閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
水野和夫(著)
/集英社新書
作品情報
資本主義の終焉によって、世界経済の「常識」が逆転した。経済成長を追求すると、企業は巨大な損失を被り、国家は秩序を失う時代になったのだ。生き残るのは、「閉じた経済圏」を確立した「帝国」だけである。「長い21世紀」という500年ぶりの大転換期に始まる、新しい「帝国」システム。そのもとで、米英・欧州・中露の経済はどう変わるのか? 日本を救い出す方策とは何か? ベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』で高い評価を受けたエコノミストが描く、瞠目の近未来図! 【目次】はじめに――「閉じてゆく」時代のために/第一章 「国民国家」では乗り越えられない「歴史の危機」/第二章 例外状況の日常化と近代の逆説/第三章 生き残るのは「閉じた帝国」/第四章 ゼロ金利国・日独の分岐点と中国の帝国化/第五章 「無限空間」の消滅がもたらす「新中世」/第六章 日本の決断――近代システムとゆっくり手を切るために/おわりに――茶番劇を終わらせろ
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
- 著者
- 水野和夫
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2017.05.22
- Reader Store発売日
- 2017.10.06
- ファイルサイズ
- 2.5MB
- ページ数
- 272ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.3 (25件のレビュー)
-
次々に著書を著していく水野和夫の近著。「より遠く、より速く、より合理的に」という近代の理念と「より多く」という資本主義の時代は終わったという前著に続いて、「より近く、よりゆっくり、より寛容に」というス…ローガンを掲げてポスト近代を手探りでも俯瞰しようとする意欲作。続きを読む
投稿日:2017.06.11
幾人かの学者らが、資本主義、近代が終焉に向かっている事を指摘するが、本書の著者・水野和夫氏もそうである。
水野和夫氏は、マクロな視点で歴史に注目し、超低金利が、『長い16世紀』が利子率革命により、中…世を終わらせ、近代システムが開始したように、現在の低金利が、資本主義と近代システムを終わらせるという。
その先の未来は、『世界は複数の『閉じた帝国』が分立し、その帝国の中で幾つかの『定常経済圏』が成立する。』状態がしばらく続くという。
その閉じた帝国の分立状態を、彼は、『長い21世紀』と呼ぶ。
『長い21世紀』とは、『長い16世紀』が国民国家が分立していたように、新たな中世のような状態『新中世』を意味する。
『長い21世紀』の始まりは、1973年のオイルショックであった。
『長い21世紀』は、今から2100年頃に完成するというポスト近代のシステム完成迄の過渡期である。
この時代のモットーは、『より近く、よりゆっくり、より寛容に。』だ。
つまり、近代システムの真逆だ。
『長い16世紀』の時代に、誰も次の時代がどんな時代になるか予想できなかったと同様、近代システム終焉後の新たなシステムは、誰も予想出来ないという。
ホイジンガが中世から近代への移行が、小さなさざなみが、やがて大きな波に変わっていったと表すように、ポスト近代のシステムもそのように完成して行くだろうという。
そして、縁故資本主義など、『悪しき中世』的な現象は、既に見られている。
これは、富める者の資産の三分の一は相続によるものなどを指す。
つまり、中世の王侯貴族のように、エリートら富める者が固定され、世界を支配しているということだ。
これらは、先日読んだ『ポスト・デモクラシー』のエリート企業が、ロビー活動で政治を支配し、民主主義の状態は、中世に逆戻りだという主張に通づる。
世界は閉じていくであろうというのは、経済的には僕にはわからないが、政治的にはそうであろうと思う。
何故なら、一国では対応するには難しい問題が幾つも存在し、各国が緊密に連携する必要があるからだ。
水野和夫氏も紹介するように、国民国家というシステムは、過渡期的存在であるというが、なるほど、国民国家の上位に位置する存在が無ければ、世界で何かを決定したり、アクションを起こすには、非常に難義である。
また、水野和夫氏は、『長い16世紀』において、『陸』の中世封建システムから『海』の近代世界システムへの大転換が起きたと述べる。
シュミットの言うように、世界史は、陸の国と海の国の戦いであるという。
『海の国』アメリカの時代は、終わりつつあり、『陸の時代』への移行期に現代はあるという。
近代システムの一つである『より遠く』のフロンティアが、最早存在しない。
金融の話で解り難い部分があったが、後半は読みやすく、よく理解できた。
また、水野和夫氏は、一見マイナーでありながら興味深い著作を読んでおり、読書家の一人としても参考になる。
本書は、ウォーラーステインの世界システム論に開かれており、必然的に、『近代とは?』や今後の資本主義に考えねばならず、読み応えがあるのは確かだ。
他に、本格的に資本主義とは異なるシステムに持っていくには、現在の株式会社と投資家の関係を変えて行く必要があるように思えた。
続きを読む投稿日:2021.06.06
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。