この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
-
(2012.09.28読了)(2012.07.27購入)
【9月のテーマ・[平清盛を読む]その④】
出家した西行と自分の出家を重ね合わせながら、西行の足跡をたどった紀行文、と言ったところでしょうか。作…家ですので、西行の気持ちを想像しながら、綴っている部分もあります。西行のことばかりではなく、待賢門院璋子についても多くの紙数を費やしています。
待賢門院と西行・佐藤義清の間に何があったのでしょう。義清はなぜ出家してしまったのでしょう。
平清盛や平氏の一族の話は、あまり出てきません。西行は、出家したので、権力のことなどあまり関心がなかったのでしょう。
瀬戸口さんの訪ね行く先は、京都周辺から、吉野、熊野、四国、白河の関、平泉、鎌倉、など広範囲にわたります。それだけ西行は、広範囲を歩き回ったということです。
23歳で出家し、72歳まで生きたということですので、50年近く自由に動き回れたわけですから、当然ということかもしれません。和歌を詠むためにも必要だったのでしょう。
●身を捨ててこそ(63頁)
鳥羽院に出家のいとま申し侍るとて詠める
惜しむとて惜しまれぬべきこの世かは
身を捨ててこそ身をも助けめ
この歌の調子は高く強く自己主張がはっきりしている。どうせ惜しんでみたところで惜しんではくれないこの世、いつかは死に至るこの世ではないか、それならいっそ我から身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあるのではないだろうか。自分はその道を進んで選ぶのだと、胸を張って昂然と眉をあげている義清の表情が浮かんでくる。
●西行の出家(110頁)
西行は嵯峨に出家後少なくとも二回棲んでいる。
出家後の西行は、特に寺に入るでもなく、自由に東山や北山や嵯峨に仮の庵を結んでは、気ままに好きなところへ出かけていたらしい。
一体、西行は、最初何宗の僧侶を戒師として出家得度したのであろうか。「西行」は号といわれ、また西行房とも呼ばれていたらしい。
●和歌の起原(123頁)
もともと和歌は我国では神への捧げもの、法楽として作ったのが起源であった。仏への法楽としての陀羅尼真言に相当するものだったのである。
●芭蕉と西行(174頁)
芭蕉が西行を、自分の文学の源泉として仰ぎ追慕した情熱は、「笈の小文」の序文に、
「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、その貫通するものは一なり」
としているのにも見られる
●熊野詣(176頁)
「要するに長生きが目的ですよ。熊野は昔から黄泉の国と信じられていました。もがりの大地です。そこへ詣って帰ってくるという行為は、一度死の国へゆき、生きて帰ってくるという意味になるのです。」
●崇徳院(288頁)
崇徳院は在位中に早くも「堀河百首」を召されているし、新院となって間もなく康治二年(1143)頃、新たに十三人の歌詠みに百首を召されている。院を入れて十四人の歌集となっていて、これが崇徳院の召によって編まれた二度目の百首となり、「久安六年御百首」、通称、「久安百首」と言われている。崇徳院はこうした試みを進んで企てられるほど和歌を愛され、自身もまた歌人として優れていた。
●神仏習合(317頁)
奈良時代におこった神仏習合の考え方は、平安時代にはさらに進んで、本地垂迹の考えが行き渡るようになっていた。平安末期には、大日如来は天照大神、阿弥陀如来は八幡神というように、本地である特定の仏や菩薩が、特定の神として垂迹するという思想が行き渡った
☆関連図書(既読)
「清盛」三田誠広著、集英社、2000.12.20
「平清盛福原の夢」高橋昌明著、講談社選書メチエ、2007.11.10
「海国記(上)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
「海国記(下)」服部真澄著、新潮文庫、2008.01.01
「平清盛-「武家の世」を切り開いた政治家-」上杉和彦著、山川出版社、2011.05.20
「平清盛 1」藤本有紀作・青木邦子著、NHK出版、2011.11.25
「平清盛 2」藤本有紀原作・青木邦子著、NHK出版、2012.03.30
「西行」高橋英夫著、岩波新書、1993.04.20
☆瀬戸内晴美さんの本(既読)
「美は乱調にあり」瀬戸内晴美著、角川文庫、1969.08.20
「諧調は偽りなり(上)」瀬戸内晴美著、文芸春秋、1984.03.01
「諧調は偽りなり(下)」瀬戸内晴美著、文芸春秋、1984.03.01
「源氏物語の女性たち」瀬戸内寂聴著、NHKライブラリー、1997.11.20
「いよよ華やぐ」瀬戸内寂聴著、日本経済新聞・朝刊、1997.12.01-1998.12.13
「釈迦と女とこの世の苦」瀬戸内寂聴著、NHK人間講座、2000.04.01
「藤壺」瀬戸内寂聴著、講談社2004.11.24
「日本を、信じる」瀬戸内寂聴・ドナルド・キーン著、中央公論新社、2012.03.11
(2012年10月10日・記)続きを読む投稿日:2012.10.10
読み始めは待賢門院璋子の奔放な性がいやで、何で西行はこの女性に思いを寄せたのかと投げ出しそうになりました。
西行を題材とした小説ですが、所縁の地を訪ねた折は紀行文としても読めます。文章はやや難しいとこ…ろもありますが、著者ご自身が出家されているからでしょうか、西行自身に添うように綴られた文章は、彼の出家の理由や人生、歌についてなるほどと思わせるだけの説得力がありました。
厳しい仏道修行を己に課した出家後の西行の姿に、捨てるのではなく、求めるという強烈な意志が感じられました。
また年を経て読み直してみたい本です。続きを読む投稿日:2016.03.10
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・今なら優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。