この作品のレビュー
平均 3.3 (4件のレビュー)
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経済に舵をきる中国、揺り戻しはあるか
中国経済はかなり悪いがまだまだしぶとくすぐに崩壊することはない。個人的な感覚とかなり近い解説だった。
例えば中国の不動産投資は明らかに過剰でバブルと言って良いだろう。上海の一等地は東京より高く平均賃…金からすると明らかに高すぎる。しかし、すぐに中国バブル崩壊と行かないのは土地の供給元が地方政府だから。塩漬けになり地方政府のバランスシートは毀損するが供給量が絞られその代わりに調整は長期化する。
リーマンショック後の4兆元の公共投資と同時に銀行には金融緩和の指令が下り2009年の銀行貸出残高は前年比30%、その後4年で倍増した。これが現在の過剰設備の元になっており収益性が低下し原本の返済に回らず、借り換えを繰り返すうちに銀行貸出残高の中身は真水の投資では無くなっていく。銀行も過剰設備業種や不動産への投資を絞り、投資と資金需要の収縮により金利が低下するデレバレッジが進んでいる。政策金利はそれを追って下げているのだろう。
過去の中国のGDPデフレーターを用いて実質金利を計算すると預金は-5-8%、貸し出しも-1-3%と何もマイナスで、つまり家計は富を剥奪され、企業にプレゼントされこの結果GDPに占める消費の比率が低く抑えられてきた。そして本来儲からないはずの企業投資が続けられていた。ただし直近ではこのギャップは解消されてきている。
「十三五」第13次5ヶ年計画では成長率を6.5%に置く見込みだという。2000年代の中国の経済成長は資本投入に加え1億人以上の農民工が加わる労働投入に、インフラ整備や外国からの技術導入による全要素生産性も向上した。それが2013年にはほぼ資本投入の寄与だけになっている。
中国のGDPは当てにならないと言われるのは他の指標と整合性が取れないからだ。著者の分析で電力消費量、関節税収および国有企業売上高の伸びとGDPとを比較したところその割合である弾性値は2013年には1を超えていたのが2014年には大きく低下した。これを逆に弾性値が1近辺になるように補正したところ3Q以降のGDPは3.3%となった。国家統計局の発表では不動産投資と相関の高いセメントの伸びが2.4%、鋼材が4%で有り消費は堅調とは言えこの数字の方が実感に近い。
この本の主張する内容ではこのような経済状態に危機感を持った習近平政権は経済開放よりに軸足を移している。ただその際左派や国民に対してケアをする必要があるということだ。国民に対しては反腐敗闘争を徹底することで、これは必ずしも権力闘争だけが目的ではない。例えば司法体制改革では地方法院や検察院の予算と人事権を市から上級の省に移し、地方政府がこれまでのようなやりたい放題はやりにくくした。
もう一つは対外的な強硬姿勢で国民特にすぐに暴れる農民工のガス抜きの意味合いもあるのだろうがそれ以上に左派への補償の意味合いがある。尖閣諸島に対しても紛争が存在することを認めれば実力行使は控えるというのが見立てだ。習近平としては内政に集中したいが、大国意識を持ってしまった国民は、外国特に日本に対する弱腰を許さない。9/3の軍事パレードを大々的にやりながら、8/14の安倍談話には反応しなかったり、日中間首脳会談の後北京、東京と続けて経済交流を進めようとしてる辺り平仄は会う。
結局日本同様経済を立て直すにはイノベーションしかないのだが、中国のe-コマースの発展ぶりは日本よりも速度が速く日本とは違う発展を目指すのだろう。ただし著者の予測ではピンチが去ると左への揺り戻しが来る。それは、習近平の権力にほころびが出たときなのかそれとも経済大国として自信を持ったときなのか。続きを読む投稿日:2015.11.23
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著者は官僚出身の中国経済の専門家。強大化のイメージと裏腹に中国共産党は崖っぷちに追い込まれており、習近平は危機感をもってこの難局を乗り切ろうとしていると説く。ここ数年の成長は、持続不可能な投資・負債バ…ブルによるもので、習近平は「三中全会改革」を進め、規制緩和・国有企業改革・金利外為規制の緩和を掲げ、打開を図ろうとしている。それが今後良いほうに転ぶのか、悪いほうに転ぶのかは断言をしていない。それは中国だけでなく世界との相互作用の中で決まるからである。ただこれまでの歴史として中国共産党は保守的社会主義と改革志向の間を振り子のように動き続けてきたことを著者は指摘している。続きを読む
投稿日:2016.10.08
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