ナルニア国物語2 ライオンと魔女と衣装だんす
C・S・ルイス(著)
,土屋京子(訳)
/光文社古典新訳文庫
この作品のレビュー
平均 3.9 (9件のレビュー)
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『ナルニア国物語』の第2巻の物語の構成は、ある意味とても素朴かも知れません。
解説でも触れられていますが、物語の基本型である日常から非日常への「行って、帰ってくる物語」であり、悪を乗り越えて、魔女に…支配された世界の秩序を取り戻し、子どもたちは人間的に成長する。
おそらくこれ以上無いくらい、物語らしい物語だと思うのです。
そんな素朴な物語に味をつけるのが、登場するキャラクターたちと、作者であるC・S・ルイスの語り口であったりする気がします。
ナルニアの国に最初に迷い込んでしまうルーシーの素直な感じであったり、長男のピーターが勇気を示したりと、子どもたちの活躍もさることながら、ナルニア国ならではのファンタジーの世界の住人たちが、個人的になおのこと好きです。
最初にルーシーと出会い、彼女を助けるフォーンのタムナス。魔女に見つからないよう、子どもたちにしゃべらないように促しつつも、自分の作ったダムが褒められるとうれしがるビーバーの夫。
美味しそうな食事を振る舞うビーバーの夫人は、魔女の追っ手が迫ってきてもマイペースで、魔女に囚われた巨人やライオンは、どこかとぼけている。そして、神秘的であり神々しくもある世界の創造主であるアスラン。
物語は基本的に作者(神)の視点で語られるのですが、その文体が時折、物語を語るのではなく、読者に語りかけてくるようになるのも面白い。
衣装だんすに閉じ込められることを、異様に注意したり、またビーバーが子どもたちにダムを褒められたときの表情については『自分の丹精した庭を案内するときや、自分が書いた物語を読み聞かせるときに人がよく顔にうかべる、あの表情だ』と語りかけ、
子どもたちが哀しみにくれる場面があれば、『この本を読んでくれている諸君がこの夜のスーザンやルーシーほどみじめな気もちを味わった経験がないことを祈っているが――』と語りだし、
『一晩じゅう涙がかれるまで泣きあかした経験があるとしたら――最後にはある種の静謐な時間が訪れることを知っているだろうと思う』と語りかける。
この語りは物語の流れを阻害するものではなく、一種のアクセントになっているように感じます。
後、この『ライオンと魔女と衣装だんす』で驚いたのがサンタクロースが、実際に登場人物として現われ、子どもたちに魔女との戦いのためのプレゼントを渡すところもなかなかのインパクト。
完全なる空想の世界の物語と思いきや、急に子どもの頃から身近だった空想が、突然現われるその意外性が、なんとも印象的です。
物語の型や子どもたちのそれぞれの雰囲気は、児童文学らしく素朴でごまかしがありません。一方で突然作者が語りの中から現われたり、あるいはサンタクロースのような子どもの大好きな空想が、物語の中に現われたりと、どこかごった煮のように感じられるところがあります。それななぜなのか。
自分は、作者のC・S・ルイスが読者として想定していた子どもへ、どうやったら物語と物語の声を届けられるか、考えた結果がこの素朴で、一方でごった煮のような物語と語り口だったのでは無いかと思いました。
物語のところどころでキリスト教を思わせるところがあります。解説によると『ナルニア国物語』は、キリスト教弁証家のルイスが、聖書を子ども向けに書き直したにすぎない、という批判もあるらしいです。そうみると物語がところどころ寓話的なのもうなずけます。
でも、その枠を越えて「固い寓話よりも、サンタも魔女もライオンも巨人も、喋るビーバーも出した方が、おもろいやん」というサービス精神のようなものが、物語に根づき、そして時折顔を出しているように思えてきます。
児童文学らしく真っ直ぐな物語ですが、その分小手先の技術では誤魔化しきれない、作者のC・S・ルイスの読者への思いが確かに乗っかってこその、世界的な名作なのだと思います。続きを読む投稿日:2020.06.14
最も有名なライオンと魔女と四人の兄弟姉妹のお話。
映画もよかったけど、やっぱり原作の世界観と情景はすばらしい。
エド奪還やアスラン復活の展開は魅せられるし、何度目を閉じ回想することか。投稿日:2023.11.12
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