが、すでに実際には2,031万回線が想定されており、かなり上振れてMVNO/サブブランドへの移行が進んだことを示している。ここはNRIでの読み違えとも言える。ただ、2018年度版でもまだ6割のユーザはMVNOを利用する意向はないとして、MNOの選好がまだ高いことを示している。一方でMNOのスマホユーザの2割が次回はMVNOも検討していると言われ、まだMVNOの影響は継続することが想定される。
なお、2017年度末時点で携帯加入者数は1億6,836万回線、2012年度版の予測では2016年度末の予測だが、1億3,783万回線となっており、二台持ちなどの影響なのか上振れでの推移となっている。
2017年度との大きな違いはARPUに関する分析がなくなっている点である。重要な要素であると思うのだが、MVNOの影響が無視できなくなり、データとして整理するのが難しくなっているのかもしれないと想像した。
■ コンテンツ配信市場/ゲーム市場
ハードではNintendo Switchが想定以上に売れたことが触れられている。eスポーツにおいて日本市場が賞金額の問題などで取り残されていることにも言及されている。
■ コンテンツ配信市場/動画配信市場、音楽配信事業
有料動画配信サービスについて2012年度版での2016年度末の市場規模予測は1,301億円であった。2018年度版における2016年度末実績は1,700億円で大きく上回っている。2023年度末には2,176億円まで伸びるとされている。昨年もDAZNなどの動きもあり、この5年で大きく動いた市場だと思うが、今後の5年もどうなるのか興味がある市場である。
音楽配信市場は2012年度版では983億円とされていたが、じっさいには836億円となっている。
実は音楽DVDを含めた日本の音楽パッケージ売上は世界1位で、全世界の約3割を占めるほどパッケージにまだ残っている国になっている。世界ではデジタル配信が59%で半分以上を占めているのに対して、日本ではまだ18%ということで、かなり意外なデータである。なかなか移行が進んでいないということだが、もしかしたら日本の音楽デジタル配信市場はまだまだ伸びしろを持っているのではと考えてしまう。
■ コンテンツ配信市場/放送・メディア市場
放送市場に関しては、2016年度にテレビ広告費が1.6%と増加に転じたことをニュースとして挙げている。リオオリンピックや伊勢志摩サミットの影響を挙げているが、国内景気が上向いていることも大きいのだろう。ただ、新聞などのオールドメディアを考えると今後決して安泰であるとは言えない。2018年度版でも放送外収入への積極的な取り組みが紹介されており、実際にキー局平均ですでに5割を放送外収益で占めている状況である。2018年12月に始まる4K/8K放送にも詳し目に触れられているが、ビジネス上のインパクトに関しては何も言われていない。また、BS放送の中高年層へのシフトに触れられているが、テレビ全体での大きな課題になっているのではないか。
また、CATVや衛星放送など有料多チャンネル事業者に関しても2017年度とほぼトーンは同じだが、低価格メニューの提供、J:COMのような多角化について触れている。直近のDAZNやスポナビ、huluやAmazon Prime Videoなどの実質的な競合を挙げて「かゆいところに手が届く」サービスの重要性を強調している。2017年度版に同じ「かゆいところに手が届く」サービスをロイヤルティ向上の理由として挙げていたのと比べるとより危機感が高まったと解釈することが可能だろうし、実際にそうだと思う。
2012年度版での2015年度末での加入世帯予測は、CATV/衛星/IPのそれぞれで、743万/335万/144万であったが、これに対して実際の2016年度末では762万/541万/94万となっている。CATVに関しては「かゆいところに手が届く」部分やバンドリングも含めて意外にこの5年間は健闘したと言えるだろう。また、2011年度版からもCATVが上振れ予測になっているのは、KDDIによるJ:COMの資本参入の影響を考慮した結果なのかもしれない。また、衛星放送も昨今の現状の中で予想を覆してかなり頑張ったと言えると思う。一方、IP放送は徐々に既存サービスを一部浸食する形で増えていく予想であったが、すでに頭打ちで純減基調になっている状況である。いずれにせよ2023年度で総計で2016年度末の1,397万から1,292万世帯まで数字は漸減するとの予測となっており、いかにこのペースを抑えて同時に利益を確保するかということが経営課題になってくるのではないだろうか。
■ プラットフォーム市場/クラウド、データセンター、法人ネットワーク
2017年度版以前では「ソリューション市場」で括られていたカテゴリーである。2018年度予測として、2017年度から2023年度に向けてクラウドは6,973億円から1兆1,661億円に、データセンターは1兆2,691億円から1兆7,000億円に、法人ネットワークは7,434億円から6,720億円になるとされている。
2012年度版の2016年度末予測では、SaaS/データセンター/法人ネットワークでそれぞれ、1兆2,020億円/1兆7,732億円/7,186億円となっている。SaaSは、クラウドのカテゴリーではなく、データセンター需要がクラウドとデータセンターに分かれたとすると、2016年度末の実データで1兆9,664億円なので、そんなに大きく外してはいないのかもしれない。それよりも2012年度版において、AWSについてほとんど触れられていないことが奇異である。2018年度版においてはAWSは機能追加を強化してパブリッククラウドとしてのポジションを盤石としている、とまで書かれている。この5年間でクラウドサービスに関する世間の認知が大きく変わったということだろう。
法人ネットワークについては減少傾向が続き、GoogleなどのOTT事業者がインフラを自前で展開していることも踏まえて減少傾向が加速する可能性についても示唆されている。
■ プラットフォーム市場/情報セキュリティ市場
2012年度版においては情報セキュリティ市場についての分析はまだ含まれていない。2016年には7,900億円の市場が、2023年には1兆1,400億円になると予測されている。昨年IoT機器のセキュリティの問題が大きく取り上げらることが多かったが、今後もセキュリティニーズは変わらないのだろうなと思う。
■ プラットフォーム市場/IoT市場
IoT市場という分野も2012年度版には存在していない。2018年度版では2023年に4兆円を超える市場規模となり、年率30%以上の高い成長が期待されると予測されている。5年後が楽しみである。
市場予測においては、2017年度版と同じく「エネルギー」、「セキュリティ」、「自動車」、「流通」、「ヘルスケア」、「その他」で予測を行っている。2017年度時点では9,000億円の市場規模とされる。また、IoT市場の内訳としては通信で2,900億円、デバイス1兆円、クラウド1兆円、ソフト開発6,000億円、プラットフォームで6,000億円といった状況であり、通信だけではビジネスとしては小さくソリューションとして取り組みが必要な領域となってくる。プレイヤーも多様である。
■ プラットフォームし応/ブロックチェーン市場、RPA市場
2017年度版では巻頭のトピックとして取り上げられているが、2018年度版からはひとつの市場として分析対象に挙げられている。しかし、ユースケースは数多く生まれているが、実際に事業化・実利用に至ったものはほとんどない状況であることも言及されている。印象としてはまだ早い気がするが、先物買いということだろうか。
RPA市場も2018年度版から取り上げられた市場である。2017年度では25億円で2023年度には327億円ということで単体として取り上げるに大きい市場ではないようにも思われる。ただ、今後の成長は大きく、AIの適用により便利になるだろうし、働き方の観点でも大きな話になっていくのかもしれない。ただ、本書でも書かれている通りマクロのようなものであり、影響がどこまで大きいのかは疑問である。
■ xTech市場
「xTech市場」として、FinTech、RetailTech、AdTech、FoodTech、EdTech、SportsTech、HR Tech、AgTech、HealthTechという9つの分野に対して市場調査を行うというのが2018年度版の目玉だろうか。
これまでのB2B EC市場、スマートペイメント市場、ポイント市場、インターネット広告市場など上記のカテゴリーの中で調査継続されているものもある。
それぞれの2023年での市場規模は次の通りと予測されている。
FinTech:114兆円
RetailTech: 72兆円 (内B2C市場 17兆円) ショールーミングなども含む
AdTech: 1兆3,000億円 (2020年頃に頭打ち)
FoodTech: 4,682億円
EdTech: 3,000億円
SportsTech: 1,000億円
HR Tech: 1,600億円
AgTech: 400億円
HealthTech: 400億円
どれも新しい分野であり、カテゴリーの定義も曖昧なものも多い。来年以降の定点観測でどうなるか興味深い。
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全体の印象としては、昨年度以前と比べるとどこか深堀りができていないのではないかという印象を受けた。自分の仕事での領域が変わったこともあるのかもしれないが、新しい情報や新鮮な見解というのが少なかった。執筆陣が変わった影響なのか、少しバイアスがかかっているのかわからない。いずれにせよ来年度も継続されることを望む。
また、相変わらず章によって年なのか年度なのかの使い分けが曖昧なところが多い。また、直近も2016年(度)から始まったり2017年(度)から始まったりとまちまちなところも気になる。執筆陣の変更とともに整理をしてもよいのではないかと感じるところである。
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『ITナビゲーター2017年版』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492502858続きを読む投稿日:2018.01.07
衛星コンステレーション(えいせいコンステレーション、英語: Satellite constellation)とは、特定の方式に基づく多数個の人工衛星の一群・システムを指す。個々の衛星はシステム設計され…た軌道に投入され、協調した動作を行わせ、システムの目的を果たす。
ヘルスケア続きを読む投稿日:2020.09.21
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