異文化理解
青木保(著)
/岩波新書
この作品のレビュー
平均 3.7 (22件のレビュー)
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私の周りには仕事柄、沢山の外国人がおり、最近はコロナ禍も明け海外からの旅行客が原宿や秋葉原にひしめいてる。顔だけ見ていると日本人だと思っていても、近付いて連れ立った人との会話を聴いた時に中国人や韓国人…と気付く事も多々ある。偶々今日は表参道辺りを歩いていたのだが、少し前から歩いてきた女性2人の会話が如何にも英語か何かに聞こえたので、てっきり海外の人かと思ったら、すれ違いざまに聞こえた会話は確かに日本語だった。私が歳をとったせいだからそう思うのか、日本語にしてはかなり発音も聞こえてくるトーンも崩れて、耳慣れない音に聞こえてしまった。日本語の崩壊が怖い。
本書を読む以前から、日本と異なる文化への理解はある程度ある方だと自分では思っていた。若い頃からアジアを始めアメリカやヨーロッパ、中国など沢山の国を訪れ異なる言葉にも風景にも文化にも宗教に慣れてきていた気がするが、やはりどこか理解に苦しむ行動や行為にぶつかり、時にはあからさまに嫌な顔をしてしまった事もあった。それは今でも変わらない。
文化とはそもそも何か。これまで私の捉え方は、表面に現れる行動、特に宗教的な側面が強く出る祈りや食生活によく現れている部分ばかりを見ていた。当然言葉も違うから、意思の疎通が十分できていたかは判らない部分が多いが、食事をする際には作法から料理のチョイスまで気を遣った事は記憶に残る。仕事の付き合いになってくると、頻繁に感じるのは考え方の違いだ。指示する側になると当然相手が理解できる内容に落とし込まなければ、納得感ない仕事となり成果に如実に現れてしまう。だから極力相手の文化や国柄、考え方を汲んでおこうと努力するが、結局先ほどの言葉の壁もあって有耶無耶のうちに進めてしまう。
考え方の違いも文化的なものが大きく影響すると思うが、文化はどの様に形成されるのか。この疑問に答えるヒントの一つに本書はなり得ると感じる。特にグローバリゼーションという言葉と共に異文化交流が進められ、インターネットをはじめとした通信技術が加速度的に進む今日に至っては、ニュース映像よりも早く動画サイトで異国文化を入手できてしまう。そこに海外からの人流も加わって、映像や書籍の様な間接的交流に直接交流までもが加わり、さまざまな自分と異なる存在を感じる事が容易になった。いや、特に情報を取りに行こうと意識せずに勝手に感覚に触れてくる様になった。
本書はそうした状態から、改めて自国の文化に戻る流れについても触れるが、アメリカのトランプに代表される様な極端なナショナリズムの流れや、ロシアによるウクライナ侵攻を早くも予言する様な文面も多く出てくるので、2024年になった今からすると2000年前後に描かれた本書は異文化理解を掲げながらも、筆者が完全な理解が難しいことを当初より示唆していた様にも感じる。サミュエル・ハンチントンの文明の衝突が描いた未来に賛同するしないに関わらず、結局は似た様な状況に陥っていく現在。
本書を読んで文化は水彩絵の具の色の様なものだと感じた。異なる緑、赤、青がそれが明確な違いだと解りつつも、画用紙に垂らした絵の具が縁で混じり合い紫やオレンジ、黄色など別の色にグラデーションしていく。青の隣には紫があり似た様な色合いを見せるが画用紙の反対側にはまだ塗られていない白や別の色が存在する。画用紙の上に水でも垂らそうものなら近くに塗った色同士が混ざり合い新しい色合いを描きだしていく。日本が中国から漢字や儒教を取り入れた様に、仏教が元を辿ればインドにあった様に、まるで絵の具の色の様に他の色を変えていく姿を思い浮かべる。高度に情報が行き交い流通し始めた現在、そして将来の世界が、全ての色が混ざった状態、何もない黒に塗りつぶされた様な画用紙にならない事を祈りたい。続きを読む投稿日:2024.03.10
高校生?大学生?くらいのときに買ってずっと読んでなかった、新書って慣れてないと読みづらいしめちゃくちゃ眠くなる…ので時間かかった…泣
筆者がタイの僧侶になった話と、あとがきの味の素の話が面白かった。こ…ういう形でもっと身近に異文化理解が進められるきっかけがあれば楽しそうだなー。数人の話だけ聞いてそれが文化だ!と思い込んでしまうこともそれはそれで怖いけど
正しい異文化理解とは一体なんなのだろう…続きを読む投稿日:2024.02.15
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