最下層女子校生~無関心社会の罪~(小学館新書)
橘ジュン(著)
/小学館新書
作品情報
闇を彷徨い苦悶する女子たちの実像に迫る!
10代20代の若年女子を巡る状況は厳しいものがある。
精神的、肉体的虐待に父親による性的虐待。そして、一見すると何の問題があるようにも見えない女子が過剰な期待をかけられて「教育虐待」に悩んでいる。
さらには、貧困や学校でのイジメなどで苦しみ、自殺などの自傷行為を繰り返し、自己承認欲求のために、また食べるためにカラダを売っているという現実がある。
相談したくとも相談できない彼女らは、既存の制度からもこぼれ落ちてしまい、社会の統計からも消されて学校からも社会からも「なかったもの」として扱われ、現在も生き地獄のような日々を過ごしている。
自己肯定感が少なく、「自分なんて産まれてこなければ良かった」「自分なんてどうなってもいい」と自信を失っている。その一方で被害者でありながら、「やめてと言えない自分が悪い」と思い込み、学校や職場で必死に「普通の子」を演じ続けている。
そんな彼女らの本音に迫る迫真のドキュメント。見えざる現代日本の残酷な現実を暴く。
人気漫画家・沖田×華との特別対談も敢行。彼女の赤裸々な告白は息を飲むような重みがある。
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商品情報
- 著者
- 橘ジュン
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- 小学館新書
- 書籍発売日
- 2016.08.01
- Reader Store発売日
- 2016.08.05
- ファイルサイズ
- 2MB
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この作品のレビュー
平均 2.8 (5件のレビュー)
-
少し飾った言い方になりますが、今の日本では何が良いことか、悪いことかという倫理感や、
こうすることが生きる上で最も大切なことだという行動規範や道徳がありません。
そして、倫理感や行動規範、道徳を、誰か…らも教わることも、ありません。
個人がバラバラのまま、生きています。
結果、必然的に、利己的かつ快楽だけを目的として生きる人たちが、かなりの数、出現しています。
「そういう者」たちが、どんどん増殖する構造が、日本社会にあり、それが最近鮮明になったと思います。
そういう者たちが、犯罪を起こすまで(子供の虐待を含めて)、
今の日本社会は、「そういう者」たちを野放しにしています。
この点で、日本社会は、とことん劣化していると思います。
「この問題」に対して、対策や解決策を打ち出す上で、
私たちの社会は、圧倒的に人も資源そして社会的関心も圧倒的に不足しています。
親が自分の娘を犯して妊娠させる、1か月間、子供に何も食べさせない、
熱湯を子供にぶっかけて、それを「しつけ」という。子供に教育を一切与えず、
20歳過ぎても、自分の名前や住所さえ書くことができない人がいる。
親がお腹が空いたからと言って、子供に万引きしてこいと強制する、
お前なんか産まなきゃよかったと言う。どれも、犯罪です。
耳を疑うようなことばかりですが、これは、このルポタージュを読む限り、
現在進行形で日本で発生している事実です。
この本で紹介されている女性達の親には、
もちろん他人を思いやるという感情はありません。
あるのは、徹底的な利己的で快楽的かつ刹那、
そして弱者をターゲットとして、虐待やいじめることで、
「ちょっとすっきりする」感覚だけです。
これが、彼らの「精神安定剤」かもしれません。
病的と言っていいと思います。
そういう親たちを容赦なく罰し、
そういう親たちの元で育った子たちを保護をすることは、
誰でも思いつく「対策」ですが、現状、その対策も講じられていません。
こういうのを絶望的な状況と言うのでしょう。
言葉になりません。続きを読む投稿日:2017.12.31
親からの精神的・性的虐待や貧困、イジメなどを受けた少女、女性の「最下層」の境遇を紹介する本。
副題の「無関心社会の罪」が目に止まった。私は著者のいう「無関心な人間」の一人として、こうした現実があるこ…とを知っておくぐらいはと、本書のようなルポ、ノンフィクションを定期的に読むようにしている。
その上で批判を承知で書くが、残念ながら本書では私の「無関心」はあまり改善されなかった。
紹介される事例がどれも特殊なこともあり、どこまでがその人の人生でどこからが社会問題なのかが分からない感覚というか、有り体に言えば「ふーん、こんなに大変な目に遭っている人がいるのか」という冷めた感想を持ってしまった。
公的扶助は確かに不十分だとは思うが、こんな社会間違っている、といった考えに至る訳でももなく、私自身のアンテナの弱さにがっかりするばかり。
あえて書評として書くならば、私のような読者をターゲットとしてその「無関心」を打ち破るための本としては構成・内容共に淡白が過ぎたのではないか、というくらいか。
とはいえ私とてセンセーショナルさを求めてこういう本を手に取るほど無関心ではないつもりなのだが…何故か没入できなかった。色々な意味でモヤモヤの残る本。続きを読む投稿日:2023.03.22
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