逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
ジョン ヴァーリイ(著)
,浅倉 久志(訳)
/ハヤカワ文庫SF
作品情報
クローンの姉が月から水星に住むぼくらのところへやってきた。太陽が天頂で逆回りする〈逆行の夏〉に、ぼくらは家族の秘密を知ることとなる・・・・・・。ひと夏のできごとを鮮やかに描いた表題作、三重苦の人々が創りあげたコミューンを描き出した「残像」など全6篇を収録。著者の代表作を集めたベスト・オブ・ベスト
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫SF
- 書籍発売日
- 2015.07.23
- Reader Store発売日
- 2015.09.15
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 512ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.9 (17件のレビュー)
-
世界と繋がるのに目も耳も必要ない!?
良質なショートストーリーはSFの醍醐味のひとつだ。
過去のヴァーリイの短編集をよりすぐって再編したこの短編集はSFならではのセンスオブワンダーに溢れている。
「バービーはなぜ殺される」と「PRESS… ENTER■」で描かれているテクノロジーへの恐怖は、30年も前に書かれたとは思えない。時代が追いついた現在進行形の恐怖がそこにある。
ブラットベリを彷彿させる「逆行の夏」のきらきら感、「ブルー・シャンパン」の切ないラブストーリーも味わい深い。
しかし、この短編集の白眉は「残像」だ。
3重苦(目、耳、声)の人たちのコミュニティに入り込んだ主人公が見た(いや、目や耳ではなく「感じた」)世界とは!?そこはユートピアなのだろうか?
ネビュラ/ヒューゴ/ローカスの3冠に輝いたこの作品は、読む人の世界観/常識を180°変えてしまう。まさに「センスオブワンダー」な作品だ。
続きを読む投稿日:2016.08.20
-
特異な世界観と、どことなくセンチな余情が残るSF短編集。物語の雰囲気をつかむまでに苦戦した短編もあるにはあったのですが、その世界観や人間関係であったり、あるいは「ここでない世界」に対しての、切ない思い…が印象的です。
収録作品は6編。
表題作『逆行の夏』はストーリーはもちろん、SFならではの描写が印象的。水銀の湖と洞窟が、太陽の光を照らし返す情景なんかは、美しさを感じるとともに、SFの想像力の豊かさも感じます。
ストーリーとしては、クローンの姉との再会であったり、身体の改造や性別の転換ですら、簡単に行える、という技術背景が描かれ、なかなかのハードSFらしい雰囲気。
そのため、ややとっつきにくさはあったものの、技術や世界観の面白さだけに頼らず、技術では変えられない家族の関係性に焦点を当てた、暖かさが印象的な短編です。
世界観でもっともインパクトがあったのは『バービーはなぜ殺される』という短編。「統一教」という男も女も性別関係なく、すべてバービー人形のような顔、身体に整形した宗教団体で起こった殺人事件。捜査は被害者、容疑者、目撃者全て顔が同じな上、思想や思考まで一緒という状況に困難を極め……
この設定だからこその、展開の持っていき方や、動機の異常さなどが見事! 統一教の教義や始まりについては、触れられていたけど、それぞれの個人が、統一教のどこに惹かれたのかは、あまり詳しく書かれていなかったと思うので、少しだけ感じたことを。
他者とまったく同じになるというのは、みんなと同じ、自分は異質じゃない、という安心感があるのかなあ、という気がします。そういう意味においてはユートピアとも感じる人もいるのかもしれないけど、そういう思考に対するアンチテーゼとして、この短編は書かれたのかも。
また改めて読んでみると、印象が変わりそうな作品です。
『残像』もある意味ではユートピアのお話。経済不安によって社会が不安定となり、それぞれが小さなコミュニティに分かれた世界。その小さなコミュニティを渡り歩き旅をする男は、ある日、視覚・聴覚ともに不自由な人たちが中心となって運営されている町を訪れる。
音声、文字が認識できない人たちが、どうやってコミュニケーションを取り、文化を維持、発展させるか。現代のパートに、時折過去のパートが挟まれ、現在の実際的な状況と、過去のコミュニティが成り立つまでの歴史や理念までも語られます。
視覚や聴覚などあらゆる情報にさらされる人々と、そこから離れ、独自の言語文化や考え方を発展させていった人々の対比としても読めるかも。思考実験的な部分と、物語のテーマ、そしてここではない世界や文化への憧れが共鳴し合う、こちらも印象的な短編です。
アメリカではいくつもの賞を受賞した作品みたいですが、それも納得の出来。
ユートピアの話はもう一編。少年と一人の女性の出会いが描かれる『さようなら、ロビンソン・クルーソー』は、ユートピアの終わりと共に、一つの時代の終わりの寂しさや郷愁と、新たな決意や爽やかさも印象的な短編でした。
設定自体は特異で作り込まれたものが多くて、話にスッと入れるかは、人によって分かれるかもしれません。
でも一方で、そういった世界を描きながらも、どこまでも変わらない人間の憧れや哀しさを、表現した短編集でもあった気がします。続きを読む投稿日:2020.10.04
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。