- 最新巻
図書館の魔女 第四巻
高田大介(著)
/講談社文庫
作品情報
手を汚さずして海峡に覇権を及ぼす、ニザマの宦官宰相ミツクビの策謀に対し、マツリカは三国和睦会議の実現に動く。列座したのは、宦官宰相の専横に甘んじてきたニザマ帝、アルデシュ、一ノ谷の代表団。和議は成るのか。そして、マツリカの左手を縛めた傀儡師の行方は?超大作完結編。第45回メフィスト賞受賞作。
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商品情報
- シリーズ
- 図書館の魔女 烏の伝言
- 著者
- 高田大介
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2016.05.13
- Reader Store発売日
- 2016.06.10
- ファイルサイズ
- 3.5MB
- ページ数
- 656ページ
- シリーズ情報
- 既刊4巻
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この作品のレビュー
平均 4.5 (103件のレビュー)
-
「キリヒトにはマツリカの脳髄の中に、取るに足りない断片を引き寄せて一つの物語に組み立てていく強力な磁力の力の中心とでも言ったものがあるように思える。マツリカの頭の中に吹き寄せられた知識の断片は、その強…力な磁場の中で整序され、それぞれ所を得て配列され、有機的に組織づけられてさらに巨大な知恵に織り上げられてゆく。
それはまさしく図書館の似姿だった。マツリカの中に図書館がある。いやマツリカこそがひとつの図書館なのだ。」
最終巻は、全4巻の中で最大長編なのだが、大どんでん返しもなく、これまでの展開を粛々と畳んで行くのに過ぎないように、私には感じられた。
確かに幾つか明らかになったことはあるけれども、なくても物語全体には大きな影響はない。1番描きたかったことは、既に描き切れていたからである。それが、冒頭抜き書きしたキリヒトのマツリカに対する評価である。
一見すると、ここで描かれているマツリカは現代のAIのようでもある。でもそれは「人間の姿をしたAI」ではない。「AIの能力を持った人間」として描かれる。それは同時に、言語学者としての著者が「現代の図書館を最大限活用したならば、貴方もマツリカになれるよ」というメッセージなのだろう。
そのためには、人間としてのマツリカを、そしてそれを補佐する「高い塔=一ノ谷の図書館」のスタッフたちの人間性を描かなければならなかった。そのための物語だったのだろうけど、私が編集者ならば枚数を半分にしろと言ったと思う。エンタメとしてのスピード感がなかったからである。綿密に作り上げられた世界観を持った上橋菜穂子のデビュー作「精霊の木」は、編集者により3/4に削られた。
更には、ファンタジーとしては世界観が未だ不十分。現代図書館の知識を十二分に応用したいという気持ちはわかるが、産業革命が未だ達成されていないのに、冒頭抜き書きにあるように、キリヒトが19世紀に確立した「磁力理論」に精通しているという設定はなんなの?とは思う。一事が万事。方々に出てくる難しい言葉は、「検索」すれば出てくるので、私は驚かない。著者が図書館の中の「(知識を)その強力な磁場の中で整序され、それぞれ所を得て配列され、有機的に組織づけられてさらに巨大な」物語を作ったのはわかるにしても、それをパラレルワールドとして成立させるだけの説得性が、未だこれほどの長編の中に感じられない。全く違う歴史過程で作られた世界ならば、そこまでは言わないけれども、この世界はあまりにも私たちの世界と似過ぎているので、大変気になるのである。
‥‥厳しいことを書いてしまったが、
冒頭抜き書した著者の「メッセージ」には、大いに共感する。
主人公を、「言葉を発することはできないけれども、豊かな言葉を持ち」「その言葉を武器にして世界と渡り合う」「10代の少女」に設定し、それを補佐する者も、「10代の少年」に設定したのも、大きなメッセージを持っていて共感する。
あえて言えば、「究極の問い」は、こうだったのかもしれない。
図書館の中の「言葉」によって
未来をつくることはできるのか。
とりあえず、この物語の中では出来た。
そこは良かったと思う。続きを読む投稿日:2022.02.23
小難しいとか説明が長すぎるとかブツブツ言いながらも2巻以降の3冊は3日で読んじゃった。言葉と書物のアレコレの解説をされるよりも(それがこの本の魅力なんだけど!)たくさんの人がワイワイ言いながら色んなと…ころに行って(舌鋒鋭く)戦う方が読み応えがあっていいね。話の山場はミツクビとの対決になるのかなと思ったけど違った。マツリカ、キリン、キリヒト、みんな若すぎるなと薄々思ってたところ、ご高齢のニザマ帝が出てきて彼の経験と深みを持った話し方に落ち着く。続きを読む
投稿日:2024.03.26
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