コウノドリ(18)
鈴ノ木ユウ(著)
/モーニング
作品情報
妊婦・篠原さんは過去2回、流産していた。今回3度目の妊娠をしたが、嬉しさと不安が入り混じる。鴻鳥たちも、篠原さん夫婦も、今度こそ、赤ちゃんの心拍が確認できるように祈るが――。
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商品情報
- シリーズ
- コウノドリ
- 著者
- 鈴ノ木ユウ
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- モーニング
- 書籍発売日
- 2017.06.23
- Reader Store発売日
- 2017.06.23
- ファイルサイズ
- 72.1MB
- シリーズ情報
- 全32巻
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この作品のレビュー
平均 4.1 (10件のレビュー)
-
テレビドラマ化もされた人気シリーズの第18巻。帯に【2017年10月、ドラマ新シリーズ放送決定‼】の文字が躍っています。ドラマもいい出来でした。原作、映像化作品、どちらから見てもどちらも楽しめる、幸せ…な作品だと思います。
「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。
ゴロー先生が離島での研修から帰り、サオリちゃんはモブキャラからいつの間にか出番も台詞も増え、苗字ももらいました。一人ひとり描き込まれるキャラクターに厚みが増しています。
この巻には「不育症」、「1ヶ月健診」、「稽留流産」、「聴覚障がい」が掲載されています。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「不育症」
不妊治療はよく目にする機会がありますし、知り合いに受けていた人もいます。でも流産で悩まされる「不育症」について詳しく読んだのは初めてです。
3回続けて流産した篠原さん夫妻は思い悩んだ末に不育症の検査を藁をも摑む気持ちで受けてみました。でも、そもそも不育症の検査自体「これが原因だとはっきり断定できることは少ない」なか、やはり原因が見つかりませんでした。落ち込む篠原さん夫妻に対するサクラ先生の声掛けが光ります。
「不育症の治療をした女性が出産できる確率は80%」「原因がわからず治療をしなかった女性が出産できる確率は80%」。原因が見つからなかったということは正常だということ、これまで3回流産が続いたのは20%*20%*20%=0.8%で確率的にはまれによくあること、だから次の妊娠では、やっぱり80%で出産でき、20%で流産する恐れがあること、そんな事実をゴロー先生のように客観的だけれど無味乾燥な確率論ではなく、「正常なんだから不育症の治療をした人と同じ確率で出産できます」と、患者さんの気持ちに配慮して伝えられるサクラ先生の人柄が光ります。
あと、「ヘパリンの在宅自己注射は平成24年に妊娠中の血栓症予防として保険適応になっている」ことをしっかり把握している四宮先生の相変わらずのツンデレっぷりがお見事。
「1ヶ月健診」
新生児科工藤先生vs.小松・山内サオリチーム。
1ヵ月健診、遥か昔の思い出となってしまいました…。
初めての赤ちゃん、初めての育児って「死なないように」ばかり考えていました。病院でいろいろと習いましたしばあちゃんのサポートもありましたが、なんとか死なずに1ヵ月過ごしてくれて、1ヵ月健診で元気です、順調ですと言ってもらえた時は本当にホッとした記憶があります。
ですから、小松さんの啖呵「うちらは不安なお母さんの気持ちに寄り添っているんだ」ってのはそのとおりです。
…ただ、実際の助産師さんはピンキリでしたけどね。
あと小松さんの同僚、助産師の「サオリちゃん」、モブからレギュラーキャラに本格的に昇格です。途中からそんな感じはありましたが、私生活の一場面が描かれてはっきりしました。そう言えば苗字は「山内」でしたっけ。
こういうことがあると、作品世界にキャラクターが息づいているんだなあと実感します。
「稽留流産」
妊娠を周囲に報告するのも、母子手帳をもらうのも、安定期に入ってから、なんて耳にすることがあります。
これは、安定期に入る前に母子手帳をもらいに行って、その後に流産しちゃった早川さんの話。
気持ちは痛いほどわかりますが、お父さんヒデちゃんのセリフが胸に響きました。
母子手帳があれば「いつでも思い出してあげられるじゃんか おれたちの赤ちゃん……」。
「もしものせかい」に行っちゃった人って、「いつものせかい」にいる自分たちにとっては思い出すことしかできなくて。
手元に「もしものせかい」を覗ける窓が残っててよかったねえって、そう思えました。
「聴覚障がい」
ろう者の出産を扱った話。
きっと取材の賜物なのでしょう。聴覚障がいを持つ早見さんの妊娠出産の不安に「産声を聞かせてあげたい」という形で向き合うサクラ先生の気持ちが嬉しい話です。
自分にとっては、手話で「お前使えねえ」が飛び交ってる早見夫妻の、聴覚障害なんて何の壁にもなっていないコミュニケーションに、何て言ったらいいのか、微笑ましさというか、逞しさというか、手話を使っている生活の普通さというか、そんなことを感じてとてもうれしくなりました。
ペルソナのメンバーも、そういうの苦手そうな四宮先生が照れて目を合わせられないのがかわいいですし、加瀬先生は救命に必要なものだけではあっても手話を身に付けいるのがプロの凄みを感じるし、サクラ先生が手話をちょっとだけ練習して使えるようになるラストも含めて、いい漫画だよなあと感じます。
そう言えば、宮部みゆきの「龍は眠る」に、聴覚障害の恋人が相手の背中に指で字を書いてコミュニケーションをとる場面があって印象的でした。もひとつそう言えば積みっぱなしの「聲の形」もちゃんと読まなきゃ…。ついでに、自由になる時間がもっともっと増えたら、手話を習いに行きたいなあ…。続きを読む投稿日:2020.03.14
このレビューはネタバレを含みます
この作品は産後のママたちの不安な気持ちや、試行錯誤しながらの子育ての様子まで本当に良く描けていると思う。
レビューの続きを読む
こういう漫画を性別問わず読む人が増えることで、もっともっと理解が深まるといい。
切実にそう思う…。続きを読む投稿日:2023.02.24
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