晩年様式集
大江健三郎(著)
/講談社文庫
作品情報
作家自身を思わせる主人公の長江古義人は、3.11後の動揺が続くなか「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」と題する文章を書きだす。妻、娘、妹の「三人の女たち」からの反論。未曾有の社会的危機と自らの老いへの苦悩。少なくなる時間のなかで次世代に送る謎めいた詩。震災後の厳しい現実から希望を見出す、著者最新にして「最後の小説」。
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商品情報
- シリーズ
- 晩年様式集
- 著者
- 大江健三郎
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2016.11.15
- Reader Store発売日
- 2017.01.13
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- ページ数
- 434ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
-
大江の後期をいくつか読んできて、一番面白かった。変なエロとか暴力(殺人)がないのがいい。『水死』も最後にどちらも唐突に出てくるし。とはいうものの、そこはかとない"不穏"は一番かも。いままで作中で声を上…げられなかった、書かれた女性陣からの反撃や若い世代との考え方の違い。違和のあるままにヘンにまとめようとせず、最後は祈りに似た詩で終わる。いつもは正確な文章がところどころで破綻してたり、ずっと硬い散文を書いてきたのにその最後の作品の締めくくりが詩だったり、、これは新しい境地なのか単なる衰えなのか。興味深い。続きを読む
投稿日:2023.11.10
「赤革のトランク」に入っていた古い手紙類などは
ほとんど資料的価値のないもので
長江古義人は結局
父の不可解な死にまつわる謎を解くことができなかった
そんなわけで、長江には父についての核心的な思い出が…ない
ただし、父に代わって彼の人格形成に深い影響を与えた人物は2人いた
ひとりは松山の高校に入ったとき出会った親友で
のちには義兄ともなった映画監督の塙吾良
もう一人は、戦後「森」に帰ってきた本家筋のギー兄さんである
ところが前作「水死」では
老齢を迎えた長江じしんが、おそらくは人生初といっていいだろう
父親としての試練を前に立ちすくむこととなった
それは、長男アカリの善意による「イタズラ書き」に端を発した
父への反抗と、家庭内不和である
劇団関係の仕事に乗じ、四国の森にアカリとの共同生活を営むうち
問題はなんとなくウヤムヤになってしまったが
きちんとした結論があって落ち着いたわけではなかった
女たちのあいだにくすぶったそのわだかまりが
近親者のみに配布するプライベートな雑誌づくりというアイデアを
思い立たせたのだろう
それはまず、小説の題材として扱われてきた家族たちからの
異議申し立てを形にするという意図ではじまる
アメリカに拠点を置くギー・ジュニアや
塙吾良の若い「女友達」だったシマ浦さんも加えて
雑誌は号数を重ねていくが
それにつれ読者の前で明らかになっていくのは
それぞれに不可解な死に方をした塙吾良とギー兄さんのことが
実はまったくわかっていないまま
根拠の乏しい思い込みで納得しようとする長江の姿だった
それはひょっとすると
読者へのわかりやすさを言い訳に
…それで必ずしも読者の理解を得られたとは言い切れないにせよ…
事実を簡略化、あるいは
ねじ曲げてきた姿勢と通じる安易さそのものかもしれないし
もっと言えば自分自身の核心から目を背けている証拠かもしれなかった続きを読む投稿日:2019.08.04
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