習近平が隠す本当は世界3位の中国経済
上念司(著)
/講談社+α新書
作品情報
「中国GDP47兆円水増し」――2017年2月9日「産経新聞」の1面に見出しが躍った。1月には、遼寧省が2011年から14年にかけて毎年、財政収入を20%以上水増ししてきたことも判明した……中国GDP「1100兆円」の嘘を徹底的に暴く! 大ベストセラー『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』に続く第2弾!!
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商品情報
- シリーズ
- 習近平が隠す本当は世界3位の中国経済
- 著者
- 上念司
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社+α新書
- 書籍発売日
- 2017.06.21
- Reader Store発売日
- 2017.06.21
- ファイルサイズ
- 94.3MB
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この作品のレビュー
平均 3.6 (5件のレビュー)
-
日本のGDPが中国に抜かれたというのは認識していましたが、名目GDPをドル換算で見た場合、最新データ(2016)によれば、中国のGDPは日本のGDPの2倍を超えて首位のアメリカに迫る勢いであることを認…識しました。世界中で低成長が続く中で、少なくとも中国は数年前までは物凄い成長率であったので、大きな差がついてしまったのでしょう。
昔話になりますが、私が高校生(1980年前半)のころ、GNPのデータで、アメリカとソ連が首位争いをしていました。それから10年以内にソ連は消滅、ロシア連邦になりましたが、経済に関するデータは嘘であったことが判明し、為替のルーブルが暴落したこともありましたが、今のロシアの経済規模は、世界で12位(日本の3分の1以下)となっています。私が調べた限りでは1992年以前のデータはありませんでした、おそらく嘘だったので使えないと判断されたからではないでしょうか。
この本によれば中国は、当時のソ連と同じ状況になっている可能性があると述べています、それによると中国の現在の経済規模はまだ日本に達していないのでは、というのがこの本のポイントの一つのようです。ソ連が多くの国に分裂してしまったように、中国も将来はそのようになるのでしょうか。
中国の歴史をみると何度も様々な国に分かれてきた経緯があるので、これからそうなっても不思議ではありませんが、ソ連の中心がロシア連邦となったように、中国も北京国とか上海国となって、日本はその国々と付き合うことになるのでしょうか、等とこの本を読んで感じました。この本には中国のマイナス面がメインに書かれていますが、本当にそうなのでしょうか、真実の中国はどうなのかを知りたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・中国国内の在留邦人約13万人のうち、北京・上海・広州・香港の4都市に暮らす人だけで、約70%の9万人である、経済発展が特に進んだ地域の状態を中国全土に当てはめるのは、いわゆる「上海メガネ」である(p22)
・1985年にゴルバチョフが中央統計局の改革に乗り出し、経済統計の整備を始めた。1990年、ソ連はIMF,世界銀行、OECDの調査団を受け入れ、翌年に報告書が出た。このグラスノスチを高く評価した人もいたが、この年にソ連は崩壊した(p33)
・ソ連の実質国民所得は、1928-85年に公式統計では90倍増加したことになっているが、実際には6.5倍とされている(p35)
・3%の嘘であったとしても、この粉飾を35年続けると大きな差(2倍から3倍)がついてしまう(p36)
・中国の場合、全国GDPと、31省・市・自治区のGDP合計の乖離がある、最もひどかった2013年は、11%(6兆元)上回っていて、この年は全国のGDP成長率を下回った地方が1つもないという珍事があった、2016年は2兆元程度の差(上海市相当)があった(p41、45)
・中国の物流はトラックが中心なので、鉄道貨物輸送量を重視するのは違和感あり、融資残高も銀行は国有企業のみにしか貸さないので、これを見るのもおかしいとする人もいる。しかし中国共産党がごまかせない数字として、輸入統計がある、2015年にマイナス13.2%、2016年にマイナス5.5%となっているが、経済成長率は伸びている(p47)
・国家統計局は、全国値は発表しているが、31省・市・自治区別の統計は発表していない、北京市・上海市・浙江省のGDP統計は正しいと、同局は言及している(p54)
・1985年の粉飾元年とすると、最も控えめな3%粉飾で計算しても、中国のGDPは、いまだに日本(522兆円)を抜けていない、円換算で437兆円程度となる(p59)
・習氏は2016年10月、いままでに3名(毛沢東、鄧小平、江沢民)にしか用いられていない「核心」という指導者に位置づけられた(p70)
・中国は、太陽光パネル・電気自動車・風力発電の分野において、国際的なシェアを持っているが、外国からの輸入をブロックしたうえで、産業政策的に補助金を投下して、不当廉売を行っている(p79)
・日本も1950-1970年までは、いま中国がやっている不公正貿易のお手本をしていた、1ドル360円という実力以下の超円安固定ルートをアメリカに設定されたため、あらゆ産業が輸出産業となっていた、超円安なので外国からの輸入をブロックする効果があった(p82)
・中国の人件費が安く世界の工場となったのは、戦後直後の日本と同じで、人民元が安く固定されていたから(p83)
・2009年7月までは中国本土内のみで人民元決済が行われていたが、同年国際間での人民元決済が始まり、香港の中国銀行が人民元の決済銀行として営業を開始した(p88)
・中国政府はトランプ大統領に批判される前に、先手を打って、2017年1月6日に人民元の切り上げ宣言をした(p89)
・中国大陸の沿岸は見渡す限りの浅瀬で、ここに安価な沈底式機雷を撒かれると、中国は何もできなくなる。機雷には様々な種類があり、日本が保有している。また中国海軍の掃海能力はほぼゼロ(p94,95)
・中国の都市化率は2012年に50%を超えた(1994年は30%未満)、高度経済成長を支えたのは地方からの余剰農民で、「民工」と言われる都市戸籍を持たない2-3億人の彼らであった(p140)
・2015年から外資の中国からの撤退が目立ち始めた、パナソニック・ダイキン・TDK・ソニーなど(p146)
・2005年の為替制度改革後、2013年まで、人民元対米ドルレートは25%上昇した、日本円に対する元高は、4割上昇、これは日経メーカを圧迫した(p147)
・北京市のPM2.5の発生源は、自動車31%、石炭燃焼22%、工業生産18%、建設現場の粉塵14%、となっている。排ガス規制を行っても、全体の3分の1しか効果なし(p169)
・2015年9月、北京で抗日戦争勝利70周年記念パレードを行うため、すべての工場を操業停止とした、さらに、結婚・花火爆竹・運転・仕事・学校・病院・火の使用を禁じた(p170)
・ビットコインの需要が増すときは、相場が上がる、2017年3月8日には、1BTC=14.2万円、一年前には4万円程度(p177)
・日本は1970年代はインフレ率が高めであった、あれは円売り介入で大量の円を発行していた。これを日本がやめるのは、1985年のプラザ合意以降、プラザ合意の目的こそが、このシャドー介入をやめさせることであった(p180)
2017年7月2日作成続きを読む投稿日:2017.07.02
★3.2(3.59) 2017年6月発行。中国の統計が滅茶苦茶なのは想像できるが、今の中国の勢いからすると本当に世界3位と言えるだろうか。上海、北京の高層ビル群、世界の金融機関の上位はいつの間にか中国…が独占、株式会社の時価総額ランキングトップ50で、米国29社、欧州9社、中国8社、日本、香港、台湾、韓国が1社ずつという状況を考えているとやはり中国は日本を抜いているのではと思わざるを得ない。一部には2029年には中国は米国を抜いて世界一の経済大国にと。この本からは中国は危険な国であることが良く分かった。続きを読む
投稿日:2018.08.17
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