企業価値を創造する会計指標入門
大津広一(著)
/ダイヤモンド社
作品情報
企業が中長期の目標として会計指標を掲げるのは、その実現によって企業価値を向上するためである。では、企業はなぜその指標を選んだのか、その目標水準は株主や債権者が満足できるものか、企業はどのような施策で目標を達成しようとしているのか、等に目を向けることで、会計サイドから企業の実態をつかむことができる。本書ではその視点から、ROE、ROIC、EBITDAマージン、フリー・キャッシュフロー、EPS成長率など、10の指標を詳述する。
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商品情報
- シリーズ
- 企業価値を創造する会計指標入門
- 著者
- 大津広一
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 書籍発売日
- 2005.09.29
- Reader Store発売日
- 2016.12.05
- ファイルサイズ
- 24.2MB
- ページ数
- 376ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (11件のレビュー)
-
計算方法としては知っている(中にはよくわかっていなかったものもあるが)会計指標の奥深い意味を教えてくれる良書。
ROEだとかROA、フリーキャッシュフローが何を意味していて、その値が高いことが企業に…とって重要だということはなんとなくは理解していた。しかし、そのちょっとした差が意味するメッセージ、特に資金調達元に対するメッセージについては全く考えたこともなかった。
実際には、まだきちんとその差やその指標を使うべき企業、使うべきでない企業を理解しきれていない気はするが、とにかく各々の指標に込められた意味があることはよくわかった。だいたい似たような計算方法だからどれでも似たような評価でしょ、というのでは大雑把すぎるということだ。
まあ、ただそんなに厳密に意味を追い求めてもというところはあるにはあるけど。続きを読む投稿日:2012.01.13
『#企業価値を創造する会計指標入門』
ほぼ日書評 Day634
現在、勤め先の研修副読本テキストとして指定している『会計×戦略思考』(ほぼ日では未アップ)の著者、大津広一氏の2005年の著書である…。
タイトルには「入門」とあるが、なかなかに骨のある本。
指標ごとに、それを重視している企業をケースとして取り上げ解説する。
2005年刊行当時の評価を、今になって振り返ると、「実態」はどうで、それをどのように見せようとしていたのかの比較ができて面白い。さらに、ケースとして取り上げられる事例への本著内における著者の評価が、後日談を知っている我々から見ると、かなり的確なことに驚かされる。
ROICの項では、ゴーン氏が現役で、世間では日産リバイバルプラン→バリューアップの流れのが高く評価されていた、この時代において、著者はROIC 20%という(トヨタやホンダよりも優位な)数字を叩き出すために、あえて手元現金の抑制を計算式から除外してみたり、高配当で株主の離脱を抑えたり等と、やや無理をしているのでは?というニュアンスを言外に、ただしかなり強めに匂わせている。
営業利益においては、シャープがトップ、"ソニーショック"とも呼ばれた同社は、なんとサンヨーよりも下、かろうじてパイオニアを上回る地位に。時代の移ろいを感じるが、それでも著者がソニーの戦略およひ目標として定める経営指標に一定の価値を認めている点が興味深い。
フリーキャッシュフローの章では、Amazon(まだ単なるEC小売業だったころ)が取り上げられ、利益率よりもFCFを重視するベゾスの考えがポジティブに評価される。この時点で Amazonはまだ2億ドルの債務超過状態であったが、市場はその成長を見込み、180億ドルを超える時価総額という評価を与えている。その後のAmazonの成長はご存知の通り(現在の時価総額は、ほぼ1兆ドル)。
EVAの説明はわかりやすい。この界隈では「エバ(エヴァ)」と言ってもエヴァンゲリオンではないので要注意。
終盤では、こんな手厳しい指摘もなされる。重要と思われるので、やや長くなるが引用する。
(以下、引用)
柿は、2005年3月期に、ある上場企業が決算短信上に記載した内容を一字一句変えずに掲載したものである。
>>「目標とする経営指標」
当社は、経営日標には経営指標は重要であると認識しており、具体的数値も参考にすることは無論ですが、企業価値をトータルで増大させ、かつ持続することが大切であると考えております。また、当社グループは単体業績を大きく上回る運結業績であり、現状では安定性かつ継続性のある目標数値として採用できる適切な数値、及び会社が目標とする経営指標につきましては特に限定せず、各利益項目の安定確保を最重視した経営を行うことで諸経営指標の向上をめざしてまいります。
ここからどのような経営のメッセージが読み取れるであろうか。少なくとも、著者には何も読み取れない。自社の目指すべき道について言葉を濁したいときに出てくる「企業価値の云々」の典型に思えてならない。経営指標が大事だと考えるのであれば、なぜそれを設定しないのか。企業価値を増大させ、持続させることが大切だと思うのであれば、なぜ具体的な道筋を示さないのか。駆け出しのベンチャー企業であれば分からなくもないが、当社は第72期決算を迎えた、歴史のある企業である。自社の何が重要であるかを語れない企業が、果たしてステークホルダーの信頼を得ることができるのだろうか。
https://amzn.to/3JXTCa3続きを読む投稿日:2023.02.12
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