この作品のレビュー
平均 3.5 (3件のレビュー)
-
江戸城の台所人・鮎川惣介と大奥添番・片桐隼人の幼なじみコンビが様々な事件に挑むシリーズ第二作。
このシリーズは最初学研M文庫で刊行されていたのだが、そちらが廃刊になったため角川文庫から刊行し直しとな…っている。その際に『大幅に加筆・修正』されているとのこと。学研M文庫版の第二作は読んだが、今後角川文庫版で読んでいくにあたり角川文庫版で第二作に遡って読んでみた。
詳しい内容は学研M文庫版のレビューを見ていただくとして、こちらのレビューでは双方の違いに注目して書いていく。
大きな違いはあんず=あらしではなく、あんずとあらしが別人として描かれている。角川文庫版の第三作を読んだときの違和感はこれが原因だった。
学研M文庫版であんずがあらしと名を変え大奥に潜入するための役職は御末だったが、力仕事が多い下働きのため大柄な女性が多いようだ。そのため小柄ですばしこいあんず=多聞=炊事や掃除などの下働き、あらし=御末と分けたのかも知れない。
あんずを大奥に送り込んだ者は学研版と同じだが、あらしについては新たな一派という設定になっている。またあらしの結末は学研版と同じだが、あんずの結末はもちろん違っている。ホッとするような腹立たしいやら。
しかしあんずが残した『寺が滅法界』という言葉はなるほど意味深。そのうちに再会があるだろうか。
このシリーズを読んでいると、先日読んだ奥山景布子さんの「流転の中将」の言葉を思い出す。
『下の者に罪をなすりつけ、上にある者は何もなかったかのように生き延びる。そうすることで、全体が延命する』
一般的には膿は出しきれば良いと思うが、あまりにも影響力のある人が犯罪を起こせば、その波紋はどこまでも広がり不幸の連鎖が続く。結局は隠蔽するしかないのか。
この作品でも将軍・家斉の苦悩が度々漏れ出ている。自分が罪を犯した者を罰することにより、自身や自身の係累にも返ってくるかも知れない。
逆に家斉が害を被ったとしても少々のことでは騒ぎ立てられない。例えば米に砂が混ざっていても黙って食べる。指摘すれば米の検分をしたものが最悪切腹ということになるからだ。
惣介や隼人など一介の幕臣には出来ないことが多過ぎて苦しいが、将軍・家斉にも出来ないことが多くて苦しい。
終盤、長女・鈴菜の友人を助けるために惣介一家が団結するシーン、鈴菜に対する母・志織のセリフは改めて読んでも良い。
シリーズ完結編を読んだ後にこの作品を読むと、鈴菜と大鷹源吾の初対面シーンは興味深い。鈴菜の友人を救うためとはいえ目の前で人を斬り捨てた大鷹源吾を鈴菜はどう見ただろうか。
※学研M文庫版「大奥と料理番」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4059006033続きを読む投稿日:2021.07.15
江戸城の台所人・鮎川惣介のシリーズ二作目。
今回から颯爽と登場したのは、惣介が一連の事件の黒幕ではないかと疑っている、寺社奉行・水野和泉守その人に仕える、大鷹源吾(おおたか げんご)
もしかしたら敵サ…イドかもしれないのに、誠に爽やかなイケメンで、惣介は気に入る。
知らずに新シリーズの一巻を先に読んでしまったので、個人的にネタバレ侍(笑)
今回も、鮎川家のちょっとした夫婦喧嘩から始まるが、豆狸みたいなご夫妻は、喧嘩の内容も可愛らしい。
それに対し、惣介の幼馴染で、大奥の添え番(警護)として働く片桐隼人(かたぎり はやと)夫妻の夫婦喧嘩は、美男美女ゆえということでも無いだろうが、少し深刻である。
今回、タイトルにある通り、大奥の闇を根とする事件を扱っているが、前回も大奥の事件だった。
というか、大奥は事件のぎっしり詰まった蔵であり、それも、開けてはいけない系ばかり。
惣介は時々、将軍家斉からのお召しに応えて旨いものを持って参上し、座敷猫のように愚痴聞き係を務める。
家斉は、その台詞から聡明な人物であることが知れるが、それでも大奥の闇にばっさり手を入れることはできない。
白黒はっきりさせることだけが良いとは限らない、と言う。
二百年の平和は、気長な話し合いと譲り合いと根回しとで成り立ってきたのだろう、と惣介も考えざるを得ない。
惣介の妻の志織が娘の鈴菜に、「自分が『女』とひとくくりに扱われるのが嫌ならば、殿方のことも『男』(・・・というものは)とひとくくりにするのはお止しなさい」と言い聞かせるところあり、この妻も聡明なのだなと思った。
良い夫婦、良い家庭である。
第一話 身中の毒
第二話 夜泣き石
第三話 大奥のぬかるみ続きを読む投稿日:2021.07.08
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。