蛇行する川のほとり
恩田陸(著)
/集英社文庫
作品情報
演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
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商品情報
- シリーズ
- 蛇行する川のほとり
- 著者
- 恩田陸
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文庫
- 書籍発売日
- 2010.06.30
- Reader Store発売日
- 2017.04.28
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 560ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (167件のレビュー)
-
恩田陸さんという方は本当に幅の広い他種多彩な作品を書いていらっしゃいます。SF、ミステリー、ホラー、ファンタジー、どれも独特な世界観に心魅かれるものがありますが、なんといっても欠かせないのは青春もので…しょうか。私が読書を始めるきっかけとなった「蜜蜂と遠雷」は元より、「夜のピクニック」も強く印象に残る傑作でした。また、男子四人組の寮での数日間を描いた「ネバーランド」も、これぞ青春!という雰囲気感満載でした。そして、この「蛇行する川のほとり」は、今度は女子四人が主人公となる物語。しかも過去の殺人事件の真相に迫るミステリーが織り交ぜられて、少女たちの儚い青春が、とてもノスタルジックな世界観どっぷりな中に展開されていきます。
『ねえ、毬子ちゃん、ちょっといいかな?』先輩の香澄に声をかけられた毬子。野外音楽堂で行われる夏の終わりの演劇祭に向け、大きな舞台背景を描くことになっていた彼女たちは香澄の家で合宿をして作品を仕上げることになりました。『野外音楽堂に自分の絵を置いてみたかった』という毬子。『絵は私の唯一かつささやかな特技』という彼女はもう一人の先輩、芳野とともに夏の合宿へと向かいます。香澄の家があるのは静かな川のほとり、『市の中心部を貫く川の支流は、あの辺りではゆったりとした弧を描いて流れていた』という『子供の頃の記憶が詰め込まれた特別な場所』でもありました。
香澄に誘われて喜ぶ毬子に、『あたし、自分より綺麗な女は好きじゃないもん。あたしが気に食わないのは、あの二人じゃないわ。あの二人があんたを誘ったこと』と嫌う真魚子は合宿に行かないよう毬子を牽制します。そんな真魚子は一方で毬子をダブルデートに誘います。そこで出会った月彦は、毬子に『香澄に近付くのはよせよ。あんたは、あいつに似合わない。あいつにかないっこないよ』とこちらも合宿に行かないよう諭します。
それでも合宿に赴いた毬子。『合宿で、一番のお楽しみは夜のお喋りに決まっている。初日の夜を終わらせてしまうのがもったいなかった。眠ったら、すぐに明日になってしまう…二人と過ごす日が、一日減ってしまうのだ』というくらい楽しい時間を過ごしていくのでした。そんな場に現れた月彦は『何か理由をつけて帰ったほうがいい。あんた、香澄がどんなに怖い女か知らないんだ』とこの場から去るよう主張します。この場は、女子の楽しい合宿なのか、陰謀に満ちた招待なのか、それとも月彦が香澄を独占するための芝居なのか、毬子は思い悩むのでした。
4つの章からなるこの作品。それぞれの章は、毬子、芳野、真魚子、香澄視点に順に切り替わって展開していきます。そして、特に後半に行くにつれ、過去に起こった殺人事件の真相にどんどん迫っていく過程が恩田さんならではの鋭い表現、例えば『本当に信用していなけれは、自分が信用していないことすら相手に教えないし、気づかせもしない。それが「信じていない」ということなのだ』なども織り交ぜられていて、緊迫感のある結末へ向けて、読み応えのあるとても興味深い読書となりました。いつもながらの伏線張り、どんどん物語世界も広がりますが、珍しく最後にはきちんと伏線も回収され、ミステリーとしても納得感のある結末を見せてくれました。
ただ、個人的には、ミステリー云々という部分よりは青春ものとして、女子四人の微妙な関係性が見事に描かれていたのがとても印象に残りました。時代感としては、80年代というより、もっと前、まあ私の中での勝手なイメージに過ぎませんが、70年代の少女たちの青春物語、そんな印象をもちました。
一方で、一点どうしても言わせていただきたいことがあります。『芳野さんは、グラスのビールを一息に飲み干すと、頷いた』という感じで、とにかくバンバン酒を飲む光景が出てきます。あの〜彼女たち一応高校生なんですけど〜。「ネバーランド」もそうでしたが、青春ものでもごく普通にビール、とっても絵になるビールというのもある意味、実に恩田さんの青春ものらしいと思いました。
残念ながら、この作品は恩田さんの数多い作品の中では決して有名な作品ではありませんが、埋もれるにはあまりに惜しい、独特な色彩感がとても印象に残る恩田さんの青春ものの傑作の一つだと思いました。続きを読む投稿日:2020.04.08
少女たちの一人称小説。ミステリでよくある、結末→本当の結末 の構成だった。
お嬢様、美少女、御屋敷での合宿と来ると、百合っぽいのかなと思ったけれど、そんな感じではないかな。
少女の一人称視点+世界観…で、ややべっとり、叙情的な表現が続く。ミステリと言われると微妙。続きを読む投稿日:2023.09.09
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