インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日
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【第7回開高健ノンフィクション賞受賞作】広大なユーラシア大陸を横断し、イスラム圏の国々を越えてアフリカ大陸へ――。絵葉書を売るカンボジアの少女に凜とした生きる意志を感じ、排他的な印象を抱いていたイランで受けた細やかな配慮に戸惑い、ザンビアでは貧富についての議論を交わす。周囲の声に惑わされず、自らの素直な感覚を頼りに47カ国を旅した著者が綴った684日間。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (36件のレビュー)
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26歳の女性が、アジア・中東・アフリカ・ヨーロッパを684日間、貧乏旅行でまわる。訪問した国数は47カ国。野宿は当たり前で、途中で身体を壊したり、とっても過酷な旅だ。旅行記は、たくさん読んでいるが、女…性の旅行記で、ここまで過酷なものは読んだことはない。
文庫本で、だいたい280ページ程度の本だけれども、約50の短い章に分かれている。旅行の記録も書かれているが、彼女自身の感情の動きを示している部分も多い。物事を、とても真っ直ぐに見て、真っ直ぐに書いている。読んでいて、清々しく感じる部分も多かった。
書名の「インパラの朝」は、ケニアでサバンナ旅行に参加した3日目の朝に、一頭のインパラに遭遇した出来事を書いた章の題名でもある。
そこの部分を引用したい。
【引用】
すると、私の眼前に一頭のインパラが現れた。黄金の草地に足を着き、透き通る大気に首を立て、たった一頭でたたずんでいた。インパラは草を食むこともなく、歩きまわることもなく、緊張している様子でもなく、だからと言って気を抜いてくつろいでいるふうでもなかった。誰かに追われることもなく、何かを追いかけることもなく、静かにそこに立っていた。インパラの濡れた美しい目は、周囲のすべてを吸収し、同時に遠い世界を見据え、遙か彼方を見渡していた。
ヴァンは速度を緩めることなく、近くをそのまま走り過ぎた。私は体を乗り出してインパラの姿を追いかけた-そのしなやかな筋肉と悠然としたまなざしを。
【引用終わり】
書名にしているぐらいなので、彼女にとっては、とても印象に残った場面だったのであろう。
周囲のすべてを吸収し、遠い世界をも見据えることができる悠然としたまなざしを持つことを彼女は強く望んだのであろう。
確かに本書は、そのような本だ。
続きを読む投稿日:2020.08.30
海外旅行なんてもってのほか!なご時世、せめて旅行記でも読んで…と思って手を伸ばしたのですが、2年近くバックパッカーでアジア~アフリカ~ヨーロッパと旅をする、というレベルが違いすぎる旅で、旅行気分を味わ…う気分にはとてもなれない1冊でした(笑
ただ、同時に、今の時点では上手く言語化できないのですが、この清冽な湧水のような、飾り気のないのにエネルギーを秘めた文章が、自分の中に地下水脈のように静かに広がって、意識しないうちに影響を受けているような気がしています。
解説を見ると「青少年読書感想文コンクール」の高校の部の課題図書にもなったそうで、確かに若いうちに読んだら面白そう、と思いました。
さて、旅…と言うか旅行は、「一時的な非日常」だと思います。非日常に置かれるからこそ、新たな思索ができる面があると思うのです。
ただ、著者の2年近い旅の中では旅自体が日常化してしまう訳で、それなりに負荷がかかる状況の中でも、ふと行き合うトラブルや人との接触において、著者の真っ直ぐな意思の強さがあらわれていて、ここまで自分を貫き、考えて思いを綴れることには崇敬の念すら感じました。
そんな著者、カリフォルニア大アーバイン校で舞台芸術を学び、26歳でこの旅に出て今はノンフィクション作家というハイスペックながら波乱万丈な経歴。本著の後に政治家との対談や食に関する本も書かれているということで、読んでみようかなと思っています。
本著は300ページもない短い文庫本で、ごく短い文章で旅の中のエピソードを連ねていくスタイル。
どちらかと言うと、貧困国や恵まれない状況にある国(例えばイラン)での出会いにフォーカスされていて、著者の問題意識がそちらに向いていることが感じられます。
比較的裕福?なマレーシアでのエピソードは、旅行者として現地の人から犯罪の片棒を担がされそうになる話で、さて金銭的な裕福さと精神的な幸せは比例するのかどうか…と考えてしまいます。
アフリカに入ってからのエピソードはその思いをより強くするものばかり。アフリカを援助が必要な国、貧しい国として下に見てはいないだろうか。
ちなみに、個人的に印象的だったのは、モーリタニアのトゥアレグの1節。わずか3ページの文章ながら、サハラ砂漠の音のない夜の情景に強く惹きつけられました。
無邪気なコトを言うと、早くコロナ禍が終わって、遠くまで旅に出られるようになってほしい!続きを読む投稿日:2020.09.06
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