インテル 世界で最も重要な会社の産業史
マイケル・マローン(著)
,土方奈美(訳)
/文藝春秋
作品情報
「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」つまり「コンピュータの処理能力は指数関数的に向上していく」、1965年、インテルの創業者であるゴードン・ムーア博士が発表した論文に書かれていた半導体の能力に関する洞察は、「ムーアの法則」として、今日にいたるまで、情報産業にかかわるものが、逃れらない法則となった。
その法則を生み出した「世界で最も重要な会社「インテル」の産業史である。
ムーアの法則」の誕生のみならず、本書を読む読者が切実に感じるのは、今自分が努めている会社、業界のすべてに通ずる共通のテーマが、鮮烈なエピソードをもって書かれている点だ。
すなわち、「技術力か営業力か宣伝力か」という問題。
あるいは「才能か努力か」
あるいは、「継承か革新か」
あるいは「模倣か創造か」
本書の中には、コンピュータの心臓部であるマイクロプロセッサ(CPU)を世界で初めインテルとともに開発した日本の電卓メーカーが、最後の最後で社長の判断から契約をキャンセル、結果的には、CPUの知的財産権を逃すという「史上最悪の経営判断」をしてしまう話や、あるいは、モトローラに劣るチップをインテルが営業力でもってシェアを逆転する様など、私たちの今日のビジネスの日々の判断に通じる血わき肉おどるエピソードが満載されている。
著者はアメリカの新聞で初めてシリコンバレー担当をおいたサンノゼマーキュリーニュースで最初のシリコン・バレー担当となった記者。1970年代から今日まで、その有為転変を追い続けてきた
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商品情報
- シリーズ
- インテル 世界で最も重要な会社の産業史
- 出版社
- 文藝春秋
- 書籍発売日
- 2015.09.10
- Reader Store発売日
- 2015.09.12
- ファイルサイズ
- 4.3MB
- ページ数
- 584ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (10件のレビュー)
-
私がこの1~2年の間に読んだ本の中では最高の本でした。
「インテル、はいってる」のキャッチフレーズが有名なインテル。
私がパソコンに触り始めたばかりの頃(その頃はCPUとメモリとハードディスクの区別もついていなくて、パソコンの速度を上げるためにハードディス…クのデータを消そうとしたこともありました(焦))、ペンティアムというCPUの名前を頻繁に聞くと同時に、その評判やカタログスペック、ペンティアム搭載のパソコンにはなかなか「いい値段」がついていたことなどから、「ペンティアムは超高級なブランド」というイメージを刷り込まれました。
そんなペンティアムを製造している会社が、インテルという名のアメリカの会社だと知ったのはずっと後になってから。今使っているパソコンにも当然のようにインテルのCPU(今はCore i7 とか Core i5 というブランド名ですが)が使われていて日々お世話になっているものの、そういえばインテルのこと何も知らないな…と本書を手に取ってみたのですが…この本はすごいです。
日本の戦後の産業史や、ソニーやホンダを始めとする戦後誕生して世界的なブランドにまで育った会社の歴史を御存知の方は多いと思いますが、同じ時期のアメリカの産業界や企業の歴史をご存知の方はそれに比べれば少ないだろうと思います。インテルはシリコンバレーに誕生した半導体メーカーです。本書を通して、インテルの歴史はもちろんのこと、その周囲にあるシリコンバレーの歴史やアメリカ半導体産業の歴史、日本との関わり、さらに半導体の進化の歴史を知ることができます。知的好奇心が刺激され、またソニー発展の歴史を知った時と同じような感動もあり、私がこの1~2年の間に読んだ本の中では最高の本でした。
ちなみに相当分量が多いです。
登場人物や企業も多いため、「この人、誰だっけ?」ということもよくありました。
また時々ですが「SRAM」「DRAM」「RISC」「CISC」のような技術用語も出てくるので、これもまた「これ何だっけ?」と思ってGoogleで調べてメモしておくことが何度かありました。
手元にメモ帳とペンを用意して、腰を据えて、じっくり読むことをお薦めしたいです。
繰り返しになってしまいますが、本当にそれだけの価値がある本です。
続きを読む投稿日:2016.02.13
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