病気の9割は歩くだけで治る!
長尾 和宏(著)
/山と溪谷社
作品情報
ベストセラー本の町医者が、簡単、ただで出来る、医者知らずの『とっておきの健康法』を初めて著す!医者として多くの患者を診療しながら、多くの人気本を著している長尾和宏先生の新しいテーマ『歩くこと』による健康法。平穏死という言葉をはやらせ、死を見つめたテーマ、ボケの問題、薬についてのうんちく、近藤誠教授へのアンチテーゼなどのテーマから、もっと健康で積極的に生きていこうというテーマへ。歩くことがどれだけ健康に良いかということを、医者の立場から科学的に証明。実際の治療にも多く使われ、効果をあげています。 歩行が人生を変える29の理由をわかりやすく説明する本。現代病の大半は、歩かないことが原因。糖尿病人口は、950万人に。 高血圧人口は、4千万人に。高脂血症人口は、2千万人に。 認知症人口は460万人、予備軍も加えると900万人に。そして、毎年100万人が新たにがんにかかり、年間で37万人が、がんで命を落としている・・その大半は、歩かなくなったことが原因。目次: 第1章 病気の9割は歩くだけで治る!1.現代病の大半は、歩かないことが原因だった2.糖尿病、高血圧・・・生活習慣病は歩くほどに改善する3.最大の認知症予防は計算しながら1時間歩くこと4.うつ病も薬要らず、歩くだけで改善する5.国民病の不眠症は、歩くだけで解決する6.逆流性食道炎も便秘も一挙に改善、腸内フローラが脳を変える7.線維筋痛症も喘息もリウマチも、痛い病気こそ、頑張って歩け!8.がんの最大の予防法はこんなにも単純だった9.風邪も歩いて治せ ただし体力に余裕のある人は第2章 医療の常識に騙されるな10.なぜ歩くことは国民運動にならないのか?11.薬で老化は治りません12.ライザップより、ウォーザップ! お金は一銭もいらない13.「骨折=手術」とは限らない 骨折しても歩くことを忘れるな!第3章 健康になる歩き方14.正しく立つ3つのコツ15.骨盤を意識すること、ありますか?16.腕を振るのではなく肩甲骨を動かす17.「脊椎ストレッチウォーキング」のススメ18.川柳ウォーキングのススメ19.自分に合った靴を選ぶ3つのヒント20.手ぶら恐怖症から卒業しよう?まちをフィットネスセンターにしよう!?腰や膝が悪い人におすすめの歩き方?障害があっても歩行補助具で歩く?自転車ではダメか? ジョギングでもダメか?第4章 歩くと未来が変わる?セロトニン顔をめざそう!?歩くと頭が劇的に良くなる二つの理由?うまく歩くと寿命が確実に延びる?歩行は脳を変え、人生を変える?偉人たちが偉業を成し遂げたのは、歩いていたから
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商品情報
- シリーズ
- 病気の9割は歩くだけで治る!
- 著者
- 長尾 和宏
- 出版社
- 山と溪谷社
- 書籍発売日
- 2015.12.04
- Reader Store発売日
- 2015.12.09
- ファイルサイズ
- 4.9MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (18件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
父に読んでほしくて図書館から借りて来たんですけどね。
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スルーされてしまいました(^▽^;)
養生訓の話が出てきて、びっくり!
漢方養生を学んでいる身としては嬉しい限りです。
しかし江戸時代の人は1日3万歩もあるいていた
なんてすごいなー
あーシリコンバレーみたいに立ったまま仕事したい。投稿日:2019.09.10
1056
長尾 和宏
昭和33(1958)年6月生まれ。香川県出身。趣味はゴルフと音楽。昭和59年東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科に入局。昭和61年より 大阪大学病院第二内科勤務。平成3年より市…立芦屋病院内科勤務。平成7年に、尼崎市に長尾クリニッックを開業、外来と在宅医療を両立。あえて「町医者」という言葉にこだわり、「町全体が私の病棟、自宅は世界最高の特別室」をモットーに、病院で1000人、在宅で1000人を看取ってきた。在宅医療のリーダー的存在、また、<日本尊厳死協会>副理事という立場から、高齢者の健康、終末期医療、尊厳死・平穏死について硬軟自在な論調で多くの提言を行っている。毎日綴るブログは医師部門ほぼ1位をキープ。有料メルマガまぐまぐ!「痛くない死に方」では、読者からのあらゆる死の質問に相談するコーナーを設け、好評を得ている。ほか、多くの媒体に連載を抱え、『平穏死10の条件』『抗がん剤10のやめどき』『薬のやめどき』『痛くない死に方』『親の老いを受け入れる』など、ベストセラー書籍多数。
では、食事と運動、どちらが先かといえば、どちらも大事なのですが、体を動かさなければお腹もすきません。いくらバランスの良い食事を摂っても、カロリーを消費しなければ、栄養過多になってしまいます。だから、まずは体を動かす、歩くことが大事だと思っています。
江戸時代の庶民は3万歩歩いていた
よく「一日1万歩、歩きなさい」と言われますが、江戸時代の庶民はだいたい3万歩は歩いていたといわれます。江戸時代には、自動車もなかったし、仕事中、ずーっとパソコンの前に座っている「デスクワーク」なんてなかったので、何かと歩いていたのでしょう。
最近、江戸時代の日本は幸福度がとても高かった――と、見直されるようになってきましたが、その一つの要因は、よく歩いていたからでしょう。 現代病の大半は、歩かなくなったことに起因しています。益軒は、こんなにも人が歩かなくなる時代が来るなんて、思ってもみなかったことでしょう。
認知症は悪くなるばかりです。施設に入ったあとも歩くことが大切です。 あるお寺の住職さんがやっているデイサービスでは、広い境内で認知症の人たちが自由気ままに散歩できます。まるで放し飼い状態。そうすると、認知症の諸症状がどんどん良くなるのです。
歩くこと自体が脳に良い上、外を歩けば、商店街で買い物をしたり、近所の人に会って話したり、コミュニケーションが生まれます。そういう刺激がとても大事です。歩くということは認知症ケアに欠かせない要素だと思っています。
だから、「うつかな」と思って、最初に治療を受けるときに、どんな医者にかかるかも大事。薬漬けにするのではなく、薬は最小限に使い、歩くことを教えてくれる良き精神科医、もしくは良き内科医を選ばなければいけません。
でも、ここで思い出してください。歩くことで、セロトニン、ノルアドレナリンが分泌されるんでしたよね。実は、歩くということは、抗うつ薬と同じ効能を持っているのです。 あなただったら、薬を使ってセロトニンやノルアドレナリンを増やすほうがいいですか? それとも、歩いてセロトニンやノルアドレナリンを増やすほうがいいですか? 当然、歩いて増やしたほうがいいですよね。抗うつ薬などの精神病薬は、依存性があり、長く使っているうちに薬がないと不安になって、やめられなくなってしまいます。あるいは使っているうちに、最初は効いていた薬も効かなくなってきます。だから、薬を長く使って、良いことは何もありません。
振り返ってみると、その方にとっては、うつ病は、ウォーキングに目覚めるきっかけになりました。ぜひほかの方も、うつを、歩く楽しみに出会うきっかけにしていただきたいと願います。
逆に、昼間ハイキングにでも行って、半日歩き続けたら、どんな人でも夜はぐっすりですよね。私も、ゴルフに行った日の夜などは、疲れてバタンと寝てしまいます。 だから、「眠れないんです」と言ってクリニックにいらっしゃる患者さんには「歩いてくださいね」とお伝えします。「 歩けば、自然に眠れるようになりますから」と。 もう一つ、朝日を浴びることも大事です。 朝日を浴びることが大事な理由は二つあります。一つは、朝日を浴びると、体内時計がリセットされるということ。
実は、昔の日本人は、便秘がほとんどない民族でした。そして、日本人は世界でいちばん良い便を出す民族ともいわれていました。この事実は、消化器領域でもっとも権威のある医学誌である『ガストロエンテロロジー』にも掲載されたほどです。
そういう患者さんには必ず「歩いてくださいね」と言うのですが、なんだかんだと理由をつけて歩いてくれません。そして、ふと足元を見ると、「これじゃぁ、歩く気にならないだろうな」というハイヒールを履いている女性の多いこと。ハイヒールを履いて、「便秘なんです。薬をください」と診察室に入ってくる患者さんを見るたびに、なんだかなあ、と思ってしまいます。
「便秘には野菜をたくさん摂ったほうがいい」「ヨーグルトもいいらしい」「プルーンやバナナもいいらしい」など、便秘に効く食べ物についてはよく耳にするでしょう。実際に、試してみた人も多いのではないでしょうか。 生物は、食べて出すのが基本ですから、確かに「何を食べるか」は大事。とはいえ、食事だけで解決するには限界があります。やっぱり歩かないとダメなのです。
幸せホルモンの「セロトニン」も、その大半が腸でつくられています。腸は、さまざまなホルモンを放出する内分泌器官でもあるのです。だから、腸内環境が悪くなると、脳内ホルモンのバランスも悪くなります。 みなさんは、脳と腸の支配関係は、「脳が上で腸が下」と考えていたかもしれません。でも実際は、腸のほうが上位で、どちらかといえば腸が脳を支配しているのです。 このことは、生物の進化の過程を見ても明らかです。地球上に最初に多細胞生物が出現したのは 40 億年前で、動物に進化したのは5億年前ですが、最初に備わった器官は腸でした。今でも、ヒドラやイソギンチャクなど、脳や心臓は持たず腸しか存在しない腔腸動物がいる一方、腸を持たない動物はいません。やっぱり脳よりも腸が先なのです。
いずれにしても、腸内環境が悪くなると、幸せホルモンのセロトニンをはじめ、脳内ホルモンのバランスが悪くなります。そして腸の働きをコントロールしているのは自律神経で、自律神経の働きを良くするには歩くことが必要。ということは、歩くほどに、腸も脳も良くなるということです。
それから、突然、強い不安に襲われて動機や息切れがするパニック発作を起こす「パニック障害」も、実は、脳内ホルモンが過敏になっている状態です。芸能人の方にも多く、特にきれいな女優さんで「実はパニック障害でした」「パニック障害を克服しました」と、カミングアウトされる方は結構多いですよね。 原因はまだよくわかっていませんが、ノルアドレナリンを出す神経が過剰に興奮して、ノルアドレナリンの量が過剰になっているのが、パニック発作の引き金ではないかといわれています。ノルアドレナリンというのは、主にストレスに反応して出されるホルモンなので、体がストレスに対して過敏に反応している状態とも言えます。
砂糖を控えること、毎日歩くこと。ただそれだけで治るのですから、頑張って歩きましょう!
もっともらしい病名がつけられて、「医者に行きなさい」「薬を飲みなさい」と言われる。これを、「医療化」といいます。 認知症だって、医療化の一つでしょう。病名をつけて治療の対象にすれば、新たな市場が生まれます。市場が生まれれば、それを喜ぶ人がいるわけです。 一方、歩くことというのはあまりにも単純で、何の利権も生まれず、逆に患者さんが減って困る人が出てくるでしょう。だから、国は本気ですすめようとしないし、国民の間にも広がらないのだと思います。
造られたエビデンスの先に薬漬けがある――。私はそう感じています。
幸せホルモンのセロトニンのシャワーを浴びようと思ったら、歩いている間は歩くことに集中すること。聴くなら、ヒーリングミュージックなど、BGM程度に音楽を聴くくらいがいいでしょう。そうすると、瞑想状態と同じような境地に入り、セロトニンを出す神経が活性化します。
私は患者さんの診察をするとき、外来でも在宅医療でも、必ず「触りたくる」ようにしています。「えーっ」と嫌がられそうですが、「触る=触診」はとても大事なこと。最近では、血液検査や画像検査などの検査に頼って、触診をしっかり行わない医者が増えていますが、触診こそ、患者さんを診るときの基本です。 「骨が歪んでいないか」「筋肉のつき具合はどうか」「筋肉は若いのか」、ていねいな触診でそれらを診ると、その人が普段どのくらい歩いているのかがだいたいわかります。もっと言えば、その人が人生のどういう段階にいるのかもなんとなくわかります。
ランニングコーチやマラソン解説者として人気の金哲彦さんは、正しい立ち方をつくるには、3点だけ意識すればいいと指摘しています。 ・「丹田」(おへその少し下のあたり)を意識すること ・少し胸を開いて、「肩甲骨」(背中側の肩の下にある逆三角形の骨)を寄せること ・「骨盤」(腰周辺の骨)を少し前傾させること 確かにこの3つを意識すれば、自ずと顎、胸、肩、背中、お腹、腰、足の位置が、きれいにスッとセットされます。
ランニングコーチの金哲彦さんは、 上半身も使って歩くことを「 体幹ウォーキング」と名づけて推奨しています。確かに、上半身も使って全身で歩くということは、「体幹を使って歩く」と言い換えることもできるでしょう。
そういえば、聖路加国際病院の日野原重明先生は、104歳の誕生日を記念して、『 10 月4日 104歳に 104句』(ブックマン社)という本を出されました。これは、俳句なのですが、季語はなく、少年のような素直な感性のものばかり。ちなみに日野原先生は 98 歳から俳句を始められたそうです。 俳句や川柳を楽しめるのは、日本語ならではの粋。ただ歩くだけではもったいないので、ボケ防止もかねて、川柳をつくりながら歩く〝川柳ウォーク〟を楽しんではいかがでしょうか。 そもそも歩くと新しいアイデアが湧くように、川柳もどんどん湧いてきます。作家さんも、作品のタイトルやストーリーを考えるときに歩くという人は多いそうです。京都にある有名な「哲学の道」は、哲学者の西田幾多郎らが歩きながら思索にふけっていたことから、その名がついたといわれています。ドイツの哲学者ハイデッガーも、山小屋で生活をしていて、山を散策しながら思索の日々を過ごしていたそうです。
古今東西、重大な発見は、みんな歩きながら生まれているのではないでしょうか。じーっと座って考え込んでいても、良い発想は浮かびません。いろいろなことを考えながら歩くことでふと気づいたり、ポンと頭の中から出てくるのでしょう。 哲学者ほど高尚なことを考えなくても、良い川柳が思いつけば、嬉しい発見です。そして歩きながらのほうが良いものが出てくることが実感できたら、もっと歩きたくなると思います。
ただ、ここで「毎日歩いてほしい」と言っても、何も、「毎日皇居の周りを歩きましょう」とか「毎日河原を歩きましょう」という話ではありません。特別なウォーキングを毎日しましょうということではないのです。というよりも、毎日の生活のなかの一部を歩きに変える、歩きを組み込むというイメージです。 ・朝の通勤時に、最寄駅ではなく、一駅先、二駅先まで歩く ・降りるべき駅の一駅手前、二駅手前で降りて、その分歩く ・電車の乗り換え方法を考えるときに、あえてたくさん歩けるルートを選ぶ ・会社にいるときの昼食は、遠い定食屋まで歩く ・雨の日は地下街を歩く ・食材の買い物は、ちょっと遠いスーパーか、商店街を歩く
歩くことで脳が活性化すると書いてきましたが、移動すること自体も、目から耳から鼻から新しい刺激が入り、脳が活性化します。自分の足で歩けなくなって車いす生活になったからといって、家に引きこもっていたら、変化の乏しい生活になってしまいます。移動すると、温度や空気も変わり、風の音、人々の声、花の香り……など、いろいろなものに包まれます。その刺激が大事です。出先で会った人と一言二言会話が生まれることもあるでしょう。
人間というのは、自然や人とコミュニケーションをする生き物だと、私は思っています。脳を若々しく保つには、歩く。歩けなくなっても移動することが欠かせません。
どちらも2本の杖(ポール)を使って歩くというウォーキングスタイルです。ノルディックウォークはフィンランドで始まったもので、もともとはフィンランドのクロスカントリー選手の夏場のトレーニングとして開発されたそうです。一方、日本発のポールウォークは、歩く時間が減っている現代人のために短時間で安全に効率良く運動効果を得られるように開発されたもの。
よく目安とされるのは、「歌は歌えないけれど、隣の人と笑って話ができるくらい」。歩くときには、自分にとって「歌えないけれど、笑って話せるくらい」のスピードを心がけてください。それが、ほど良く負荷がかかり、心拍数をほど良く上げて、適度にエネルギーを使うちょうど良い運動です。
登山やハイキングですれ違う人は、みんな良い人に見えませんか? 私は昔、アメリカのカリフォルニア州にあるヨセミテ渓谷を登ったことがあります。そこでは、渓谷内を歩いて監視してくれているパトロール隊の人たちとすれ違うのですが、みなさんとても優しいお顔をされていました。セロトニンだけでなく、他人への思いやりも溢れているような顔をされていて、やっぱりオキシトシンも出ていたのでしょう。歩くと人に優しくなるんじゃないかと思いました。 一人で歩くだけでもセロトニンが増えてご機嫌になりますが、誰かと一緒に並んで歩くと、自分がハッピーになるだけでなく、相手もハッピーにしたいという気持ちに、自然とお互いなるのではないでしょうか。
本を読むと、それまで知らなかった新しい知識を得られて、同時に、思考が触発されて新しいアイデアが浮かんできたりしますよね。それと同じようなことが、実は、歩くということでも得られるのです。
そういえば、ゴルフに行くと、良く歩く人ほど頭がよいということをつくづく実感します。というのは、ゴルフがうまい人ほど、よくスコアを覚えているのです。 4人でラウンドすると、自分の分はもちろん、他人の分まで全部覚えている人がいます。そういう人は間違いなく、ゴルフもうまい。そして、下手な人ほど、他人のスコアはもちろん、自分のスコアさえすぐに忘れてしまいがちです。 ゴルフがうまい人というのは、それだけ練習して、コースも回っているのでしょう。ゴルフは1ラウンドで、カートをまったく使わない場合、 10 キロほど歩くといわれます。もし月 10 回コースに出ていれば、ゴルフだけで100キロ歩いていることになります。それだけ歩いているからこそ、記憶力が良く、頭の回転も速いのでしょう。
ここ最近で――といっても 15 年も前ですが――いちばん歩いたのは、その日です。当時、その人はまだ商社にお勤めで、そのちょっとあとに大会社の社長になられたのですが、とにかくよく歩く方でした。歩くことが自分にとってプラスになるということをよく知っておられるという印象を受けました。
この本を手に取ってくださった人のなかには、もしかしたら、「お金持ちはいいよな、朝からゴルフができて」と思っている人がいるかもしれません。しかし、真実はそうではありません。お金持ちだからゴルフをするのではなく、ゴルフをしていたからお金持ちになれたのでしょう。 いえ、お金持ちという言い方は、ちょっと語弊がありますね。より正確に書けは、ゴルフをしてよく歩いていたから、頭がすっきりして、大きな会社のリーダーを任されるまでになった――。これが真実だと思います。
人生を豊かにしたいと思ったら、まずは歩きましょう! きっとハッピーな未来が広がります。
空海さんほど、生涯をかけてあんなにも移動し、多方面に功績を残した人はいません。どうしてそんなにたくさんのことを成し遂げられたのかと考えると、ただひとえに歩いていたから、だと思います。 日々、山と渓谷を駆け巡ったからこそ、セロトニンがたくさん分泌され、いろいろな真理に目覚めることができ、芸術的な才能も開花したのだろうと思うのです。
近年では、酒井雄哉さんという、2度も千日回峰行を成し遂げ、 大阿闍梨 になった方がおられます。千日回峰行というのは、比叡山の修行のなかでもっとも過酷な荒行といわれるもので、お経を唱えながら、1000日間、7年間にもわたって山などを歩く修行です。 こう書くと、その凄まじさが伝わらないかもしれませんが、修行1年目から3年目は、比叡山二百五十五か所を巡拝する行程約 30 ~ 40 キロを休まず100日間、4年目から5年目は連続200日間歩き、その後、9日間、不眠・不臥・断食・断水で、十万遍の不動真言を唱えて不動明王と一体になる行を。さらに6年目には、5年目までの行程に京都市内の赤山禅院往復が加わり、一日の歩く距離は 60 キロに。その行程を100日行い、最後の7年目は、前半の100日は京都大廻りといわれる一日 84 キロの行程を、後半の100日は比叡山山中を約 30 キロ歩くそうです。
偉人たちの伝記を読んでいると、「歩くことが運命を変えた」と思わずにはいられないことが多々あります。でも、空海さんにしても、芭蕉にしても、酒井さんにしても、人生を変えるために歩いたわけではないと思います。そうではなく、歩いたから人生が変わったのでしょう。
こう見えても、私は中学時代は陸上部で長距離の選手でした。学校がある間は、授業が終わってから部活で5キロ、 10 キロを毎日走っていましたし、学校がない夏休みには、毎日、家から甲子園球場まで歩いていました。往復で 20 キロくらい歩いていたと思います。
ただ、ここ最近、患者さんに、立派なお腹をなでられるようになってしまったので、3000歩くらいしか歩いていないであろう今の生活をそろそろ見直さなければいけません。この本を書いたことを機に、私自身も、頑張って歩かなければと思いを新たにしました。
歩くだけで医者要らず、薬要らずになることはたくさんあります。貝原益軒が書いた『養生訓』には、歩くことだけがすっぽり抜けていました。でも、現代の養生訓には絶対に欠かせません。貝原益軒が言ったことに、この本の内容を足せば、平成の養生訓ができ上がるんじゃないか、と思います。
参考図書 金 哲彦『からだが変わる体幹ウォーキング』平凡社 大島 清『歩くとなぜいいか?』新講社 泉 嗣彦『医師がすすめるウオーキング』集英社 有田秀穂『歩けば脳が活性化する』WAC 青柳幸利『なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?』あさ出版 久保田競『頭のいい人はよく歩く!』ブックマン社続きを読む投稿日:2024.03.21
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