無私の日本人
磯田道史(著)
/文春文庫
作品情報
2016年5月に映画化! 「殿、利息でござる!」の原作。清廉な生き方を貫いた三人を、歴史の中から掘り起こした感動作。穀田屋十三郎-伊達藩の貧しい宿場町に生まれた商人。同志をあつめて一家離散を覚悟で大金を集め、それを伊達藩に貸し付けて、その利息で、滅びようとする郷里を救おうと奔走。中根東里-江戸時代を通じて空前絶後の詩才の持ち主ながら、栄達を求めず、極貧のうちに村儒者として死す。大田垣蓮月-津藩家老の娘として京都の花街に生まれた絶世の美女。家庭に恵まれず、尼僧として京都郊外に庵をむすび、当代一流の文人墨客と交流。大ヒット映画「武士の家計簿」に続き、気鋭の歴史家が描く日本人の誇るべき美徳。
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商品情報
- シリーズ
- 無私の日本人
- 著者
- 磯田道史
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2015.06.10
- Reader Store発売日
- 2016.03.25
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 384ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (77件のレビュー)
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タイトルが総てを物語ります
タイトル通りの内容で、面白かった映画「殿、利息でござる」。その原作本とのことですが、ちょっと趣は異なりました。穀田屋十三郎に阿部サダヲの顔が被ることはありません。
この本は、一人だけの話ではなく、…穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月という、三人の人物を語り尽くした一冊です。この内、私は中根東里の名だけは聞いたことがありましたけれど、その詳細はまったく存じ上げませんでした。この本は、歴史書であり、分類上もノンフィクションで整理されているとおり小説ではありませんけれど、小説風に書かれているので、大変読みやすいですよ。
「武士の家計簿」から10年あまり後に書かれたと、あとがきにありましたが、「武士の…」の時は、さほど意識しませんでしたが、磯田道史の文学的素養も、なかなかのモノだと思います。
その「武士の…」のあと、読者から届いた手紙がきっかけで、穀田屋十三郎の調査に入ったとのこと。地方に住むアマチュア歴史家は、埋もれた歴史の発掘者であり、代弁者なのですね。
内容は、先に書きましたとおり小説風に進みますが、そこは磯田道史なのです。BSプレミアムでMCを務めている看板番組と同じように、興が乗ってくると、彼の歴史観、文化観が、ほとばしってくるようで、熱を帯びた筆致にかわります。興奮気味に筆を進めている感じに、読んでいるこちらもワクワクするというもの。
一貫してその心情にあるのは、経済成長に本当の幸せがあるのか?ということでしょう。彼はあとがきの中でこんなことを書いてます。「地球上のどこよりも、落とした財布が戻ってくるこの国。こういうことはGDPの競争よりも、なによりも大切なことではないか。」そして、「あの人は清濁あわせ飲むところがあって、人物が大きかった」というのは、まちがっている。と言い切ります。
確かに、藤原正彦氏が「解説」で書かれているとおり、幕末維新の頃に来日した多くの欧米人は、「日本人は貧しい。しかし幸福そうだ。」と言いました。今の世の中、何か忘れちゃぁいませんか?と言うわけです。
古文書を自在に読み解き、それをまさに、俯瞰した目で見ることが出来る磯田道史という、歴史学者の枠を飛び越えた気鋭の人物から、これからも目が離せないと思っています。続きを読む投稿日:2016.11.07
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無私とは・・
穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月という3人が題材に取り上げられています。この本を読むまでは皆さん知りませんでした。いずれも壮絶な人生を送った方々です。
さてここで「無私」ですが、私自身は滅私奉公の…ような、己を犠牲にして世の役に立つというイメージを持って読み始めました。穀田屋十三郎は、確かにその通りです。しかし、中根東里、大田垣蓮月はどうか。「私欲」から連想される、名誉欲や権力欲、金銭欲は本当になかった点で同じです。しかし、表だって広く世の役に立とうという行動も皆無です。すなわち、自分が本当の自分であることを貫く姿勢を見ていると、「私」が「無」いという無私とは対極なんですね。そういった意味では、中根東里、大田垣蓮月に対しては強烈な「私」を感じました。 素晴らしい本です。続きを読む投稿日:2017.08.16
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