在日米軍 変貌する日米安保体制
梅林宏道(著)
/岩波新書
作品情報
「専守防衛」と言いながら在日米軍の攻撃力に依存し,「唯一の被爆国」と言いながら米国の核兵器で日本を守る――「戦後の平和主義」を直視せよ.「緊密で良好な日米関係」という位の意味合いで受けとめられる「日米同盟」の内実は? 前著から15年.世界展開する現在の在日米軍の全貌を直視し,軍事力によらない安全保障を模索する.
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商品情報
- シリーズ
- 在日米軍 変貌する日米安保体制
- 著者
- 梅林宏道
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2017.06.20
- Reader Store発売日
- 2017.09.21
- ファイルサイズ
- 4.1MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (3件のレビュー)
-
日本が抱える在日米軍の役割とその変遷を描き、その弊害を指摘し、代替案を提示することを目的とした本。憲法9条を堅持する主張はどういう論拠に基づいてるのかな、という意味でも興味深い。
以下、3段落に…分けて簡単に内容をまとめる。
1.在日米軍の役割の変遷
在日米軍が置かれたのは、元々冷戦における対ソ防衛体制であって、西側陣営の土俵を守るという意図があった。
しかし、米国は、朝鮮半島とか東南アジアとかインドとかアラビア海とか、米本国から遠いところでも力を発揮しなければいけなくなった。米国による汎地球的防衛体制である。
でも、お金もないし遠いところを守るのは大変なので、極東の日本がその防衛体制の構築に地政学的にも金銭的にも協力してくれると米国は助かる。
よって、在日米軍は、日本を守る(ことを通じ西側陣営を守る)という当初の目的から、世界を守るという目的に変貌した。日本にいる米軍がそこから他国を攻めに行ったら、それは立派な軍事支援とも考えられる。専守防衛を掲げてきた日本も、米国に協力せざるを得なくなると、他国へ攻め込む米国を支援することになり、間接的に、あるいは究極的には米国と一緒に他国を攻めるということに繋がりかねない。
2.在日米軍駐留の妥当性
ここは眠くなっちゃったのであんまり頭に入っていないのだが、在日米軍がそこまで有効ではないこと、市民生活を大きく脅かしていることを著者は主張する。論理的批判と、心情的な批判。
3.日米協力の深化が必要とされる中での軍縮とは
「北東アジア非核兵器地帯」という概念を提示し、非軍事安全保障を目標に掲げる。
軍事費という世界的な無駄遣いから脱却すべきという考えは軍縮を基本的価値として掲げる国際連合の理念に一致する。この理念以上に非暴力平和主義を主張するのが憲法9条であり、北東アジアでの非核化実現により、安全保障と軍縮を実現しようではないか。
……ということが書かれていると思う。
根幹には、米国依存からの脱却があるのかな?と思うけど、そうした大きな話は知識がないのでよく分からないし、妥当性の判断なんてそれこそ政治的な話になっちゃうから好きではない(!)。在日米軍を撤退させたいという著者の強い意志がある以上、どうしても現実認識にそのバイアスがかかっているんじゃないの?と疑ってしまうのはしかたない。
ただ、高校の頃に世界史の図版を見ていた時、冷戦の終結とかベルリンの壁崩壊とかシドニー五輪での朝鮮半島南北統一旗とかSTARTⅡ調印とかマルタ会談とかを目にして、無邪気な私は「歴史時代からずっと続く争いの時代がようやく終わりに向かい、世界はちょっとずつ平和になっていくのかな」なんて思ってた。
軍事費の増大や日米軍事同盟の強化がそれに逆行するのかと言えば必ずしもそうではないのかもしれない。それでも、自分が死ぬときに、今より平和になってたら良いなとは思ってる。
著者の主張の妥当性如何はこれから様々な主張を勉強する上で見えてくるかもしれないが、勉強する上での良い取っ掛かりになってくれたかなと思う。面白かった。続きを読む投稿日:2019.02.14
たまには自分とは違う考え方の人が書いた本も読んでみる。
意外と頷ける部分もあって、気付かないうちに頭が硬くなっていることに気づく。投稿日:2024.03.08
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