モーツァルトを「造った」男─ケッヘルと同時代のウィーン
小宮正安(著)
/講談社現代新書
作品情報
クラシックファンならずとも、モーツァルトの全作品にはK.**とかKV**などという番号が振られており、それをケッヘル番号と称することはご存じでしょう(たとえば交響曲第41番『ジュピター』はK.551)。誰から頼まれたわけでもないのに一作曲家の作品を調べ上げて分類し、番号を振る──。考えてみれば酔狂なことです。ケッヘルとはいったいどのような人物であり、どうしてこんな作業にとりかかったのでしょうか?
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商品情報
- 著者
- 小宮正安
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社現代新書
- 書籍発売日
- 2011.03.20
- Reader Store発売日
- 2017.01.20
- ファイルサイズ
- 9.1MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
-
彼のこの凡庸がなければ、モーツアルトは....。
天才として、残っていたか?
凡庸な自分が励まされているような気がした。投稿日:2011.11.30
このレビューはネタバレを含みます
「…昔はモーツァルトのケッヘル番号を全てそらんじていたものだけど…」
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『ある愛の詩』の主人公ジェニファーが死を目前にしてふと漏らした言葉。「ケッヘル」という名前を初めて知ったのはこのシーンを見たときだ…ったと思う。
3大Bとはよく言われる言葉だけれど、実際クラシックで最も良く売れるのはバッハ、ベートーヴェン、そしてモーツァルトだろう。そしてその作品のタイトルに必ずつけられているK(もしくはKV)で始まる番号、これがケッヘルその人の頭文字である。
彼の人生はきらびやかな歴史を持ったハプスブルグ帝国の最後の輝きと静かなる凋落とともにあり、それを忠実に反映してもいた。メッテルニヒの圧政下でささやかに花開いたビーダーマイヤー文化は「コレクション」という発想を生み出し、「ディレッタント」という人々がこれを担った。ケッヘル本人も本職は教師であったが音楽、博物学をよくし、その趣味と収集癖からの技を生かして膨大な作品録を作り上げたのだった。
面白いのは彼がモーツァルトの作品を整理する際に検索自由の「カード式」のシステムを用いたということ。それまでにも多くの作曲家が目録を作成していたが、ソート/分類に融通が利かないノート式であったため、以降の研究になかなか生かしきれなかったという。さらにケッヘルは晩年になると自らのコレクションの処理、遺産、形見の分配方法にいたるまで自分できっちりと処理をしたというから実に恐れ入る。ビーダーマイヤー式GTDパーソンともいうべき人だったのかもしれない。
学んだことはもうひとつ。ケッヘルがモーツァルトと等しく熱を入れて研究していたバロック期の作曲家フックスである。この人物の代表作は『パルナッソスへの階梯』という対位法の研究書らしいのだけれど、パウル・クレーにも同じタイトルの大作があるのだ。クレーはヴァイオリンの名手でもあり、特に愛したのがモーツァルト、バッハといった古典派の作曲家だった。その人々が手本としたのがこのフックスの対位法なわけだから、ここでやあっと意味がつながったというわけ。
ケッヘルは凡庸な人物としてしか人々は理解しないと著者は言う。それでも彼は一番「よくわかっていた」選ばれた人物なのだと思う。それを示すのがこの作品目録の序文としてよせられた次のことばだ。モーツァルトの音楽をこれ以上的確に描写しているものはない。
「モーツァルトの音楽を通じ、様々なものを伸び伸びと感じ取れる心が人々の内面に生まれ、高められ、寿がれ、最高の輝きを得る。それは人間の本性が変わらぬ限り、昔も、今も、未来も起こり続けることなのだ。」続きを読む投稿日:2014.08.10
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