私たちはどこから来て、どこへ行くのか
作品情報
進む社会の分断。台頭する排外主義とポピュリズム。基本的人権・民主主義という我々の拠って立つ価値が足元から揺らぐ今、不安と絶望を乗り越えて社会を再構築する一歩は、「私たちはどこから来たのか」を知ることから始まる――サブカルチャー、社会問題からアカデミズムまで、戦後日本の変容を鮮やかに描ききった、宮台社会学の精髄。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 私たちはどこから来て、どこへ行くのか
- 著者
- 宮台真司
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎文庫
- 書籍発売日
- 2017.04.11
- Reader Store発売日
- 2017.04.11
- ファイルサイズ
- 1.6MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.3 (5件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
難しいが、宮台氏の著作は正鵠を射ている。いくつか氏の著作は読んだけれども、読むたびにその意を強くする。
レビューの続きを読む
本作においては、モダンからポストモダンへの移ろいの中で、主に日本というドメスティックな社会がどのように変化したかが論ぜられ、またそうした社会への対応策としての処方箋も示される。時には欧米諸国などとの対比も交えながら論を進めるので、難解ではあるが、自身の経験や感覚に照らして首肯できる内容が多い。
宮台氏は本著の中で、「空洞化」というキーワードを繰り返し述べている。特に「システム」を利用して生きていると思っていた「我々(生活世界)」は、いつしかシステムの一部となり、その結果いつしか「我々(生活世界)」は、「システム」の生成物に過ぎない、との主張は鋭い。となると、氏の言に従えば、「スマート化社会」も素直に手放しでは喜べない。「スマート化テクノロジー」がもたらす便益は確かにあろうが、一方で我々はそれによって「選択」権を取り上げられてしまった。つまり、「我々(生活世界)」が「システム」に完全依存する形でしか生きられないことを意味している。よくよく考えると恐ろしい。
ポストモダン状況では、我々は「空洞化」し、全面的にシステムに依拠することとなる。そして、それをもたらしたのは、グローバル化、すなわち「資本の自由移動化」であると指摘する。
これは井沢氏が『日本史真髄』の中でも同様のことを述べていたが、日本人は「みんなで決めたことは正しい」という認識を持っている。本来多くの意見を集めれば、それは相対的に「間違っているはず」である確率は上がるはず(そして、その「間違う」前提を受け入れつつも、社会の多数意見を受け入れるのが民主主義の本義のはず)だが、多くの日本人はそうは考えない。そもそも「誰が優れた人間か」を判別することも難しいが、少なくとも現在日本の中枢にいる者たちの多くが「馬鹿丸出し」ばかりであることは自明であろう。宮台氏は、この日本の全体主義的民主制について、「デタラメな民主制」と称している。民主党政権への交代の期待、歓喜、そして絶望を経て、劣化した55年体制に逆戻りしたような今を見れば、そう言いたくもなる宮台氏の考えは、単なる理解を超えて心に響いてくる。
これまでの東浩紀氏の著作にあった「大きな物語」から「小さな物語」へ、といった主張と合わせて考えてみると、(とりわけ日本では)自立した共同体がなく、さらにはその共同体さえ空洞化し、社会を牽引するのは「我々」ではなく、ましてや「対米自立の道を完全放棄し、もはやその素振りさえ見せない」安倍政権などではあろうはずもなく、「システム」がその役割を担う。しかし、「自立性」を持たない日本人は、それでもなお国家やあるいはそれに準ずる巨大企業(例えば東電)に「依存」するしかない。
宮台氏が本著で語った内容には、いちいち首肯するしかないけれども、その日本で生きている「私」は、そのたびに同時に背筋が寒くなる思いにかられてしまう。宮台氏が示した「処方箋」は、デタラメな日本を正すことのできるベクトルを提示していると思うが、それは社会学的手法であるがゆえに、「私」個人ではどうにもならない諦観をともなってしまう。投稿日:2019.11.15
このレビューはネタバレを含みます
民主主義への盲目的な信仰からの脱出。
レビューの続きを読む
国家という単位からの部分的な離脱。
そのためには、国家以上に大きな社会を作る必要があるということ。
効率化(≒システム化)の結果大量に産まれた、生活世界のどこに…も受け皿のない「剥き出しの個人」。
それは全世界的に同じ傾向にあるが、中でも日本は徹底的に社会的な共通言語が徹底的に破壊されているという現状認識。
異なる思考や視点を「包括」し、複数のレイヤーから物事を見るという「熟議」を体験することによって、個人を新しく「社会化」する必要がある。
(要するにもう一度、罰則や利益ではなく「私たち」の内的な倫理で行動する社会集団を日本の中に作ろうということか)続きを読む投稿日:2020.06.14
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・今なら優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。