日本につけるクスリ
安部敏樹(著)
,竹中平蔵(著)
/ディスカヴァー・トゥエンティワン
作品情報
「政治と経済を知り尽くす男・竹中平蔵」と「社会問題に日本一詳しい男・リディラバ代表 安部敏樹」が、日本はどう変わるべきか、またどうしたら変えられるのかを徹底討論! 「そもそも、税ってなんのために生まれたんだっけ?」という「そもそも論」まで遡り、問題の本質を見抜く視点を提示します。 ニュースを見ても、全体像がつかめずに歯がゆい思いをしている人。 政策から「空気」まで、いまの日本に対して異を唱えたい人。 未来に漠然とした不安を抱いている人。そんな人たちに、ぜひお読み頂きたい一冊です。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 日本につけるクスリ
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 書籍発売日
- 2016.12.15
- Reader Store発売日
- 2016.12.21
- ファイルサイズ
- 2.3MB
- ページ数
- 256ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (12件のレビュー)
-
対談本としても良書です。内容はやんちゃな安部氏を竹中氏がやさしく導くといった趣向です。
劣化が止まらない日本につけるクスリはあるのか?についてお互いの専門分野の知識を駆使して議論する様は知的興味を刺激…します。
本書は2016年に出版されたことを考えれば、かなり先見の明があったのがわかります。
例えば、官僚たちを終身雇用にしたら組織の利益を最大化するインセンティブが働く(P91)、政治家にとって補助金=権力(票)(P161)、「この国には法の支配なんかない、特定の人の裁量ですべてが決まってしまう」(P221)、「政府が国民から信頼されることが最も重要」(P224)、「思考停止フォーマットには2つ、とにかく反対することと永遠の真理を使うこと」(P229)など現政権に耳の痛い話がわんさかでてきます。
最後に、竹中氏が政策NPO(政策や政治家を評価し国民への情報公開を行う)を一緒に進めようという提案を安部氏が断ったのは残念で情けない。続きを読む投稿日:2020.03.03
若き実業家 安部敏樹氏と竹中平蔵氏との対談をまとめたもの。知識が豊富で経験豊かな竹中氏に安部氏が挑んでいる形だが、知識、経験が不十分ながらもがむしゃらに突き進む安部氏の姿勢には、好感が持てる。議論はし…っかりとかみ合っており、面白く読めた。やはり竹中氏は、すごい。
「国民皆年金制度ができた1961年当時の日本人の平均寿命は、66歳。だから、「平均寿命より長生きするリスク」を背負った65歳から年金を支給するようになりました。ところが現在、男性の平均寿命は81歳、女性は87歳に達しています。女性でいえば、年金支給開始年齢から平均寿命まで22年もあるんですよ。制度ができたときと同じ65歳に支給して、財源が足りるわけがありません」N549
「(年金は破綻しない)なぜなら、年金は国の制度であり、税金を投入できるから」N572
「(若者について)何も問題がないと思っているのであれば行動する必要はありません。選挙にも行かずのんきに寝ていればいいんです。ところが一方で、若者は「将来が見えない、不安だ、老人はズルい」と文句は言う。それはつまり、「問題がある」と思っているということでしょう。問題があると思っているのに、なぜ何もしないのですか?」N761
「「well-informed public(かしこい世論)」はただ座って待っているだけで実現できるものではありません。自分たちで勉強してつくりあげていくものなんです。だいたい不安を口にする人は「いまの社会は先が見えない」なんて嘆きますが、いままで先の見えていた時代がありましたか?」先が見えないからこそ、自分たちでつくり上げてきたんでしょう。そもそも「強者の理論」というけれど、強者・弱者という対立概念が昭和のインテリ風で古臭いなあ」N769
「社会や政治に対するリテラシーが低すぎる。フィードバックが遅いのは、民主主義の基本です。「自分たちで決めた」という納得感を得るために、たとえスピードが遅くなってもみんなで意思決定するのが民主主義なんですから。いろいろな考えの人に支持されたいろいろな人が喧々諤々と意見を交わして政策に落とし込む。このプロセスを考えたら、フィードバックが遅いのは仕方ないと思いませんか?それで余りあるほどの恩恵があると思いませんか」N819
「システムが変わらないと選挙に行かないというのであれば勉強不足か、まともに物事を考えられないと言われてもしょうがないんじゃないでしょうか?」N854
「(合意形成の重要性)僕たちは震災の復興支援で石巻に入り込んでいましたが、あそこは方向性が定まらないまま復興が進んでしまった。被災後新しい家を建てる時、元々住んでいた場所や愛着のある商店街の近くを選ぶ人もいれば、便利さからイオンのそばを選ぶ人もいたりと、全体として動きがちぐはぐだったんです。一方、女川は非常に先進的で、合意形成を民間に自発的に行わせた結果、すでに今後20~30年間を見通した復興計画ができあがり、コンセプトも定まっています。行政も民間の意見をベースに政策をどんどん作っているし、うまく連携できている。復興計画としてはまさに理想的ですね」N1084
「首長は、基本的に地方分権に反対なんですよ。地方分権が進めば、自由が与えられる反面、運営がうまくいかなかったときの責任も持たされるから。できるだけ国に頼って、楽をしていたいんです」N1109
「なぜシャッター通りができるかというと、シャッターを下ろした人が、そこから立ち退かないからです(竹中)。ほんと、そうなんですよ。商店街の店はだいたい2階が自宅なんです。家賃がかからない分住人も金銭的にそこまで困っていませんから、知らない人に1階を貸すというリスクをあえてとろうとしません」N1121
「アクティブラーニングをさせるためには、ある程度の知識や教養が必要になる。たとえば、ハーバード・ケネディ・スクールは2年コースで、1年目は統計学や経済学、法律学といった「知識」の勉強をひたすらさせます。そうしてひととおり知識を身に着けた2年目で、初めてアクティブラーニングに入る。学ぶ側に基本の知識がないとアクティブラーニングは機能しないという考え方ですね」N1470
「(安部)僕は、まったく反対の「遅延評価学習法」もアリだと思います。つまり、「興味があることを調べる中で、その知識が必要になったら学ぶ」というイシュードリブンのスタイルです。このやり方だと、自分が何を知るべきなのか、いかに物事をわかっていないか理解して勉強できるんですよね。(慶応SFCは、そのスタイルを採用している(竹中))」N1473
「(教育界の縦割体質(大学の教授等))学問の壁を超えるのは禁忌で、「餅は餅屋に任せろ」って雰囲気がある、自分の城を守りたいのかもしれないけど、それじゃあイシュードリブンの本質的な議論が進まないんです」N1491
「国鉄の民営化がいい例です。あのとき、じつは交通経済論の研究者の多くは民営化に反対していたんですよ。鉄道はネットワークの経済性があるから全部つながっていないと意味がない、放っておいても独占企業になるからそのまま国営でやらせるべきだ、と言っていた。でも、民営化してよかったのは明らかで、JR東海とJR東日本が競うからこそいいサービスが生まれているわけですよね。専門家は、ひとつの側面からしか物事を考えられないから間違えるものなんです」N1496
「(事前に完璧な予想はできない)事前にわからないこそ「生み出さないと学べない」んです。だから、いまの学問の主流はは、どの分野でも「すでに完成されたものを分解すること」から「つくりながら学んでいくこと」に移りつつある」N1530
「成熟したこれからの社会では、アカデミックな視点や思想が欠けたビジネスは、早晩行き詰ってしまうと思いますよ」N1615
「(営利と非営利の違い)どちらも収益をあげてよいが、非営利の場合は構成員(株主など)に利益を配分しない」N1621
「(チャーチル)成長はすべての矛盾を覆い隠す」N1685
「(他人と過去は変えられない。でも、自分と未来は変えられる)私は、「これから日本はどうなるんですか?」と若者に聞かれたときは、「自分と未来は変えられるんだから、自分でつくっていったらどうですか」と答えます」N1720
「何もしたくない人はしなくていい。なぜなら、「ラクに生きて貧しくなる自由」はあるからだ。その代わり、がんばって金持ちになった人に絶対に文句を言うな。「がんばって豊かになる自由」もあるんだから」N1731
「一人ひとりが頑張らないと生活がよくならないなんて、当たり前の話でしょう」N1767
「(パスカル)人間は自分の理解できないものは否定したがる」N1938
「島国はなかなか変われない代わりに、変わるときには腹をくくってガラリと変わるんですよ。サッチャーが「イギリス病」を吹き飛ばしたようにね。明治維新も戦後の民主化も、世界に冠たるショック療法でしょ?日本はまたそうなるんじゃないかと、直感的に感じています」N2325
「ライブドアを粉飾と断じてホリエモンを塀の向こうに入れるのであれば、東芝も同じように法に基づいて裁かなきゃダメでしょう。粉飾決算の規模だって、ケタ違いにでかいんだから。世の中はフェアじゃない、チャレンジしても正当に評価されないという不信感は、もうすでに生まれてしまっていますよ」N2545
「(思考停止フォーマット)まず「とにかく反対すること」。慎重に物事を進めれば「進みが遅い」、スピーディに進めると「拙速だ」と攻撃すればいいんです。簡単でしょう? もうひとつが「永遠の真理を使うこと」。これも簡単で、「もっと国民の声を聞くべきだ」「生活者の立場に立たなければならない」といった、正しすぎて反論しようがない言葉で批判すればいいんです。「永遠の真理」を使った時点でまったく建設的な議論にはならないけれど、ただ反対するだけなら十分なんです。「ラベリングすること」「反対すること」「永遠の真理を使うこと」。長年批判されているうちに、「思考停止フォーマット」のグルーピングまで編み出せた」N2644
「日本人は新しいことを始めるとき、必ず「問題が起こらないようにするためにはどうするか」と議論します。「安心」を得るためですね。でも、どんなにがんばって防いでも、問題は起きる。だから「問題が起きたときにどう解決するか」が本来話し合うテーマです」N2654
「(自分の見たいものしか見えない)「目先の快適さに縛られる既得権益者」と「選挙に行かない若い世代」、そして「次の世代にツケを回そうとする高齢者」はみんな似ているんですよね」N2733続きを読む投稿日:2022.06.12
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。