さよなら、サイキック 1.恋と重力のロンド
清野静(著者)
,あすぱら(イラスト)
/角川スニーカー文庫
作品情報
その能力(チカラ)は、戦うためのもの――? この炎は、今宵、心の闇を照らすために。この魔力は、あの人と空を舞う体力を得るために。この重力は、あの娘をこの腕にしっかりと抱き留めるために――。幼少期に重力を操る能力に目覚めるも、怠惰で平凡な高校生に落ち着いた獅堂(しどう)ログ。ある冬の夜彼は、“最後の魔女”という運命を背負った少女・星降(ほしふり)ロンドと出会い惹かれ合う。その年の夏。クラス一の美少女・木佐谷樹軍乃(きさやぎ ぐんの)に強引に誘われ、共に郊外へ向かったログは、「鉄塔に登った距離に比例してスカートの裾を持ち上げる権利」に釣られ、頂上の絶縁碍子(ぜつえんがいし)を目指すことに。はたして、軍乃の強引なアプローチの真意は・・・・・・!?「失うのは簡単よ。恋をすると能力(チカラ)は消えるの」
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商品情報
- シリーズ
- さよなら、サイキック
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川スニーカー文庫
- 書籍発売日
- 2016.09.01
- Reader Store発売日
- 2016.10.01
- ファイルサイズ
- 4.1MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.5 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
ややとっちらかった出だしながら、一見するとテンプレな設定を、奇抜なシチュエーションに落とし込むことによって斬新に見せているのは凄い。特にこの序盤の、絶縁碍子の写真を撮るために、クラス一の美少女の甘言に惑わされて鉄塔を登るというシチュエーションはシーンとして非常に印象深く、ラノベのツカミとしてはバッチリである。その後のヒロインが超能力者、実は主人公も超能力者、その後に現れる第二のヒロインは魔女……という風に設定を贅沢に盛りながら、読み手の興味をバトンリレーのように繋げていく手法は鮮やかの一語。ある程度超能力を使い倒して、能力の使いみちを知っているというのはとても現代的で良い。バトル成分は少なく異能バトルというよりは異能ラブコメといった有様だが、そこはかなり好みが分かれそうではある。ラブコメとしては、難しいダブルヒロインの描き分けや魅力の配分もバランスが良く成功しているのだが、バトル要素の薄さはわりと致命的で、これなら無い方がいいと言う人もいれば、逆にもっと欲しがる人もいるだろう。現状では蛇足でしか無く、バトル要素の薄さの割には能力がオーバースペック過ぎる。しかしそれらの欠点はクライマックスにヒロインの口から発される「恋をすると能力が消える」にきれいに繋がって収束するため、あながち駄目とも言い切れない。持て余していた力が普通になることで消えるというのは王道であり、またそれが前向きに描かれているのは素晴らしく、ラブコメの息吹を感じさせる非常に余韻を感じさせる終わり方となっているのだ。ただ、長々と引っ張ったネタ(途中のヒロインのろうそくの賭けなど)のわりにはやや肩透かしな感じも受け、たくさんの謎を抱えて走ったわりには期待はずれな感じも否めない。また作中で危機となるのがグラツィアーナぐらいでなので話としては盛り上がりに欠ける。それも内輪揉め臭く、最初のヒロインとの関わりが薄いのも難点。総じてラブコメとしては成功しているものの、それ以外の要素が設定といまいち噛み合っておらず、ラブコメ以外を期待して読んだら騙された気になるラノベである。
レビューの続きを読む投稿日:2019.05.28
表紙とタイトル買い。
ライトノベルだが、最近のラノベっぽいクセはない。
魔女の少女と異能持ちの少年が出会って仲良く穏やかに暮らそうとするが、魔女の血や異能がそうはさせてくれない、というお話。
でも異…能バトルのストーリーではなくて、何か特別凝った設定があったりイベントが起こるわけでもない。
人物描写というか、登場人物たちのコミュニケーションに主題が置かれている。
でも、これくらいでいい。
こういうフツーのラブコメが読みたかった。
最近のラノベは奇をてらいすぎ、奇抜なことしすぎ。
登場人物増やしすぎて描写しきれなかったり、設定追加しすぎて風呂敷たためなかったり。
そういうのはちょっとしたスパイスでいい。
あまり前面に出しすぎると途端に中二臭くなって、もうこの年では読めない。
私にとってはSFも同じ感じかもしれない。
登場人物も等身大に描かれていて自然。
一応ラノベだから、「キャラ」としての色付けはそりゃああるけれど。
彼らの苦悩とかやりたいことも見えてきて、愛着がわいてくる。
単純に萌属性を付加しまくれば1巻でキャラクターに惚れる人もいるけれど、そうじゃないんだよ。
「恋をすると能力は消えるの」
このセリフどきっとしたなぁ。
思春期限定、みたいなの好きだ。
2巻がもう出ているが、「○○になる!」とか「○○を倒す!」みたいなストーリーじゃない分、この先どんな話にでもなると思う。
きっとこの作品の続きを書くのは自由で楽しいと思う。続きを読む投稿日:2020.10.07
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